ポルシェ「ミッションE」の生産拠点を、独・ヴュルテンベルク州首相が初視察


独バーデン・ヴュルテンベルク州首相のヴィンフリート・クレッチュマン氏がポルシェ本社を訪問し、最新鋭EVの生産過程を初見学

独・ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト、社長:オリバー・ブルーメ)本社をドイツ時間の7月13日、独・バーデン=ヴュルテンベルク州の州首相ヴィンフリート・クレッチュマン氏が訪問し、同社初の電動システム生産に於けるパイロット過程を初視察した。

写真左から、ヴュルテンベルク州(Baden-Württemberg)首相のヴィンフリート・クレッチュマン氏(Winfried Kretschmann)、ポルシェAG社長オリバー・ブルーメ氏(Oliver Blume)、ポルシェAGグループ労使協議会議長のウーヴェ・ヒュック氏(Uwe Hück)、生産・物流執行取締役会メンバーのアルブレヒト・レイモールド氏(Albrecht Reimold)

より具体的には、ヴィンフリート・クレッチュマン州首相は同日、ポルシェAGのオリバー・ブルーメCEO、並びに同社の生産&ロジスティック担当取締役アルブレヒト・ライモルド氏、さらに同社グループ労使協議会議長のウーヴェ・ヒュック氏の3者と会談した。

なお今回、クレッチュマン州首相が訪れたドイツ南西部・シュトゥットガルト近郊のツッフェンハウゼンは、1964年のデビュー以来、「ポルシェ911」が脈々と造り作られてきた地である。

生産現場の写真は、伝統のポルシェ911シリーズの生産ラインの様子。先2017年11月5日の100万台達成時のもの。911シリーズは、1963年の登場から54年で100万台ラインオフを達成した。

このため今会談では、豊かな当地の伝統を受け継ぎつつ、未来に備えることを目指す同拠点の生産改革や、電気自動車に関するポルシェの将来的な方向性など、主に経済問題に焦点を絞った意見交換が行われた。

また同会談の際、クレッチュマン州首相はこれを機会に、ポルシェAG初の電気駆動システムを生産するパイロット過程を回り、説明等を受ける機会を得た。

そのクレッチュマン州首相は、ツッフェンハウゼンの新しいポルシェのエンジン工場を視察した後、「ポルシェ本社におけるミッションEのコンセプトは、同社がドイツの電気自動車分野に重きを置いたバリューチェーンを構築し続け、そのための作業場も確保していることを示しています。

またツッフェンハウゼンの新しいエンジン工場の建物は、どの角度から見ても模範的です。

なぜなら生産拠点を中心とした周辺住民の環境面にも配慮し、持続可能性な地域経済を育んでいくものであるからです。

このような取り組みは、環境に配慮したロールモデルとしてとても重要です」と述べ、その取り組みを称えた。

一方、これを受けてポルシェAGのオリバー・ブルーメCEOは、「電動システムを搭載したコンセプト自体は、ポルシェにとっては決して新しい分野ではありません。

しかしポルシェ社の歴史上、昨今は、新しいプラグインハイブリッド車の開発・生産を通して、ドライブトレインの電動化を一貫して推進してきました。

なぜならEモビリティは、当社の製品戦略の重要な柱に育ちつつあり、かつこのドライブトレーンは、実のところポルシェ ブランドとの相性は完璧であるからです。

そして私たちは、モータースポーツでの経験を生産の場に活用しながら、当社初の完全な電気自動車の生産準備を、当初の予定に添ってフルスピードで進めています。

そんな私達が、生産段階に於いて特に重視しているのは持続可能性であり、そのために、CO2排出を抑えた生産工法を慎重に選択し、ミッションEを生産することを目指しています」と述べた。

加えて「同社グループ労使協議会議長のウーヴェ・ヒュック氏は、会談の最後に「今日、自動車産業は大きな変換期にあります。

従来の内燃エンジンから、ハイブリッド駆動という橋渡しになる技術を経て電気自動車へと、焦点がめまぐるしく変化する新しい時代に入ったのです。

 

同時に、インダストリー4.0とデジタル化によって、オフィスや生産の場でのネットワーク化が可能になり、新しい働き方も可能になりました。

そして、デジタル化の波は、すでに社会へ普及していますが、今後は、これを事業上の基礎に据えて形成していく必要があります。

これは古い考え方を一掃しつつ、従業員の個人的な権利とプライバシーを保護することも包括して守っていくことを意味しています。

従って、この取り組みに反対ばかり唱える人は、職場に於いては障害でありリスクです。未来を形作るには、勇気と先見の明が必要なのです」と、生真面目でルールを重んじるドイツ人気質らしいコメントで結んでいる。