トヨタ自動車、TNGAを取り入れた「新型カムリ」の国内販売を開始


トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男、以下トヨタ)は7月10日、カムリをフルモデルチェンジし、全国のトヨペット店・トヨタカローラ店・ネッツ店(東京地区は東京トヨタでも販売)を通じて発売する。

写真左からトヨタ自動車MS製品企画チーフエンジニアの勝俣正人氏、同社専務役員でミッドサイズ・バーチャルカンパニープレジデントの吉田守孝氏、カムリアンバサダーのテリー伊藤氏

なおこれを踏まえ、東京都江東区に於いて同日、報道機関向けの記者発表会を実施した。

ちなみにカムリは、1980年に国内専用モデル「セリカ カムリ」(FR車)として誕生し、2年後の1982年にはFFレイアウトを採用して車名を「カムリ」に刷新。以降グローバル販売を開始した。

それ以降、ここのところ暫くの間、日本国内では些か影が薄かったカムリなのだが、米国では「トヨタのグローバルミッドサイズセダン」として15年連続乗用車販売台数No.1を獲得したのを始め、100カ国以上の国や地域で販売されて累計1,800万台超えを記録した。

これを踏まえ新型カムリは、同社が謳う「性能」「智能」を突きつめることで「官能」をもたらす『心揺さぶる上質セダン』をコンセプトにしたと述べている。

具体的には、2015年3月に発表されたTNGAに基づくプラットフォーム思想を取り入れ、その車台に載せるユニット・電子系等の部品を再開発した。そしてこれらを通して、国内消費者の感性に沿う上質な乗り味を実現したと云う。

また、運転のしやすさを追求した上で、上質で仕立ての良い室内空間、最新の予防安全装備の充実など、新たな上級ミッドサイズセダンとして進化させたとする。

確かに今日の新型車発表会に於ける実際の車両は、室内等の仕上げを中心に車格の底上げを図ったようで、上質感のあるフィニッシュを尽くして仕立て上げられている様子であった。

なお見た目の印象は、先の通り上質であるものの極めてコンサバティブな面も見え隠れするもの。しかも車両供給の流通網に於いても、傘下のほぼフルチャンネルから供給される事から、幅広い年代・属性をターゲットとしていかなければならない。

立ち上がりは米国に於ける前評判もあり、当初は大いに健闘するものと思われるが、より永い眼で見た場合、狙うべき消費ターゲット層がシャープになり辛い面も見えてくる。

一方、車両自体の完成度は高いと見受けられるだけに、それに見合う販価も含め、今後のプロモーション戦略の善し悪しが、これまでの日本国内に於ける影の薄さを払拭する鍵になると考えられる。

トヨタ自動車に於けるラインナップ上の位置付けは、今後の市場推移・動向次第ではあるが、クラウンを頂点とするセダンラインナップを下支えする屋台骨として、大きく育てていきたい構えであるのだろう。

実際の細部の走りについては、MOTOR CARSに於いても、機会が得られれば積極的に検証していきたいと考えている。

販売概要
– 販売店 :全国のトヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店(東京地区は東京トヨタでも販売)
– 月販目標台数 :2,400台
– 店頭発表会 :7月15日(土)、16日(日)、17日(月・祝)
– 生産工場:トヨタ自動車 堤工場
– メーカー希望小売価格(北海道、沖縄のみ価格が異なる。単位 : 円)

車両概要は以下の通り
– TNGAに基づき、エンジンおよび乗員レイアウトを下げることで、低重心シルエットを実現。
– フロントは、トヨタ独自のキーンルックを進化させ、スリムなアッパーグリルと、立体的で大胆に構えたロアグリルを対比させた。

– Bi-Beam LEDヘッドランプは、3層に重なったLEDクリアランスランプで、横方向への広がりと奥行きのある高い質感を表現した。
– TNGAに基づいた部品の小型化や、レイアウトの見直しでインストルメントパネルの厚みを抑えた他、エンジンフード、カウル、ベルトラインを下げ、視界を改善した。
– ナビゲーションと、ヒーターコントロールパネルが一体となったセンタークラスターパネルには、フラッシュサーフェスデザインを採用。

– 継ぎ目のない金属調加飾を筆頭に、素材の見せ方や豊かな風合いで上質な空間を演出。
– 上質な乗り味と低燃費を両立するプラットフォームTNGAに基づく重量バランス・車両安定性の向上を通して上質な乗り味を実現。
– 安定した高速走行に寄与する液体封入式のエンジンマウントを4点すべてに採用(トヨタ初)して最適配置することで、高トルク化による振動や静粛性へ対応した。
– サスペンションは、フロントに新開発のマクファーソンストラット式を採用。一方リヤにはダブルウィッシュボーン式を採用した。

– 切り始めのレスポンスが軽快で、すっきりした手ごたえを伝えるラック平行式電動パワーステアリングを採用。またステアリングコラムの剛性も高めた。
– ボディ骨格部に「環状骨格構造」を採用して、ボディのねじれ現象を抑制し、優れた操縦安定性を実現した。
– 骨格の接合部には先進技術の溶接手法「レーザースクリューウェルディング(LSW)」を採用。さらに「構造用接着剤」の使用を併用して剛性を強化した。
– さらに超高張力鋼板「ホットスタンプ材」を適用拡大して軽量化を果たした。

– パワートレーンには、最大熱効率41%を実現したTNGA新エンジン「ダイナミックフォースエンジン2.5」とハイブリッドシステム(THSⅡ)を組み合わせて、33.4km/Lの低燃費と優れた動力性能を両立させた。
カムリ車両情報:http://toyota.jp/camry/