大荒れのスーパーGT第4戦SUGO、1・3位トヨタ、日産2位、ホンダ最上位は5番手


GTアソシエイション(所在地:東京都品川区、代表取締役:坂東正明)が主催するスーパーGT第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースが7月23日の午後、宮城県柴田郡村田町のスポーツランドSUGO(宮城県)で行なわれた。

レースコンディションでは、断続的に降雨が続く荒れた展開となり、GT500クラスは予選7位から昨年のチャンピオンであるNo.1 DENSO SARD KOBELCO LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平)が今季初優勝を果たした。

これでLEXUS LC500は開幕4連勝を飾っている。2位には最後尾スタートのNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rが食い込み、GT-R勢にとっては今季初表彰台獲得となっている。

3位は、大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組 WAKO’S 4CR LC500 6号車が獲得したことでドライバーズランキング上で首位に立つことになった。

一方、GT300クラスは予選17位から大逆転で首位に立ったNo.11 GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)が勝利した。

5月に行われた第3戦オートポリスから丁度2か月。本格的なモータースポーツシーズンを迎えて、SUPER GTはこの第4戦から第6戦まで、7月、8月の6週間で3戦を戦う「夏の3連戦」を迎えている。

予選GT500

22日(土)午前中の公式練習は好天の下、真夏の暑さの中でのセッションとなったが、その後空は雲に覆われ、予選開始直前にはわずかに雨もぱらついたが、それでも路面がウエットになるような本格的な雨に降られることなく一、予選はドライコンディションで行われた。

GT300クラスの赤旗により、予定よりも6分遅れた午後2時36分にGT500のQ1が開始。15分間のセッションだが、前半はどの車両もコースインせず。セッションが半分を過ぎた7分半あたりからコースへ。

セッション終盤、タイヤが暖まった車両により目まぐるしくタイムシートが塗り替えられていく中、LEXUS勢ではWedsSport ADVAN LC500 19号車の関口雄飛が好走を見せ2番手タイムをマーク。

コバライネンの1号車も6番手。そして昨年のポールシッターであり、SUGOを得意とする6号車のカルダレッリは、重いウェイトハンデをはねのけ8番手でQ2進出。

一方で、ランキングトップ3のKeePer TOM’S LC500 37号車、ZENT CERUMO LC500 38号車、au TOM’S LC500 36号車はウェイトハンデに苦しみ、11、12、13番手でQ1敗退となった。

Q2は15分遅れの午後3時半に開始。12分間のセッションながら、こちらも最初の5分は全車コースに出ず。6号車の大嶋を先頭に、19号車の国本、1号車の平手と続いてアタックを開始した。

19号車の国本が3周目に1分11秒台に入れその時点でのトップへ。NSX-GT勢にこのタイムは塗り替えられたが、LEXUS勢最上位の2列目4番手グリッドにつけ、1号車は7番手、6号車が8番手と4列目に並ぶこととなった。

予選GT300

GT300クラスでは、午後2時10分のQ1(15分)開始時はワイパーを動かす車両も見られたが、結局それ以上雨は強くならず、路面も濡れずにドライタイヤのままセッションは進行した。

セッション開始5分でコースオフ車両により赤旗中断。残り10分でセッションが再開されると、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 51号車の坪井翔が5番手タイムをマーク。

SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車の飯田章も8番手につけ、60号車としては初となるQ2進出を決めた。

TOYOTA PRIUS apr GT 31号車がぎりぎり14番手でQ2進出。TOYOTA PRIUS apr GT 30号車はトラブルに見舞われタイムを伸ばせず。25番手でQ1敗退となった。

Q1での赤旗の影響により、予定よりも6分遅れの午後3時1分からQ2(12分)開始。好調な60号車の吉本が計測2周目にその時点でのトップタイムをマークした直後、残り7分でクラッシュ車両によりまたもセッションは赤旗中断。

再開後、既にタイヤのピークは過ぎたと思われた60号車だったが再アタックに入り、タイムを更新。しかし、マザーシャシー車両2台が60号車のタイムを上回り、60号車はコンマ2秒差で惜しくも3番手。しかし、GT3勢では最上位、そしてLEXUS RC F GT3で3年目の挑戦となる60号車にとって過去最高のグリッドとなった。

嵯峨宏紀がアタックした31号車が6番手。中山雄一がアタックした51号車も最後までアタックを続け、7番手につけた。

決勝GT500

23日(日)の決勝当日は朝からの雨で、11時45分からの併催レースFIA-F4は完全なウェットコンディションで行われることになった。

午後12時55分からのウォームアップ走行時も、ほぼ雨は止んでいたものの路面はウェット。しかし、その後も雨は降らずに路面は乾いていき、スタート時のタイヤ選択に悩まされる状況で午後2時30分に、宮城県警のパトカー先導による交通安全パレードに続き、81周の決勝レースがスタートした。

スタート前ライン上はやや乾きかけていたが、フォーメーションラップ中に雨が強くなり、スリックタイヤでのスタートを選択した車両は大きく後退した。

LEXUS勢では最上位グリッドの4番手に付けた19号車 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛)がオーバーラン。後方グリッドから逆転を狙った38号車もスリックタイヤを選択したため、ウェットタイヤを履いたGT300クラスの車両に飲み込まれてしまった。

一方10番手スタートのNo.64 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット)が追い上げ、トップ集団がNSXという展開となるのだが、ホームストレートへ戻ってきたNo.17 KEIHIN NSX-GT(小暮卓史)のリアカウルが外れて飛び上がるアクシデントが発生。17号車はピットへ戻ったもののリタイアとなってしまう。

このNSX-GT勢を7番手スタートの1号車コバライネン、8番手スタートの6号車カルダレッリがこれを追う展開に。

5周目、GT300車両のクラッシュによりセーフティカーが導入。11周目にレースが再開されると、1号車コバライネンと6号車カルダレッリが前の車両を激しく追走。NSX-GTはトラブルとスピンで2台が脱落したため、1号車、6号車は3位争いを繰り広げることとなった。

さらにレースも折り返し近くなった39周目、クラッシュ車両によりこの日2度目のセーフティカー。これで独走していた首位と2位以下のマージンは帳消しとなった。

その頃には雨も止み、ライン上は乾いてきていたため、ピットロード進入禁止であるセーフティカーランが明けたと同時に6号車、翌周に1号車がピットへ。

1号車がコースへ復帰した直後、3度目のセーフティカーが導入。このセーフティカーが幸運に働いたのが1号車。平手に交代した1号車は、再スタート後に前を行く4台がピットインしたため首位に浮上した。

終盤は2位のGT-Rから猛追を受け、次々に現れる周回遅れの処理で2位との差は広がったり詰められたりが続いたが、残り10周を切ったあたりでまた雨が降り始め厳しい戦いに。

最後の数周はテール・トゥ・ノーズでのバトルとなり、ファイナルラップに入ったストレートから1-2コーナーではサイド・バイ・サイドのバトルに。しかし、抑えきった1号車平手は首位を堅守。

最終コーナー手前では雨が強くなり、濡れた路面で1号車はわずかにコースアウト。しかし、追走するGT-Rもコースオフ。同時にコースに復帰した2台は、接触しながらのバトルを繰り広げたが、堪えきった1号車がトップでチェッカー。

開幕戦で3位に入り、第2戦、第3戦も上位を争いながら結果に結びつかなかった1号車がようやく今季初勝利を挙げ、LEXUS LC500は開幕から4連勝を飾った。

周回遅れになったものの、3位以下も激しいバトルが繰り広げられた。このバトルを制した大嶋の6号車が3位表彰台。今季3度目の表彰台獲得で、未勝利ながらドライバーズランキングでは首位に立った。

終盤中嶋一貴が猛烈な追い上げで観客を沸かせた36号車は7位。最も重いウェイトハンデで健闘を見せた37号車も10位でフィニッシュし、貴重なポイント獲得を果たした。

決勝GT300

対してGT300クラスでは、LEXUS RC F GT3の2台、プリウスの2台は全車ウェットタイヤを選択し、順調にレースを開始した。

3番手スタートの60号車は飯田がスタートを担当。序盤のポジションを守り切れず、徐々に順位を落とすことに。

一方、好調だったのが中山雄一の駆る51号車。1度目のセーフティカーランからの再開後、12周目には3位、翌周には2位へとポジションを上げた。

また、6番手スタートから6位、7位前後で好走を見せていた久保の31号車は17周目にコースオフ。ポジションを落としてしまった。

その後も2位をキープし続けた51号車だったが、セーフティカーとピットのタイミングが合わず順位を落とし、13位でフィニッシュ。

逆にこのセーフティカーが上手く働いた60号車、31号車はそれぞれ5位、6位へとポジションを上げ、チェッカー。60号車は初となるトップ5フィニッシュを果たした。

GT500決勝1位 No.1 DENSO KOBELCO SARD LC500   ヘイキ・コバライネン
クレイジーなレースだった。路面コンディションは完全に濡れているわけでも、乾いているわけでも無い、微妙な状況でのスタートだった。

こういう時は常に戦略とタイヤチョイスがキーになる。我々はハードのウェットタイヤを選択したが、それが上手く行った。

また、レース中も常にレーダーをチェックして、細かく路面の状況を確認するなど、タイヤ交換でのタイムロスを最小限にすべく努力したのが効を奏したし、ウェイトハンデを考えても車両のバランスは良かった。

セーフティカーのタイミングもラッキーだった。今回はタイヤチョイス、車のパフォーマンス共に満足行くもので、上位を争って勝つことが出来て嬉しい。

GT500決勝1位 No.1 DENSO KOBELCO SARD LC500  平手晃平
難しい状況でのスタートで、最後の最後までエンジニアとドライバーでどっちのタイヤでスタートするかで相談し、結果的にウェットタイヤの選択が良い方向に働いて、ヘイキも力強い走りをしてくれた。

ピットインはエンジニアと決めていたタイミングがものすごく良い方向に働いて、おかげで46号車と2台で首位を争う形になったが、このコンディションだとタイヤの傷みが早いので、後との間隔を見ながら走った。

残り1周に入ってからのバトルを何とか制し、そのままゴールかと思ったのだが、馬の背に突入したあたりから雨脚が強まっており、最後はドライブするのが大変だった。

ただ、同じタイヤのLEXUS勢の中ではペースも最も良かったし、チームが毎戦本当に良いクルマを作ってくれている。

第2戦富士、第3戦オートポリスと2回勝てる力が合ったのに結果に繋げられなかったので、今回こうしてチャンピオンシップに争いに戻ってこられて良かったと思う。

このSUGOは僕にとっての第二の故郷とも言える場所なので、ここで勝てたのは特別で、今日は良いお土産を持って帰れる。

GT500決勝2位 No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R 本山哲
結果的にこのポジションに来れたというのはすごくうれしいし、応援して下さったファン、スポンサー、そしてチームや千代(勝正)も含めてみんなに感謝したい。

今日はセーフティカーが何回も入り、天候も悪くてピットのタイミングも難しかった。どこで入るか悩んで悩んで…悩み抜いて、その結果、チームがベストな選択でピットに入れてくれた。

もちろん優勝することがベストだが、シーズンが進むにつれ、まずは表彰台に上がって大きなポイントが欲しいと思っていた。

今年のシーズンオフはいろいろ難しい状況だったが、今回、日産がエンジンを換えてくれて、少しずつ進歩もしているので、こちらもがんばっていかないと。

今日は天候などで運・不運もあったとは思うが、その中で2位になれたことは大きい。

ただ優勝が目前だったし、勝てそうだったので悔しい。平手の優勝を助けてしまった人生初のレースになった(笑)が、最後にいいバトルができて良かった。

GT500決勝2位 No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R 千代勝正
雨でのスタートっていうのが僕たちの助けになった。ウォームアップでウエットタイヤの手応えが良くて、前半で結構順位を上げることができたし、荒れた展開の中で常に落ち着いて走ることもできたと思っている。

何度かセーフティカーが入ったりしてピットインするタイミングがすごく難しかったけど、2回目のセーフティカーの時かな、リスタートのタイミングで入ることはできたが1周長く走った方が前に出られるんじゃないかということでステイしたら、そのピットストップの直後にセーフティカーが入ったことで後ろをラップダウンすることができた。

チームと無線でやりとりしながらの本当に一瞬の判断だったし、運も大きかったとは思うが2位になれて本当に良かった。

あとはやっぱり本山さんの素晴らしい走りで、優勝には届かなかった。けれど優勝に匹敵するレースだったと思うし、チームみんなで頑張った結果なので本当に嬉しい。

今シーズンは開幕から苦しい流れできたが、ここでいい流れに変えられたと思うので後半戦は巻き返したい。富士でも優勝目指す。

GT500決勝3位 No.6 WAKO’S 4CR LC500 大嶋和也
1号車が入ったタイミングの方が良かったかも知れないが、あのタイミングで選べた作戦としては最善だったと思う。

セーフティカー明けにピットアウトしてきた3位争いの集団が前に4台入ってきてしまい、彼らをその周にパスできない限りチャンスは無かったので、そこに勝負を賭けて攻め、なんとか抜いてこられたのがポイントだったと思う。

あとは終盤タイヤが辛くなったところに8号車、次に23号車が結構いいペースで追いついてきて、そして最後の2周はコース後半セクションで雨も降ってくるなど厳しかったが、なんとか抑え切れて良かった。

次戦以降は更にハンデがキツくなるが、今回のレースなどを上手く生かして、しぶといレースを戦い、シリーズをリードできるように頑張りたい。

GT500決勝3位 No.6 WAKO’S 4CR LC500 アンドレア・カルダレッリ
とても難しいコンディションだった。レース中、何度もコンディションが変わり、GT300クラスの車両をかわしながらペースを維持するのも、タイヤをセーブするのも大変だった。

しかし、チームが素晴らしい仕事をしてくれて、僕と和也もミス無く走れたし、ピットストップも良かった。ただ、セーフティカーのタイミングがアンラッキーで、自分たちが予定していた1周前にセーフティカーが出てしまった。

その点はアンラッキーだったが、表彰台に乗れたのは良かったし、チャンピオンシップ的にも多くのポイントを獲得出来たので満足している。

GT500クラス
順位_No. _車名_ドライバー
1__1__DENSO KOBELCO SARD LC500
_ヘイキ・コバライネン/平手 晃平
2__46__S Road CRAFTSPORTS GT-R
_本山 哲/千代 勝正
3__6__WAKO’S 4CR LC500
_大嶋 和也/アンドレア・カルダレッリ
4__23__MOTUL AUTECH GT-R
_松田 次生/ロニー・クインタレッリ
5__8__ARTA NSX-GT
_野尻 智紀/小林 崇志
6__16__MOTUL MUGEN NSX-GT
_武藤 英紀/中嶋 大祐
7__36__au TOM’S LC500
_中嶋 一貴/ジェームス・ロシター
8__64__Epson Modulo NSX-GT
_ベルトラン・バゲット/松浦 孝亮
9__100__RAYBRIG NSX-GT
_山本 尚貴/伊沢 拓也
10__37__KeePer TOM’S LC500
_平川 亮/ニック・キャシディ