スーパーフォーミュラ第6戦・菅生、アンドレ・ロッテラーが独走で今季2勝目


山本が2位で今季初表彰台。3位は野尻。石浦は5位でランキング首位を死守

10月18日(日)、スポーツランドSUGO(宮城県)で2015年全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦の決勝レースが開催され、ポールポジションスタートのカーNo.2 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TOM’S SF14)が、レース中盤以降、独走状態を築いて今季2勝目を挙げた。

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2位は、カーNo.16 山本尚貴選手(TEAM 無限 SF14)、3位にはカーNo.40 野尻智紀選手(DOCOMO DANDELION M40S SF14)となった。

なおドライバーズチャンピオン争いでは、今回5位のカーNo.38 石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が、そのままランキングリーダーを死守、最終戦鈴鹿(11/7、8)に臨む。

レースは、気温22度、路面温度33度となった午後2時30分。19台のマシンで争われた。ホールショットを決めたのは、予選2番手だったカーNo.1 中嶋一貴選手(PETRONAS TOM’S SF14)。

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前日ポールポジションを決めていたカーNo.2 アンドレ・ロッテラー選手は、スタートに失敗して2番手に後退。この2台に続いたのは、カーNo.16 山本尚貴選手。カーNo.38 石浦宏明選手という布陣だ。

トップ争いが白熱したのは、レース開始後10周を過ぎた頃。14周目の最終コーナーで、ロッテラー選手は中嶋一貴選手をオーバーテイクし逃げ切り体制へ移行。

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抜かれた中嶋選手を含めた3台による2番手争いは、ピットストップ戦略で山本選手が先行。レース終盤に向けて山本選手、野尻選手、中嶋選手、石浦選手という順位でドラマは佳境に突入する。

この間、トップを走るロッテラーは、自身の手綱を緩めることなく、そのまま68周を走り切ってゴールラインを潜る。

2位以下は、各車各コーナーで先行する前車へアタックを重ねたものの、最終的に順位を覆すことは叶わず、結局、2番手を守り切った山本選手が一昨年以来の表彰台を獲得。続く野尻選手が、第2戦岡山以来の嬉しい表彰台に立った。

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中嶋選手は4位に沈み、ここのところ好調をキープし続けてきた石浦選手は5位に終わった。

結果、ドライバーズポイントは、石浦選手がシリーズを通した貯金を効かせて45点でトップをキープ。

中嶋選手が6ポイント差の39点で2番手。ロッテラーとデ・オリベイラの両名が31ポイントで3番手。

チームタイトルの方は、ここまでで69点を積み上げてきたPETRONAS TEAM TOM’Sが今シーズンの首位を決めている。

super-formula-round-6-sugo-season-second-victory-in-the-runaway-andre-lotterer20151019-1優勝、No.2 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TOM’S SF14)
とってもいい気分ですね! 今日のレースはとてもいい展開になりました。

スタートは良かったんですが、でもクラッチが滑ってしまって…。逆に(中嶋)一貴のほうがいいスタートを切ったんです。なので、どうやって彼を抜こうかと考えました。

彼のスリップストリームについて走っているときに、僕のクルマのほうがいい状態だということがわかったし、彼にも近づくことができました。

最終コーナーの状態も僕のほうが良かったようなので、すぐさまオーバーテイクシステムのボタンを押して立ち上がり、メインストレートで逆転することができました。

今日はクルマの仕上がりが素晴らしく、レースを楽しむことができました。クルマのバランスがとても良かったし、やりたいようにできたし、走りたいようにレースをしたって感じですね。楽しい一日でした。

(タイトル獲得の可能性がある鈴鹿に向けて)この流れで最終戦の鈴鹿も勝ちを狙っていきます。今年は開幕戦(鈴鹿)で優勝してるし、クルマも完璧だったので、次もそれができると思います。今週末と同じようないい週末にしたいですね。

super-formula-round-6-sugo-season-second-victory-in-the-runaway-andre-lotterer20151019-32位、No.16 山本尚貴(TEAM 無限 SF14)
今週末は組み立てとしてはいいものができたかなと、チームも僕自身ともにそう思います。

ただ、もう少し早いテンポで予選からいいクルマに仕上げることができていたら、と思います。(決勝日)朝のフリー走行で躓いた感じもあるので、そこが唯一悔いの残るところですね。

ただ予選2列目をしっかりと維持して課題だったスタートもうまく決めることができたので、そこが2位になれた一番の部分だと思いますね。あとは戦略ですかね。

(後ろにつけていた)石浦選手が早めにピットインしたことに合わせる形になってしまいました。そこでタイヤ交換もせず、重いガソリンを積んだクルマの状態で走ることになり、タイヤを傷めることになったので、終盤は厳しかったですね。

(2013年に)チャンピオンを獲ってから一度も表彰台に上がってなかったし、速さがありながら結果に結び付けることが、(ここまで)ドライバー自身としてもできなかった。今回は、勝つことはできませんでしたが、2位表彰台に上がることができて、最終戦につながる戦いができたのかなと思います。

スタートで気にしていたのは、後ろにいたJP(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)と視界に入っていた石浦(宏明)選手でした。このふたりしか見えなかったのですが、まず石浦選手がホイルスピンして失速したのがわかったので、なんとか彼の前に出たい、それとJPが来るだろうと思ったので、彼のラインを封じることに徹しました。

スタートがうまく決まって良かったです。(ピット作業が7.3秒と比較的短かったことに対して)燃料はかなりギリギリでした。前に出るためにもそうだったのですが、給油量も時間もかなり削りました。あとは細かくエンジニアとやりとりをしてたのですが、「結構ギリギリ」と言われていました。

がんばって(燃料を)セーブしました。でも、野尻(智紀)選手がずっと1分7秒4とか5というタイムでずっと走っていたのを知って、ピットイン前の時点で彼に5秒くらい差をつけていたんですが、「このままでは野尻選手に前に出られてしまう」と思いました。

あまり燃費のことばかりを考えていると野尻選手にやられる(先行されてしまう)ので、プッシュするときはプッシュし、その中でも燃料をがんばってセーブするドライブをしました。終盤、野尻選手の前に出たときは、向こうもあまりペースが上がらなそうだったので、最後はもう燃費を気にしながら走っていました。

最終戦の鈴鹿に向けてはとても悩むところですね。開幕戦ではポールポジションを獲ったし、スタートもうまく決めることができていたら勝つこともできたと思うんです。

そういうクルマが僕たちにはありました。ただそのクルマで(第2戦)岡山以降、まったく歯が立たなかった(結果を残すことができなかった)んです。そこで、前回のオートポリス戦からクルマのセットを大きく変えて、SUGOでうまく行ったので、(最終戦では)「どっちで行く?」って感じですね。

僕もエンジニアも悩みどころかなと思います。その辺は鈴鹿に向けてしっかりとメニューを持ち込んで、フリー走行でしっかりと見極めたいし、それが大事な作業になるでしょう。

あと個人的には、タイトル争いをしているドライバーたちに「山本、厄介だな」っていう存在になりたいですね。そうやってレースをかき乱したいと思います。

super-formula-round-6-sugo-season-second-victory-in-the-runaway-andre-lotterer20151019-43位、No.40 野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40S SF14)
昨日の朝のフリー走行ではすごく好調だったので、このままニュータイヤを履けば(予選で)ポールポジションを狙えるなと思っていました。

僕もチームもポールしか狙っていなかったんです。でも、予選に入ると思ったようなグリップ感を得ることができず、僕自身もQ1で(スピンする)ミスをしてしまったので、今あらためてそのミスが流れを少し狂わせてしまったのかなと思います。そこはすごく悔やまれますね。

今日のペースを見る限り、予選でもう少し違った展開になっていたら、決勝でもまた違った走りができてもう少し上位で戦えた、トップを狙える可能性もあったと思うので、そのミスが反省点ですね。

ただ最後までこのようにプッシュし続けて表彰台にまた乗れたのはすごくいいことですし、また最終戦でいい戦いをしてなんとか一番に立てるように、最終戦もガンバっていきたいですね。

(レースでのピットアウトで真横に山本がいたが)僕は正直なところ、山本選手と争っているのを知りませんでした。プッシュするだけしか方法がなかったし、一方でチームからは、僕に話しかけるとペースが落ちてしまうだろうと、多分気を遣って何も言わなかったんだと思います。

でもピットを出たときは、山本選手がミラーにちょうど映らないところからちょうど横に来たという感じで、それがもしもうちょっと見える位置であれば、もうちょっと違ったライン取りができて、抑えられたのかもしれないですね。

そこはもう、隙を突かれた感じですね。気付いたときはもう、イン側に山本選手がいてどうすることもできませんでした。

ここ最近、思ったようなフィーリングを得られず、これまでと同じようなセットアップでもどこか違うっていうことが多かったんです。今回の予選でもそうでしたが、予選での一発の速さを出さないとこのレースは勝負ができないと思うので、これからミーティングを重ね、鈴鹿に向けていいものを用意したいと思います。

優勝チーム監督、舘 信秀 監督(PETRONAS TEAM TOM’S)
アンドレ(ロッテラー)は、土曜日の走り始めから非常に好調でしたね。今回は大きくセッティングを変えるようなこともなく、細かいところばかり(の調整)で、たいへん調子が良かったですね。

たぶん、(国際レースにも出て)多忙の身だから身体的には相当疲れているのかもしれないですが、すごく“ノッてた”ような気がしますね。純粋にアンドレの優勝はうれしいです。ただ、(中嶋)一貴を表彰台に乗せて上げられなかったのは、残念です。

今回でチームタイトルが確定したということですが、ありがとうございます。チームタイトルが獲れたのだからオーナーとして喜べばいいんでしょうが、常にドライバーズタイトルのほうを気にしていて…。毎年そうなんですけどね(笑)。

でもうれしいです。うちのチームがなぜ強いのか、その理由はよくわかりませんが、少なくともドライバーふたりとエンジニアふたりとのコミュニケーションはいいですよね。ふたりそれぞれが合っているんだと思います。