トヨタ自動車、即戦力人材の獲得へ。新会社「TRI-AD」立ち上げで


6月より熱意ある即戦力エンジニアの募集を開始。新オフィスは東京「日本橋」

トヨタ自動車傘下で独自の自動運転ソフトウエア開発を目指すTRI-AD(本社:東京都中央区、CEO:ジェームス・カフナー)は、トヨタ・アイシン精機・デンソー・TRIのパートナーシップで2018年3月に設立。現在は本格稼働に向けて日本橋室町三丁目に建設中の新拠点完成を待っているが、そうしたなか早くも即戦力人材の獲得に動き出している。

現在、自動運転車の開発に伴うセンサー開発や、それらの情報を得て電子回路を設計する技術者。さらにこれをベースにインフラ環境全域を網羅するとしたソフトウエア開発領域では、自動車製造のみならず電子機器業界から流通に至るまで、首都圏に於いてもIoT化ニーズを背景に即戦力人材の不足が顕在化している。このため電子・ソフトウエア開発技術者を正社員として雇用し、メーカーに派遣する人材会社の躍進など、雇用環境が激しく活性化している。

そうしたなかで現段階では、テンポラリーオフィスでの業務を進めつつも、本格創業という意味では未だ操業前段階にあるとも言えるTRI-ADであるが、構想としてはトヨタ・アイシン精機・デンソーからの出向エンジニアも含め将来的に1000名規模の開発体制を目指している。

そこで同業界で不足する即戦力エンジニアの獲得を目指し、新たな採用ウェブサイトを介して、国内外を問わない人材の積極採用に動き出した。

求める人材は『情熱を持って世界トップレベルの自動運転技術の開発を推進できる即戦力』としており、具体的な専門領域としては、コンピュータサイエンス、コンピュータビジョン、人工知能技術、自動運転システムアーキテクト、自動運転システム・ソフトウェア技術、ビジネスデベロップメントなど多岐に亘る。

なおTRI-ADが入居するオフィスは、先の通り三井不動産株式会社が「日本橋室町三丁目地区第一種市街地再開発事業」のなかで建設中の複合施設内のオフィス(16階~20階)に決定している。そこでの実稼働は2019年7月の予定だ。それまでは拠点予定の日本橋エリアのテンポラリーオフィスを拠点にしていくと云う。

シリコンバレー流と日本らしさを融合した企業文化の構築

採用活動の本格化にあたって、Googleで自動運転車開発に携わり、TRIの最高技術責任者を務めたTRI-AD・CEOのジェームス・カフナー氏は「世界で最も優れた自動運転ソフトウェア技術に取り組む新会社を率いる機会を頂き、ワクワクする気持ちでいっぱいです。

TRI-ADの取り組みは、すべての方に移動の自由をお届けしながら、より早期に多くの命を救うことに直接つながるものだと考えています。

ソフトウェアの重要性がかつてなく高まるなか、どの自動車会社もソフトウェアなくして生き残ることはできません。自動運転のクルマは、数百万行もの膨大なプログラムコードのなかで、最高品質を担保する開発が求められるのです。

私は、ソフトウェアにおける『トヨタ生産方式』と呼ばれるような、世界で最も優れたソフトウェア開発プロセスづくりに取り組んでいきたいと考えています。

TRI-ADは、TRIとトヨタ自動車の間でスムーズな開発を加速するべく、研究、開発、量産をつなぐ「架け橋」の役割を担います。

従って、川に橋をかけ、歴史的に人々の安全な移動を可能にしてきた日本橋は、TRI-ADの拠点として最もふさわしい場所だと感じています。

TRI-ADでは、世界中の優れたソフトウェアエンジニアを集めたいと考えています。素晴らしい職場環境に加え、強固で信頼性がある「製品レベルのソフトウェア」を先行開発段階から作りあげていくために、必要となるあらゆるリソーセスを準備します。

私たちのミッションに共感いただけるエンジニアの皆さん、ぜひお越しください。夢の実現に向けて、ワンチームで一緒に取り組んでいきましょう」と自社プロジェクトの参加を現役技術者達に向けて呼び掛けている。

研究と量産の「架け橋」として先行開発段階から製品レベル品質のソフトウェア開発へ

さらにTRIのCEOでありトヨタ自動車フェローでもあるTRI-AD取締役のギル・プラット氏は、「ジェームス・カフナー博士は、TRI-ADを率いるのに最適な人物です。彼は、この時のために多くの経験を積み、努力を続けてきました。

ジェームスは、品質レベルの高いソフトウェアを優れた方法で書き上げることに精通しており、周囲を巻き込む情熱を持って、最先端の自動車ソフトウェアづくりを進めていくことができます。

また、ジェームスは日本に住みながら、学び、働いた経験を持ち、日本語も堪能です。そして、細部への素晴らしいこだわりやモノづくりの力、社会を良くしたいという精神などの「日本の文化」に対して、深い理解も持ち合わせています。

私が米国防高等研究計画局(DARPA)のロボティクス・チャレンジを担当していた頃から、ジェームスと一緒に様々なプロジェクトに取り組んできたことは、大変名誉なことです。

彼が、TRIのChief Technology Officer(最高技術責任者)として支えてくれていたことを考えると、寂しい気持ちもありますが、共に同じゴールに向かって、進んでいくことを楽しみにしています」と話している。

TRI-ADでは自社創業のコンセプトとして、「世界トップレベルのソフトウェア企業を目指し、個々の力を最大化してイノベーションを推進するシリコンバレーらしさと、人材育成やチームワークを重視する日本らしさを融合した従来のトヨタや、日本企業にはない新しいカルチャーを背景とした働き方と制度を構築します。

ソフトウェア開発に於いては、短期間でスピーディかつフレキシブルにアジャイル開発を行うなど、エンジニアが自分のアイディアを具現化しやすい環境に加え、チームとしてもレベルアップできるような仕組みも整備します。

また英語を社内公用語化することでグローバルに多様な人材が活躍できる環境とするなど、イノベーションを推進します」と述べており、今後、同社はPOV(Personally owned Vehicle:乗用車)向け、およびMaaS(Mobility as a Service:モビリティサービス)向け自動運転技術の開発や、自動運転用地図の自動生成技術開発、およびSDK(ソフトウェア開発キット)などで研究から製品まで一気通貫での自動運転ソフトウェア開発企業を目指していく構えだ。

TRI-AD会社概要
会社名 :トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社(TRI-AD)
ウェブサイトhttps://www.tri-ad.global/ja/ 
所在地 :東京都中央区日本橋室町3丁目10番(地番)*2019年7月入居予定
※テンポラリーオフィス:東京都中央区日本橋室町2-1-1
出資金 :5,000万円 (出資比率:トヨタ90%、アイシン5%、デンソー5%)
役員体制
代表取締役CEO:ジェームス・カフナー(James Kuffner)
取締役会長(予定):ギル・プラット(Gill Pratt)
代表取締役: 奥地 弘章
取締役: 鯉渕 健
監査役: 上田 達郎