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トヨタ自動車、電解液中のリチウムイオンの挙動観察手法を世界で初めて開発


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リチウムイオン電池搭載車両の航続距離拡大、電池寿命向上につながる研究・開発に寄与

トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田章男、以下 トヨタ)は、リチウムイオン(以下、Liイオン)電池が充放電する際の電解液中のLiイオンの挙動を観察する手法を世界で初めて(※1)開発した。

(※1)大強度X線と重元素を含む電解液を組み合わせてラミネートセルで可視化する手法(2016年10月現在、トヨタ調べ)

この手法により、Liイオン電池の性能低下の原因の一つであるLiイオンの偏りをリアルタイムで観察することができ、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の航続距離や電池寿命といった電池の性能・耐久性向上に不可欠な研究・開発指針が得られると考えている。

Liイオン電池は、正極に金属酸化物を、負極に炭素材料を、電解液として有機電解液を用いた電池である。充電時は正極から負極へ、放電時は負極から正極へ、Liイオンが電解液中を移動することで電流が流れるため、充放電において電解液中のLiイオンは重要な役割を担っている。

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車載用Liイオン電池の内部構造と原理

これまで、充放電によって電極や電解液中のLiイオンの偏りが発生することは明らかになっており、その偏りが電池の使用領域を制限、すなわち電池の持つ性能を最大限引き出せる領域が減少する原因の一つとなっていた。

しかし、Liイオンの偏りが生じるメカニズムを解明するにあたり、これまでの手法では製品の環境・条件と同一の状態で電解液中のLiイオンの挙動が確認できないという課題があった。

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放電中の状態

こうした課題を解決するために、今回、新たに開発した観察手法の特徴は、以下の2つである。

世界最高性能の放射光を生み出す大型放射光施設「SPring-8(※2)」の豊田ビームライン(※3)において、レントゲン装置の約10億倍の大強度X線を用いて、0.65ミクロン/ピクセルの高解像度かつ100ミリ秒/コマの高速計測を可能とした。

(※2) 特定国立研究開発法人理化学研究所(理研)が施設者として包括的運営を行う世界最高性能の大型放射光の実験・研究施設。運転・維持管理は公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)が行っている。(SPring-8 : Super Photon ring-8 GeV)

(※3) (株)豊田中央研究所が理研とJASRIの協力を得て、専用ビームラインとして設置したもの

多くのLiイオン電池で使用されているリンを含む電解液ではなく、今回新たに重元素を含む電解液を使用し、Liイオンが電解液中を移動する際に結合する「リン含有イオン」を「重元素含有イオン」に置換した。

重元素はリンに比べX線を透過させにくいという性質があり、X線透過後の撮影画像における影の濃淡が強くなる。こうして、重元素の挙動を観察することにより、電解液中で重元素と結合しているLiイオンが偏る動きの観察を可能とした。

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今回新たに開発した観察手法

上記の手法を用いて、製品同等の電池(ラミネートセル)を使用し、実際に使用される環境・条件と同一の状態で、充放電の経過とともに電解液中のLiイオンの偏りが生じるプロセスをリアルタイムで観察することが可能となった。なお、今回の観察手法は、(株)豊田中央研究所、(株)日本自動車部品総合研究所及び4大学(※4)と共同で開発した。(※4)北海道大学、東北大学、京都大学、立命館大学の4大学

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放電時における電解液中のLiイオンの偏り

今後、正負極やセパレーター、電解液の材料や構造、電池の制御の違い等によるLiイオンの挙動を観察し、電池性能低下のメカニズムを解析することで、搭載車両の航続距離や電池寿命といった電池の性能・耐久性向上に向けた研究開発につなげていく。