トヨタ自動車、モータースポーツの安全を目指し人体モデルの共同研究を開始


トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男、以下トヨタ)は、モータースポーツの安全研究を統括する団体であるGlobal Institute(以下GI)とモータースポーツ競技における安全性を向上させるため、自社の人体モデル「THUMS」を用いた4年間の研究プロジェクトを開始した。

トヨタは、2000年より豊田中央研究所と共同で事故・傷害発生のメカニズムをコンピューター上で解析できる人体モデル「THUMS(サムス : Total HUman Model for Safety)」を開発している。

今回は、モータースポーツの安全研究を統括する団体であるGlobal Institute(以下GI)とモータースポーツ競技における安全性を向上させるため、この人体モデル「THUMS」を用いた4年間の研究プロジェクトを共同で開始する。

今日、衝突安全実験ではダミー人形が広く使用されるが、脳や内臓など、体内の各部位がどのように衝撃を受けるかまで詳細に分析することは難しい。このためトヨタでは、新たに開発為たTHUMSを用いた損傷解析を日夜、研究している。

そしてトヨタは、このTHUMSを一般の車両の事例だけでなく、2007年以降、モータースポーツにおける事故の傷害解析の応用にも利用し始めた。

具体的には、FIA InstituteやNASCAR(ナスカ― : National Association for Stock Car Auto Racing 全米自動車競争協会)からの個別の依頼で、THUMSを用いたドライバーの受傷要因の解析を実施。

これらの研究の中で、レースカー特有の着座状態において衝突時の減速度により、背骨や臓器に強い負荷が加わるメカニズムを解明し、その負荷を軽減するための方策を検討してきている。

これを踏まえ、今回のGIとの4年間にわたる共同研究では、レースカーだけでなくラリーカーの衝突も含めた幅広いモータースポーツ競技における衝突事故を研究の対象とし、シート構造やシートベルト配置などの見直しを検討する。

この結果をもとに、GIがレギュレーションのアップデートなど、モータースポーツ車両の安全性向上につながる施策を検討していく予定としている。

※ Global InstituteことGIは、2004年10月にFIA(国際自動車連盟 本部 : フランス)とFIA基金が、モータースポーツの安全性向上を図る研究機関として、FIA Instituteを設立。

その後、2016年末のFIA Instituteの廃止に伴い、安全の教育プログラムはFIAへ。安全研究は新たに設立されたGI(Global Institute for Motor Sport Safety 本部 : スイス)が引き継いだ。