欧州委員会、2030年代に運転者不要の完全自動運転社会を目指す


欧州連合の欧州委員会(本部:ベルギー ブリュッセル市、委員長:Jean-Claude Juncker<ジャン=クロード・ユンカー>)は同地域時間の5月17日、ヨーロッパの交通・輸送システムを変革するべく3つの行動指針を示した。

その指針は「走行車両を含めたモビリティ社会のインフラ対策」「大型輸送車両のための新たなCO2基準の策定」「EV開発の加速化とコネクテッド領域に於ける未来戦略」の3つ。

その目的は、欧州地域の競争力を支え、地域に暮らす全ての人が、より安全な交通手段、汚染の少ない環境、高度なモビリティ技術の恩恵を享受できるようにしていくことだと云う。

具体的には、来る2020年代に高速道路上での完全自動運転を実現。都市部に於いては、低速走行時の自動車運転支援機能の実装とその運用を可能とし、さらに2022年には、それ以降に生産される全ての新型車に通信機能を搭載したコネクテッドカーにしていくとする。

そしてさらに2030年代には、完全自動運転車が社会の標準となる世界の実現を目指していく。またこれらを順次実施していくため、2018年中に欧州連合の各加盟国に対して、モビリティ環境整備に関わる安全基準の統一作りを開始するとした。

こうした施策により、未来の自動車は高度な安全機能が標準搭載されることがあたりまえになる。ゆえに同目標を達成するべく欧州連合の全加盟国が交通インフラを整備し、これらの投資計画をより明確にしていくよう呼び掛けている。

結果、こうした施策を推し進めることで将来の欧州域内では、例えば2020年から2030年の間に6万人近くの重傷者を削減することができ、2050年までに10,500人の命を救い、いずれは交通事故による重傷者・死亡者ゼロに大きく貢献することができるとしている。

なお大型輸送車両のCO2排出基準計画については、来る2025年に2019年比で15%のCO2排出量削減を達成し、さらに2030年には同比30%の目標値を目指す。さらに欧州委員会としてトラックの空力設計を後押して、長期に於いて持続可能なバッテリーエコシステム実現の行動計画を粛々と消化していく。

最後にコネクテッド領域については、来る2030年代に運転手がいらない完全自動運転社会を実現するべく工程表を発表。この戦略により欧州のモビリティ社会はただ単に「安全」なだけでなく、クリーンで、かつ高齢者などの交通弱者に優しい世界が実現できるとしている。

このために欧州委員会は、交通社会の完全デジタル化の実現を目指し、これによって欧州地域はモビリティ領域で世界のリーダーになると表明している。