東京海上、豪IAG社のタイ・インドネシア損保を428億円で買収


東京海上ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 グループCEO:永野 毅)は、IAG社のタイ、インドネシアの損害保険現地法人を5億2500万オーストラリアドル(428 億円)で買収する。

具体的には、同社グループの東京海上日動火災保険株式会社を通じて豪州 InsuranceAustralia Group Limited 社より傘下のタイ、インドネシアの損害保険現地法人を獲得することでIAG 社と6月19日に合意に至ったと発表したもの。

なお同買収は、両国に於ける当局認可等が得られたものから順次完了となる見込み。(*最終的な買収価格は、買収時までの純資産価値の変動等に応じて調整される予定。為替レートは2018年3月末レート:1オーストラリアドル=81.6円)

1. 買収の背景
東京海上グループは、海外保険事業の規模・収益の拡大をグループ全体の成長ドライバーと位置づけ、先進国および新興国の両市場に於いて内部成長力の強化と戦略的な M&A の推進によって、グローバルな成長機会と分散の効いた事業ポートフォリオの構築を追求してきた。

こうした戦略の下、先進国では米HCC社など一連の買収により事業規模を拡大。
一方、当社海外保険事業の事業別利益に占める新興国拠点の割合はまだ 1 割弱であり、今後中長期的に高い成長が見込まれる新興国マーケットではM&A を実施し、事業の規模・収益を拡大することで、さらなる地域分散を図ることを新中期経営計画「To Be a Good Company 2020」の重点施策として掲げている。

これを踏まえ、今回下記、IAG社傘下のタイ、インドネシアの損害保険現地法人の買収に動いた。

2. 買収の概要
(2-1)買収対象企業名:Safety Insurance Public Company Limited(セイフティ)
主な所在地:タイ・バンコク
設立年:1941年
資本金:15億円
グロス保険料(2017 年度実績):311億円
税引後利益(2017 年度実績):5億円
(*2017年は大口ロスの頻発により成績が悪化。過去5年、2013-2017 年平均の税引後利益は12 億円)
従業員数(2017 年 12 月末):1,281名
IAGの株式保有割合:98.6%

特徴:2017年度元受収入保険料実績ベースで業界第8位(マーケットシェア4%)、自動車保険では業界4位(マーケットシェア6%)。タイ全土をカバーする67 の本支店、16 のクレームサービス拠点と、代理店・ブローカー・ディーラー等多様で強固な販売網を有する。自動車保険の高いブランド力・充実したクレームサービス体制と高い事業効率に強みを持つ。
(為替レートは 2018年3月末レート:1タイバーツ=3.4 円)

(2-2)買収対象企業名:PT Asuransi Parolamas(パロラマス)
主な所在地:インドネシア・ジャカルタ
設立年:1964年
資本金:13億円
グロス保険料(2017 年度実績):2億円
税引後利益(2017年度実績):▲2億円
従業員数(2017年12月末):126名
IAGの株式保有割合80%

特徴:デジタル技術を活用した販売・サービスの高度化と効率化を推進している。
(為替レートは2018年3月末レート:1インドネシアルピア=0.0077円)

3. 買収条件
セイフティ、パロラマス両社の IAG 保有株式を現金で買収。(*Parolamas社の少数株主が保有する20%分についても追って買収する予定)

4. 買収資金
買収のための資金は全額グループ内の手元資金を予定。

5. 本買収の戦略的意義
買収により、同社は東南アジア最大の損害保険市場であるタイに於いて全種目合計第 3 位(マーケットシェア 8%、外資系としては第 1 位)、自動車保険では第 2 位(マーケットシェア 9%)の損害保険グループとなる。

日系企業が数多く進出し、今後も中間所得層の拡大等により着実な成長が見込まれるタイ損害保険市場で以下の取組みを通じ、当社グループの海外保険事業の規模・収益の拡大と、タイの保険市場の更なる発展に貢献していく。

(5-1)タイマーケットにおけるプレゼンス拡大
タイ損害保険業界3位(自動車保険2位)の規模とマーケットにおける高い認知度、およびタイ全土をカバーする販売・クレームサービス網を活かして、当社タイ損害保険事業の収益性と成長性の更なる向上を図る。

(5-2)セイフティ社/当社タイ損害保険現地法人(TMITH 社)の高い補完性の活用
セイフティ社は、タイにおける自動車保険で高いマーケットシェアと収益性を実現しており、主に日系企業向けに保険商品・サービスを提供している TMITH 社との高い補完性が期待される。両社の強みを併せることで個人・企業両分野に亘る幅広い顧客ニーズに合った質の高い商品・サービスを提供する。

(5-3)シナジーの実現
セイフティ社が有する強固な販売網を通じた当社グループ会社のスペシャルティ保険商品の販売や、セイフティ社の充実したクレーム体制・ネットワークを活かしたタイでのグループ全体のクレームサービスの向上といったシナジー効果を見込む。

<参考>
6. 東南アジア各国の保険市場概況(引用:Swiss ReInsight2017)
(6-1)タイ
東南アジア最大の保険市場であり、今後も中間所得層の拡大等市場の更なる成長を見込んでいる。
人口: 69 百万人
会社数(内資・外資): 60(内資 37 社・外資 23 社)
保険料規模 :約 7,200 億円
主要種目 :自動車(60%)、個人傷害(13%)
過去 5 年(2013-2017 年)平均成長率: 2%
2018-2028 年平均成長率(見込み): 8%
(為替レートは2018年3月末レート:1タイバーツ=3.4円)

(6-2)インドネシア
近年の人口ボーナス、経済成長を受け市場の更なる拡大を見込んでいる。
人口 :264 百万人
会社数(内資・外資): 76(内資 55 社・外資 21 社)
保険料規模 :約 4,600 億円
主要種目 :自動車(29%)、火災(29%)
過去 5 年(2013-2017 年)平均成長率: 9%
2018-2028 年平均成長率(見込み) :12%
(為替レートは2018年3月末レート:1インドネシアルピア=0.0077円)

(6-3)シンガポール
人口 :6 百万人
会社数(内資・外資) :62(内資 5 社・外資 57 社)
保険料規模 :約 3,200 億円
主要種目 :自動車(30%)、火災(13%)
過去 5 年(2013-2017 年)平均成長率 :1%
2018-2028 年平均成長率(見込み) :4%
(為替レートは2018年3月末レート:1シンガポールドル=81.0円)

(6-4)マレーシア
人口 :32 百万人
会社数(内資・外資) :22(内資 11 社・外資 11 社)
保険料規模 :約 4,700 億円
主要種目 :自動車(49%)、火災(19%)
過去 5 年(2013-2017 年)平均成長率 :2%
2018-2028 年平均成長率(見込み) :7%
(為替レートは2018年3月末レート:1マレーシアリンギット=27.5円)

(6-5)ベトナム
人口 :95 百万人
会社数(内資・外資) :30(内資 16 社・外資 14 社)
保険料規模 :約 2,000 億円
主要種目 :自動車(33%)、個人傷害(27%)
過去 5 年(2013-2017 年)平均成長率 :15%
2018-2028 年平均成長率(見込み) :14%
(為替レートは2018年3月末レート:1ベトナムドン=0.0047円)

(6-6)フィリピン
人口 :105 百万人
会社数(内資・外資): 64(内資 53 社・外資 11 社)
保険料規模 :約 1,800 億円
主要種目 :自動車(33%)、火災(32%)
過去 5 年(2013-2017 年)平均成長率 :15%
2018-2028 年平均成長率(見込み) :11%
(為替レートは2018年3月末レート:1フィリピンペソ=2.0円)