トヨタ、第44回東京モーターショー2015・プレスブリーフィング


豊田社長スピーチ(抜粋)

豊田でございます。

「What wows you?」。「あなたの心を動かすものは何ですか?」。
これが今年の東京モーターショーでの、私たちトヨタのキーワードです。

toyota-44th-tokyo-motor-show-2015-press-briefing20151106-1

今から約100年前。
T型フォードが登場するまで、アメリカには、人やモノを運ぶために1500万頭の馬がいました。
その後、わずか20年の間に、ほぼ全ての馬がクルマに置きかわったと言います。
なぜ、人々は、クルマを選んだのでしょうか。

いろいろな理由があったと思いますが、馬よりもクルマで移動する方が楽しかったからだと言われています。
クルマの存在そのものが「ワオ」だったのかもしれません。

そして、今から約80年前。
豊田喜一郎は、日本人の頭と腕で、国産車をつくりたい。
日本に自動車産業をおこしたい。そんな思いで、トヨタという会社を設立いたしました。

技術力では欧米から何十年も遅れているばかりか、倒産の危機に瀕し、お金もなかったと聞いております。
喜一郎と彼を支えた仲間たちにあったのは、国産車をつくることで、日本という国を豊かにしたい、自分たちの手で、お客様に「ワオ」をお届けしたい、そんな思い、情熱だけだったのではないでしょうか。

時は流れ、今や私たちのお客様は全世界へと広がりました。
世界中のお客様に「ワオ」をお届けすること。
私たちのクルマが走る、世界中の町を、社会を、もっともっと楽しくしていくこと。
それが、私たちトヨタの使命だと思っております。

今回の東京モーターショーに展示したクルマには、共通点があります。
それは、「もっといいクルマをつくりたい」という思いを胸に、自分たちの考える「ワオ」を形にしようとしたことです。

そして、これは「今の非常識を、次の常識にする」チャレンジでもあります。

ハイブリッドカー、燃料電池自動車。いずれも、かつては「非常識」でした。
「非常識」はやがて「常識」になり、居心地の良い場所となる。
しかし、この居心地の良い場所から抜け出さなければ、「未来」を切り拓くことはできません。

私たちが生きていく中で、「できない」「無理だ」と諦める理由は、いくらでもあります。
しかし、ゼロ打数ゼロ安打では、世の中、何も変わらない。
ヒットを打てるかどうかなんてわからない。
それでも、バッターボックスに立たないと、「ワオ」は起こせない。

それを私たちに教えてくれた方がいます。
本日、私たちの「思い」に共感し、この会場にお越しいただきました。

(中略)

野球を心から愛し、成長し続けるために、常に新しいことにチャレンジする。
日々の練習はもちろん、バットやグラブといった道具の手入れにいたるまで、誰よりも入念な準備を重ねる。
いったんバッターボックスに入れば、どんな結果になったとしても、決して言い訳をせず、すべてを自分の責任として受け入れる。
イチローさんのそんな姿勢に、心から感銘を受けました。

プレーをするフィールドは異なりますが、トヨタのクルマづくり、企業経営の姿勢もこうありたいと思っております。

2020年、東京で、オリンピック・パラリンピックが開催されます。
これは、日本全体がバッターボックスに入るということだと思います。
アスリートはもちろん、大会を支える多くの組織、企業、国民一人ひとりが「世界中に『ワオ』をお届けするんだ!」という思いを共有して、それぞれのバッターボックスに入ることが大切だと思います。

私たちトヨタは「もっと、もっといいクルマ」をつくります。
そして、「もっと、もっと楽しいモビリティ社会」の実現に向けて努力いたします。

「What wows you?」
それは、「勇気をもってチャレンジすること」。

私たちは、これからもずっと、バッターボックスに立ち続けたいと思います。
みなさん、私たちと一緒に、やりましょうよ!

ありがとうございました。