TOYOTA GAZOO RacingとTS040 HYBRID、WEC今季最終戦バーレーンへ


今週末に行われる2015年FIA世界耐久選手権(WEC)最終戦バーレーン6時間レースを前に、TOYOTA GAZOO Racingのアレックス・ブルツ選手が、12年に及ぶレーシングドライバーからの引退を発表した。

toyota-gazoo-racing-wec-season-to-the-last-race-in-bahrain20151117-5

アレックス・ブルツ選手は、2012年にTOYOTA GAZOO RacingがWECに参加を始めて以来、チームと共に戦って来たが、バーレーン6時間レースがレーシングドライバーとして最後の仕事となる。

ブルツ選手は、この4年間、TOYOTA GAZOO Racingの中心ドライバーとして、技術開発はもとより、チーム全体の要としての役割を果たしてきた。

toyota-gazoo-racing-wec-season-to-the-last-race-in-bahrain20151117-3

彼は、今週末のバーレーン6時間レースまでに、トヨタチームのドライバーとして27レースに参戦、5勝を挙げ、11回表彰台に上っている。

直近の勝利は、2014年のバーレーン6時間レースだった。TOYOTA GAZOO Racingでは、「これまでブルツ選手と共に戦えたことを誇りに思い、彼の活躍に対して感謝の言葉を贈りたい」と語っている。

同時に、バーレーン6時間レースは、2014年にマニュファクチャラー及びドライバーの両タイトルを獲得し、チャンピオンナンバー#1と#2を付けたTS040 HYBRIDにとって最後のレースとなる。

TS040 HYBRIDは、1000馬力のパワーユニットを搭載した4輪駆動のハイブリッドレーシングカーとして、2014年4月のシルバーストーン6時間レースでデビュー、2シーズンに渡って5勝を挙げた。

toyota-gazoo-racing-wec-season-to-the-last-race-in-bahrain20151117-4

そのうち3度は1、2位獲得の快挙を達成。ポールポジションからのスタートは2014年のル・マン24時間レースを含めて4回、表彰台に上った回数は13回を数えたが、トヨタによると来シーズンからは、さらに進化した技術を搭載する新型車両にバトンタッチする予定という。

バーレーン6時間レースでは、いつものように#1号車はアンソニー・デビッドソン選手、セバスチャン・ブエミ選手、中嶋一貴選手。

#2号車はアレックス・ブルツ選手、ステファン・サラザン選手、マイク・コンウェイ選手がステアリングを握る。

昨年のレースでデビッドソン選手と、ブエミ選手がドライバーズタイトルを獲得したことは記憶に新しいが、TOYOTA GAZOO Racingはバーレーン6時間レースへの過去3度の挑戦で、2勝を挙げている。TS040 HYBRIDに取ってみれば相性の良いサーキットといえるだろう。

toyota-gazoo-racing-wec-season-to-the-last-race-in-bahrain20151117-2

一方、今シーズンの現実には厳しい。チームは、TS040 HYBRIDの最後のレースを納得いく結果で終えるべく、バーレーンでも最善を尽くす。

今週末のバーレーン6時間レースは、11月19日(木)に公式練習走行が午後3時15分および午後7時30分からの2回行われ、20日(金)には3回目の公式練習走行が午前11時から行われ、午後5時30分から公式予選が行われていく。

決勝レースは21日(土)の午後3時にスタートし、日没後の午後9時にゴールを迎える。

2015 WEC Round 8 Bahrain Preview
佐藤俊男 チーム代表
アレックスは、2011年のWECプロジェクト初期段階から、我々チームにとって欠かせない存在でした。

彼の技術的アドバイスや、モチベーション、ドライバーとしての技能は、我々にとってかけがえのないもので、彼の多大な貢献に対して、心から感謝します。

2014年に何度か喜びを分かち合ったTS040 HYBRIDでの、彼の最後のレースになると思うと寂しい限りですが、一つの時代の終わりが、同時に新しい時代の始まりでもあるわけで、既にケルンや東富士では、次期参戦車両の開発に懸命に取り組んでいます。

この最終戦では、アレックスとTS040 HYBRIDにとって良い週末となるように願っています。チームの誰もがそのために全力を尽くすことは言うまでもありません。

アンソニー・デビッドソン(TS040 HYBRID #1号車)
ここバーレーンは、昨シーズン、セバスチャンと私でドライバーズタイトルを獲得した思い出深い、特別なサーキットです。

オースチンのように、バーレーンはいつも非常に暑く、ドライバーやピットクルーには厳しいものがあります。我々はここでは強さを示しており、チームは2013年、2014年と連続優勝をしています。

今年は様子が異っていますが、シーズン終了前にもう一度表彰台に上がりたいですね。我々は決して諦めていません。

セバスチャン・ブエミ(TS040 HYBRID #1号車)
バーレーンは良く知っているし、私の好きなサーキットのひとつです。昨年、ドライバーズタイトルを獲った場所でもあり、また戻って来るのが楽しみです。

週末の戦況は厳しいでしょうし、いつも乾燥しているところなので天の恵み(降雨)も期待出来ないことも我々は承知しています。

シーズンを通じて、2014年と比べても大幅なラップタイムの改善が見られました。このサーキットでもどうなるか、非常に期待しています。

中嶋一貴(TS040 HYBRID #1号車)
私は、バーレーンでLMP1を駆ってレースをしたことは2013年の一度しかありませんが、他のカテゴリーでは何度か経験しています。

通常バーレーンでは、天気は大きなレースの要素にはなりませんが、私は、GP2での初のバーレーン戦で雨が降り、大変驚いたのを覚えています。

今週末、それに賭けるわけにはいかないでしょうが、いずれにしても、全力でプッシュしていきます。今年、本当に頑張ってくれたチームの皆へのご褒美として、良い結果が欲しいところです。

アレックス・ブルツ(TS040 HYBRID #2号車)
時の経つのは早いもので、気付けばもうシーズンの最終戦を迎えることになりましたが、バーレーンに向かうのを楽しみにしています。

このレースが好きなのは、バーレーンの温暖な気候や、好みのレストランがあると言うだけでなく、コースも素晴らしいからです。

ライバルとのパフォーマンスの相対関係は大きくは変わらないかも知れませんが、まだ士気は充分に高く、闘志を漲らせています。

ステファン・サラザン(TS040 HYBRID #2号車)
バーレーンのコースは本当に楽しめますし、私自身過去に良い結果を出しています。

私にとって、2度のトヨタでの勝利はどちらもバーレーンでのもので、良い思い出のあるコースです。我々の今年のパフォーマンスがアウディやポルシェと同じレベルにまで届いていないことは分かっており、また厳しい挑戦となるでしょう。

しかし、我々のすべきことはTS040 HYBIRDからその能力の全てを引き出して戦うことです。アレックスとの最後のレースを良い結果で終えられることを願っています。

マイク・コンウェイ(TS040 HYBRID #2号車)
私にとってバーレーンは、WECでの初勝利を挙げたコースで、忘れられない場所です。また、今年のWECが行われるコースの中で、LMP1カーで長距離を走った経験がある2つのうちのひとつでもあります。

TS040 HYBRIDでのコース習熟の必要もありませんし、この週末を楽しみにしています。2015年シーズンの最終戦ということで、困難な状況下でも常にベストなサポートをしてくれたチームへ感謝の言葉を贈りたいと思います。

シーズン最終戦、特にアレックスのためにも、好成績で締め括れることを期待しています。

TOYOTA GAZOO Racingのバーレーンでの戦績
2012  #7号車予選3番手、決勝リタイア
2013  #7号車予選1番手、決勝リタイア
2013  #8号車予選2番手、決勝1位
2014  #7号車予選4番手、決勝1位
2014  #8号車予選2番手、決勝11位

TOYOTA GAZOO Racingの2015年シーズンこれまでの戦績
– シルバーストーン
#1号車予選4番手、決勝3位
#2号車予選6番手、決勝4位
– スパ
#1号車予選6番手、決勝8位
#2号車予選7番手、決勝5位
– ル・マン
#1号車予選8番手、決勝8位
#2号車予選7番手、決勝6位
– ニュルブルクリンク
#1号車予選5番手、決勝5位
#2号車予選6番手、決勝6位
– COTA
#1号車予選5番手、決勝4位
#2号車予選6番手、決勝リタイア
– 富士
#1号車予選5番手、決勝5位
#2号車予選6番手、決勝6位
– 上海
#1号車予選5番手、決勝6位
#2号車予選6番手、決勝5位