東洋ゴム工業、新中期経営計画を策定。グローバルサプライヤーとしてのポジション確立を目指す


東洋ゴム工業株式会社(本社:大阪府大阪市西区江戸堀、社長:清水隆史)は3月10日、2017 年を起点として取り組む4ヵ年の新中期経営計画「中計’17」を策定した。

それによると同社は、先の2014年6月に2016年まで3ヵ年を展望して策定した中期経営計画「中計’14」を発表し、自動車用タイヤを製造するアメリカ工場およびマレーシア工場の能力増強、北米市場におけるピックアップトラック/SUV/CUV 用タイヤの増販などを中心に、計画を推進してきた。

但し同計画は、2015年12月期に一年前倒しで営業利益計画を達成したものの、結果として、2016年12月期の着地に於いては、為替レートの影響や原材料価格の低位安定による価格圧力等により、売上高、営業利益ともに未達となった。

一方、外部変動要素を最小限にとどめる事業戦略が奏功し、営業利益率は 3 ヵ年にわたって目標を上回ることができたとしている。

そこで同社は、今後予想される事業環境の動向を前提に 2020 年の先を見据え、持続的な成長を実現するために、その礎となる中期的なシナリオとして、新たな中期経営計画を策定したと云う。

その方針は、グループ全社がワンチームとなって独自ポートフォリオの強みを発揮することにより、顧客の期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、豊かな社会づくりに貢献できる企業をめざしていくというもの。

その戦略概要は以下の通りとしている。

【タイヤ事業戦略】
◎事業方針
利益極大化に向けた事業基盤の強化

– 北米市場の商品力強化と増販に向けた体制強化
– 市場動向に応じた商品ミックス最適化
– 驚きのある商品を提供する開発力・技術力の進化
– ブランド力の向上と効率的な供給体制の構築

◎技術戦略
独自のタイヤ設計基盤技術の強化(進化)

– タイヤの背反性能の両立を高次元で実現し、商品開発へ展開
– 商品化に向けた要素技術の革新
– アグレッシブデザインと高性能を両立、差別化商品をスピーディーに開発

◎商品戦略
商品開発力の強化

– ピックアップ用タイヤ:強みを活かしたさらなる商品戦闘力を強化
– 乗用車用タイヤ:グローバルで存在感ある技術力を具現化
– トラック・バス用タイヤ:技術優位性の高いポジショニングを獲得

◎ブランド戦略
グローバル市場における存在感の向上

– 多様な媒体で製品特長やパフォーマンスの高さを訴求
– スポーツを通じたアグレッシブなブランドの姿を訴求

◎販売戦略
市場動向に応じた商品ミックス最適化

– 地域別にターゲットを定め、強み・特長を発揮する商品ミックスを最適化
– 強みのさらなる強化(ピックアップトラック/SUV/CUV タイヤ)
– グローバル販売構成比率を 40%に
– グローバル新車装着用タイヤに占める販売構成比率を 50%に

◎市場戦略
北米市場での確固たる地位の確立

– 大口径ピックアップトラック分野での存在感を向上
– ピックアップトラック/SUV/CUV 用タイヤ販売数量を 2016 年度比 30%増に
– マーケティング/R&D 機能を充実、ニーズに応える商品をスピーディーに開発
– 独自の A.T.O.M.工法による最適供給、販売拡大によって競争力を向上
技術基盤強化と欧州発グローバル展開
– 世界的に要求性能水準の最も高い欧州に R&D 機能を設置
– 欧州でのマーケティング力/技術力強化に基いた商品をグローバルに展開

◎供給戦略
オペレーションの最適化とポートフォリオ強化

– 市場ニーズ・販売動向に機敏に対応できる最適物流体制を構築
– 市場ニーズ・販売動向に柔軟に対応できる供給コンビネーションを実現
– 2020 年以降の成長を見据えた新たな生産拠点の検討

【ダイバーテック事業戦略】
◎事業方針
高機能商品へ注力しつつ、グローバルサプライヤーとしてのポジションを確立

– 自社技術の優位性を活かした高機能商品の進化と製造原価低減の両立
– 顧客密着戦略によるグローバル供給体制を整備
– 新たな組織体制で新規顧客を獲得

◎基本戦略
自動車部品事業のグローバル成長を加速

– タイヤ事業との相乗効果を追求
– 自動車メーカーへの総合的な提案
– 顧客密着戦略によるグローバル成長

◎技術戦略
モビリティを中心とした事業成長を担保する新連携体制

– 新組織傘下での連携強化によって自動車部品技術開発力を向上
(タイヤ技術開発部門/自動車部品技術開発部門/基盤技術研究部門)
– オープンイノベーションによって多様化するニーズへ対応

◎顧客密着戦略
自動車メーカー密着によるグローバルサプライヤーとしてのポジション確保

– コスト競争力の強化
– 省スペース・軽量化等の価値向上

【コーポレート基盤強化】
◎経営基盤の強化
経営基盤の強化を図るため機能別組織へ
– 事業を縦軸にした事業本部制から生・販・技の機能軸で専門能力を発揮
– 企画・管理機能は事業組織の調和・統合を推進するコーディネート力を発揮
– コンプライアンス/品質/安全・環境の基盤機能を事業経営の前提条件に企業風土の改革
成長の源泉となる働く基盤の変革と充実
– よき企業風土醸成とベクトル合わせにまい進
– ワンチームとしての意識・機能を統合
– 闊達な人材組織の基盤を形成
– 働きがいのある環境を整備
新たな理念を制定
– よき企業風土を育み、社会から求められる企業に向けて意識を変革
– 同じベクトルに向かって事業推進を図るための原理原則として浸透