帝人、マルチマテリアル技術でトヨタのFC量産バスの商品化に応える


帝人グループは11月2日、傘下で炭素繊維・複合材料事業を展開している東邦テナックス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:乾 秀桂)が製造したルーフカバーが、量産バスとして世界初の販売を予しているトヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男)の燃料電池バス(以下「FCバス」)に採用された。

今日FCバスの開発に於いては、世界的な環境規制の強化が進む中、車体自体の軽量化に関して課題があり、これが不可避なニーズとして昨今顕在化している。

なかでも特にバス型車両の軽量化策の場合、燃費効率の改善貢献に加え車両の走行安定性の確保など、その車体構造上、車体上部の軽量化が求められている。

こうした中で帝人グループは、コンポジット製品の設計・成形加工を手掛けるジーエイチクラフト(本社:静岡県御殿場市、社長:郷家 正義)と基礎設計の段階から協業。

高機能炭素繊維と量産ノウハウ、およびジーエイチクラフトの成形技術を融合することにより、形状が複雑な大型一体部品であるルーフカバーの製造に取り組んできた。

結果、同社らはCFRP(熱硬化性炭素繊維強化プラスチック)に加え、アルミや軽量エンジニアリングプラスチックなどを複合的に使用するマルチマテリアル化を打ち出して、トヨタが要求する条件に柔軟に対応。高外観性、複雑形状、量産化の全ての条件を満たす大型一体部品の製造に成功した。

もとより予てより帝人グループは、本年1月に米国CSP社(Continental Structural Plastics Holdings Corporation)を買収する等、Tier1サプライヤーとして、素材選定から部品設計に至るまでの提案力の強化を図ってきている。

またこうした実績を踏まえて、今分野に関してはマルチマテリアル化に対応したソリューションプロバイダーとなることを目指していると云う。

帝人グループでは、今回のFCバスへのルーフカバーの採用を契機として、グループ内での協業を加速すると共に、自動車業界においてTier1サプライヤーとしてのプレゼンスの拡大を図っていく構えであると述べている。