スズキ、高外観樹脂材料開発と市販車適用で第49回「市村産業賞・貢献賞」を受賞


従来は塗装に頼っていた高外観の内装樹脂部品を無塗装で実現

スズキ株式会社(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:鈴木俊宏、以下、スズキ)は、「高外観樹脂材料の開発と無塗装材着部品への適用」技術で、公益財団法人新技術開発財団より第49回「市村産業賞 貢献賞」を受賞した。

スズキの市村産業賞 貢献賞の受賞は8年ぶり4回目となる。4月26日に帝国ホテル東京において贈呈式が行われる。

今回スズキが受賞した「高外観樹脂材料の開発と無塗装材着部品への適用」については、自動車の樹脂部品の中でも特に高い品質が求められる部位の材料に対する技術的貢献が評価された。

具体的には、光沢感のある外観、光や熱、衝撃に対する耐久性等を満たす樹脂材料(バイオポリカーボネート)を開発し、これに材料着色技術と構造設計技術を合わせて自動車内装部品で実用化した。

【主な採用例】

オーディオガーニッシュ(スイフト、ワゴンR)
インパネガーニッシュ(ハスラー、アルト ラパン)

このように材料着色でありながら、塗装に匹敵する光沢感のある高い外観の品質を実現し、塗装と比べて揮発性有機化合物(VOC)排出削減など環境負荷の抑制に成功した。

スズキはこの技術を、ハスラーのインパネガーニッシュやワゴンRのオーディオガーニッシュ等、内装部品への採用を拡げている。

【受賞テーマ】
「高外観樹脂材料の開発と無塗装材着部品への適用」

【受賞者】
スズキ株式会社
環境・材料・生産技術開発部 深見 優之助(ふかみ ゆうのすけ)
– 四輪内装設計部 野末 将之(のずえ まさゆき)
– 四輪ボディー設計部 福田 智子(ふくた ともこ)

市村産業賞 貢献賞 概要
リコー株式会社創業者市村清氏の発案により、(財)新技術開発財団が主催する賞である。

科学技術の進歩と産業の発展を対象として、産業分野、学術分野で多大なる貢献をした個人またはグループを表彰する。

スズキとしては、1985年度の「オートバイのエキセントリックカム式リヤーサスペンションの開発」、2004年度の「排気マニホールド用バナジウム添加耐熱鋳鉄の開発」、2008年度の「低価格・低環境負荷を実現した高速めっきシステムの開発と実用化」に続き、今回で4度目の受賞となる。

公益財団法人 新技術開発財団 Webサイト:http://www.sgkz.or.jp/ 

高外観樹脂材料について

【高外観樹脂材料のしくみ】
植物性由来のイソソルビトを主原料としたバイオポリカーボネート(バイオPC)と特殊スチレン系ゴムを配合することにより、高耐光性、高耐傷付き性、高耐熱性、高耐衝撃性、その他の必要性能を有する透明樹脂材料を開発した(図1)。

自動車内装部品の新法規UN-R21にも対応する。本材料はスズキが培った材料着色技術のベース材料として真価を発揮し、従来は塗装に頼っていた高外観の内装樹脂部品を無塗装で実現することができる。
*UN-R21 車室内の乗員保護のため、自動車の型式指定の際に適用される法規基準。

【高外観樹脂材料の効果】
従来は黒系が中心であった自動車インパネ回りに、多彩な色による新しい加飾スタイルを実現した。

無塗装化の結果、塗料に含まれる揮発性有機化合物(VOC)の排出を低減(図2)すると同時に、コスト削減も達成した。