スズキ、2016年3月期決算を発表。今期増収増益も次期は為替影響で不透明


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スズキ株式会社(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:鈴木俊宏、以下、スズキ)は5月10日(火曜日)、2016年3月期の決算を発表した。

それによると年明け以降、日本国内に於ける円高傾向や、先行きの不透明感。さらに中国やアセアンでの景気停滞の影響など、該当期については懸念材料が複数あった。

実際、日本国内に於ける売上高は、軽自動車税増税の影響やOEM売上の減少により、1兆479億円と前期に比べ、467億円(4.3%)減少した。

しかし一方で、欧米並びにインド市場に於ける景気回復が順調に進んだことから、該当期の連結売上高は、3兆1,807億円と前期に比べ1,652億円(5.5%)増加するなど、総合成績では増収増益で終えている。

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決算概要の具体的内容は以下の通り。

1.2016年3月期決算の業績概況
該当期の連結売上高は、3兆1,807億円と、前期に比べ1,652億円(5.5%)増加した。

このなかで国内売上高は、軽自動車税増税の影響やOEM売上の減少により1兆479億円と、前期に比べ467億円(4.3%)減少した。

その眼を海外に転じると、該当売上高は、インドでの四輪車の売上増加等により、2兆1,328億円と前期に比べ2,119億円(11.0%)増加している。

これによって連結利益面では、営業利益がインドでの増益等により1,953億円と前期に比べ159億円(8.9%)増加している。

経常利益は2,091億円と、前期に比べ148億円(7.6%)の増加。親会社株主に帰属する当期純利益は、1,167億円と前期に比べ198億円(20.4%)増加した。

なおスズキでは、新中期経営計画「SUZUKI NEXT 100」として、2019年度の株主還元目標として連結配当性向15%以上を掲げていた。

これを踏まえて該当期に付いては、「自己株式取得及び自己株式消却を実施した」こと、「フォルクスワーゲンAG普通株式の売却益を除く親会社株主に帰属する該当期純利益」などを基礎に、期末配当金で、1株につき前期と同額の17円になる予定と云う。

なお、これらの要素を踏まえたなかで、中間配当金を含めた年間配当金は32円としていく予定。これは前期より1株につき5円の増配となる。

2.各セグメントの状況
個別セグメント別の成績でまず、四輪車事業の国内売上高は、軽自動車税増税の影響や、OEM売上減少で前期を下回った。

対して海外売上高は、欧州市場の「ビターラ」の販売実績、インド、パキスタンでの販売増加等により前期を上回った。

この結果、四輪車事業の売上高は2兆8,785億円と、前期に比べ1,765億円(6.5%)増加した。

上記を原資にした営業利益は、インドでの増益等により1,926億円と前期に比べ208億円(12.1%)増加した。

二輪車事業は、欧州を中心とする「GSX-S1000」の貢献や、インド市場で「ジクサー」の販売貢献があったものの、インドネシア市場の低迷により2,339億円と、前期に比べ166億円(6.6%)減少した。

これにより二輪事業に於ける営業利益は、品質関連費用の確保もあって前期の営業損失7億円から102億円の営業損失なった。

特機等事業は、米国での船外機の売上増加等により683億円と前期に比べ53億円(8.3%)増加した。営業利益も129億円と前期比、46億円(55.8%)増となった。

個々所在地別の営業利益は、日本が研究開発費、減価償却費の増加等により848億円と、前期に比べ59億円(6.5%)減少した。

一方、インド、パキスタンは増益となり1,038億円と前期に比べ222億円(27.2%)増加した。

3.次期の連結業績予想
次期は欧州、インドなどで四輪車の販売増加を見込んでいるものの、為替円高もあり減収減益を見込んでいる。

(連結業績予想…通期)
売上高:3兆1,000億円(前期比 2.5%減)
営業利益:1,800億円(前期比 7.8%減)
経常利益:1,850億円(前期比 11.5%減)
親会社株主に帰属する当期純利益:930億円(前期比 20.3%減)

(連結業績予想…次期・第2四半期累計)
売 上 高 1兆5,000億円 (前年同期比 3.6%減)
営 業 利 益 900億円 (前年同期比 11.0%減)
経 常 利 益 925億円 (前年同期比 17.5%減)
親会社株主に帰属 する四半期純利益 465億円 (前年同期比 41.2%減)

(想定為替レート):1米ドル=105円、1ユーロ=120円、1インドルピー=1.60円、100インドネシアルピア=0.80円、1タイバーツ=3.00円

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なお、同会見の最後で、記者から昨今の燃費問題についての質問もあったが、これについて同社・代表取締役会長・鈴木修氏は、「車両開発は、品質・軽量化など様々な観点での技術競争がある。

それは燃費だけの問題ではなく、総合力による競争となる。従って、特段燃費に於いて過当競争になっているとは、作り手側・販売側からは考えていない。

また軽自動車離れに関する懸念については、お客様の選択眼に委ねたい。自身としては、大規模な影響が及ぶことはないと現段階では考えている」と述べた。

以上