ソニー、360度視覚センサー搭載で窓不要のニューコンセプトカートSC-1を開発


今秋、新型のエンタテインメントロボットaiboを発表したソニー株式会社(本社:東京都港区、代表執行役社長 兼 CEO:平井 一夫)は10月24日、AI×ロボティクス研究の一環として新たな移動体験の提供を目的に「New Concept Cart(ニューコンセプトカート)SC-1」を試作開発した。

SC-1は乗員の操作による運転に加え、クラウドを介して遠隔からの操作でも走行が可能。

また人の視覚能力を超えるイメージセンサーを車両前後左右に搭載していることから、360度全ての方向にフォーカスが合された映像で周囲の環境を把握できる。

このため搭載したイメージセンサーの超高感度な特性と、内部に設置された高解像度ディスプレイにより、乗員が夜間でもヘッドライトなしに視認できるのが大きな特徴となっている。

また、イメージセンサーで周囲を捉えていることから窓が不要となり、代わりにその領域に高精細ディスプレイを配置することで、様々な映像を車両の周囲にいる人に対して映し出す。

さらにイメージセンサーで得られた映像をAIで解析することでインタラクティブに発信する情報を変化させることも可能だと云う。

こうした機能により、車両周囲にいる人の性別・年齢などの属性を判断して、最適な広告や情報を表示することも実現できるとしている。

ちなみにこのSC-1はソニーが独自開発した融合現実感(Mixed Reality)技術も搭載。乗員がモニターで見る周囲の環境を捉えた映像に、様々なCGを重畳することで、従来の自動車やカートでは景色を見るだけであった車窓がエンタテインメント空間に変貌し、移動自体をより楽しめるようにした。

なおSC-1にはイメージセンサーと共に、超音波センサーと二次元ライダー(LIDAR:レーザー画像検出と測距)を搭載。

ネットワーク接続されたクラウド側には走行情報が蓄積され、ディープラーニングで解析することで、最適な運行アシストに繋げると共に、車両に搭載した複数のセンサーからの情報をエッジ・コンピューティングで判断し、安全な走行をサポートする。

写真:学校法人沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)
写真:学校法人沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)

開発にあたってソニーは、先の2017年9月より学校法人沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)のキャンパスに於いて、SC-1の実証実験を開始。

この実証実験はOIST Integrated Open Systems Unit(北野ユニット※)との共同研究であり、各種走行試験に加え、太陽光など自然エネルギーの利用も含めた電力利用や、走行時の消費電力の低減及び最適化の考察などを行ったもの。

※OIST教授の北野宏明氏が推進する再生可能エネルギーによる自律分散マイクログリッド・システムやモビリティ・システムなどの統合を基盤としたサステイナブル・アーキテクチャのプロジェクト。

New Concept Cart SC-1の主な仕様は以下の通り
全長:3140mm × 全幅 :310mm × 全高:1850mm
乗車定員:3名
走行速度:0~19km/h
搭載機器:
車内:49インチ 4K液晶モニター 1台
車外:55インチ 4K液晶モニター 4台
イメージセンサー 35mmフルサイズ Exmor R® CMOSセンサー 5台