国交省と経産省、自動車の新燃費試験法「WLTP」導入の方針をまとめる


ministry-of-land-infrastructure-and-transport-mlit-mandatory-labeling-is-clarification-of-the-license-plate20151229

国土交通省と経済産業省は3月25日、乗用車等の燃費試験法への「WLTP(※1)」導入についての合同会議(※2)を実施した。

その内容によると、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づく燃費基準に係る乗用車等の燃費試験法へのWLTPの導入に関して、パブリックコメント(※3)を経てWLTP導入の方針をとりまとめている(※4)。

両省は、今回のWLTPの導入を果たす事により、自動車製造事業者における技術開発等を通じ、より一層の燃費改善の進展が期待されるとしている。

summarize-the-executive-branch-the-new-fuel-efficiency-test-method-wltp-the-introduction-of-the-policy-of-the-automobile20160327-2

(※1):乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure(WLTP)

(※2): 総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会自動車判断基準WG・交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会自動車燃費基準小委員会合同会議

(※3):本とりまとめについての国民の皆様からのご意見及びご意見への考え方については、電子政府の総合窓口(e-Gov)のHP< http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public >にて閲覧出来る。

(※4):合同会議とりまとめについては、経済産業省のHP< http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/19.html >にて閲覧出来る。なお現計画では本年春を目処に関連法令等の改正を行う予定としている。

summarize-the-executive-branch-the-new-fuel-efficiency-test-method-wltp-the-introduction-of-the-policy-of-the-automobile20160327-3

とりまとめの概要抜粋
自動車の燃費基準の達成判定に於いて、既存の燃費試験法である JC08燃費試験法に加えて、新たに国際連合において定められた WLTP 燃費試験法の活用が可能となるよう、必要な措置を実施する。

(1)対象範囲
乗用自動車(ただし、車両総重量 3.5t 超かつ乗車定員 10 人以上のものは除く)及び車両総重量 3.5t 以下の貨物自動車とする。

(2)燃費基準値
既存の燃費基準である JC08 燃費基準の基準値に対して、当該基準値が適用される車両の WLTP 燃費値を、製造事業者等における燃費基準の達成判定において使用可能とする(※5)。

(3)目標年度
現行の目標年度を踏襲することとする。
(乗用車)2015 年度及び 2020 年度 (貨物車)2015 年度及び 2022 年度

(4)達成判定方式
現行の達成判定方式を踏襲することとする。

(5)表示事項
WLTP 燃費値及び JC08 燃費値を表示(ただし、片方の燃費値を取得していない車両については当該燃費値を表示しなくてもよいものとする)

(※5)全体的な傾向としては、WLTP 燃費値は JC08 燃費値と比較して同水準かより低い(燃費悪化側)値となる傾向が確認された。

そのため、当該基準値が適用される車両のWLTP 燃費値を、製造事業者等における燃費基準の達成判定において使用可能としても既存の燃費基準である JC08 燃費基準の緩和とならないことが明らかになった。

以下は合同会議 委員名簿(敬称略・五十音順)
– 座長兼委員長:大聖泰弘 早稲田大学理工学術院教授(委員)
– 青山佳世 フリーアナウンサー(自動車検査独立行政法人理事)
– 石井素 独立行政法人交通安全環境研究所環境研究領域長
– 草鹿仁 早稲田大学理工学術院教授
塩路昌宏 京都大学エネルギー科学研究科長
– 竹岡圭 モータージャーナリスト
– 近久武美 北海道大学大学院工学研究院教授
– 永井正夫 一般財団法人日本自動車研究所代表理事研究所長
– 松村恵理子 同志社大学大学院工学研究科准教授

WLTPモードとは
WLTPモードとは「ワールドハーモナイズド・ライトビークル・テスト・プロシージャ(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedures)」の頭文字を取った新たに策定を検討している自動車の国際燃費基準。

現在、日本のカタログ燃費はJC08モード、米国ではLA4モード、ヨーロッパではNEDCモードが使われており、この燃費測定方式を統一を目指す新方式がWLTPモードである。

測定試験の細目では、右記の4つの走行フェーズの用意ある。(1)ローフェーズ(60km/hまでの市街地)
(2)ミドルフェーズ(80km/hまでの一般道)
(3)ハイフェーズ(100km/hまでの都市高速)
(4)エクストラハイフェーズ(130km/hまでの高速道路)。
具体的には、走行距離でWLTPモードでは15.01km。平均速度は36.57km/h。走行時間は1477秒(約25分)。

一方、JC08モードでの場合、走行距離は8.17km。平均速度は24.41km/h。走行時間1200秒(20分)となる。

総じてJC08モードに比べ、エンジンに負荷が多くなる傾向があり、アイドリングストップ時間もJC08モードに比べると比較的短くなることから、車両によると実数値に変化が生まれるケースもあると見られる。