自動車部品製造の独シェフラーAG、米南部地方に投資し雇用拡大をアピール


自動車並びに産業機械サプライヤーのシェフラーAG(本社:独・ヘルツォーゲンアウラハ、CEO:クラウス・ローゼンフェルド<Klaus Rosenfeld>)は、同社米国拠点のひとつであるサウスカロライナ州・フォートミル工場の拡大に3,650万ドル(3,250万ユーロ相当・約40億円)を投資し、105人の新規雇用創出をアピールした。

今拠点拡大は、工場自体の生産面積を約3,250平方メートル拡大したもの。これに伴い8速・9速・10速等の多段式オートマチックトランスミッションで使用されるスラスト軸受のプレス加工、熱処理、取り付けに関わる技術能力の向上を図った。

また拠点内には、約6,000平方メートルのスペースに最新のオフィス区画を新設。さらにはマルチメディア対応のカンファレンスセンター、社員用レストランなどが追加設置されている。

こうした新社屋拡充の取り組みは、同社がかねてより推進してきた「New Work(新しい働き方)計画」の実施に添ったもの。

現地時間の6月7日に行われた同拠点開所式の式典には、同族株主のマリア‐エリザベート・シェフラー‐トゥーマン氏、監査役会代表のゲオルク・F.W.シェフラー氏、シェフラーCEOのクラウス・ローゼンフェルド氏が出席した。

開所式の式典でシェフラー‐トゥーマン氏は、サウスカロライナに拠点を設けておよそ50年に及ぶ歴史を以下のように振り返った。

「50年に及ぶ米国拠点は、私たち家族の歴史にとっても常に重要な場所であり続けたところです。それゆえに我々は、絶え間ない設備投資を通じて、このサウスカロライナ州に大きく貢献してきました。

またこれまで当社は、企業文化として従業員の能力開発の重要性に注力し、常にその取り組みを育んでききました。

シェフラー成功の鍵は有能な従業員にあり、それこそが当社の企業価値の源泉です。

それは本社があるドイツ国内のみならず、米国でも同じです。私は、1980年から一貫して米国で導入してきた当社独自の研修生プログラムの成果を心から誇りに思います」と語った。

シェフラー‐トゥーマン氏に続いて登壇したシェフラーAG・CEO、クラウス・ローゼンフェルド氏は、「シェフラーは、2つのフォートミル工場のうちの1拠点の生産能力を拡大するため、これまでに約3,650万米ドルを投資しています。

その間、新しい様々な機能を持つ拠点が開設され、マーケットの拡大に伴い今回、新工場ではエントランス部分の大幅改修も実施されました。

当社はこの南北アメリカで、この地の真の企業市民として長期的な価値を提供したいと考えています。

そのゆえ当地事業のさらなる成長に期待し、産業機械並びに自動車の両市場で、設備と人への投資を今後も積極的に行っていきます」と述べた。

なおシェフラーAGは、このフォートミルの工場に加えて、サウスカロライナ州スパータンバーグ、チェローでも工場を運営しており、同社は合わせて8つの工場と、3つの研究開発センターで延べ6,000人の雇用を創出している。

ちなみにシェフラーAGは1883年、フレデリッヒ・フィッシャー氏設計によるボール研磨機で、ころがり軸受の需要を拡大させたことが、事業の始まりとされている。

以降、同社は産業機械に加えて自動車産業でも世界的なサプライヤーとなり、1911年には、米インディアナアポリス州で開催された「第1回インディー500マイルレース」で、同社製玉軸受を組み込んだエンジンを搭載した「Marmon Wasp」がレイ・ハルーンのドライブにより平均時速74.602mphで優勝するなどで名声を築いた。

現在はエンジン、トランスミッション、シャーシ等、高精密部品のサプライヤーブランドとして確固たる地位を獲得。

2016年には約133億ユーロの売り上げを達成。世界中に170の拠点・約86,600人の従業員を擁するヨーロッパで最大の同族所有の工業企業のひとつとなっている。

また日本では、株式会社イナベアリング(1987年創業)とエフ・エー・ジー・ジャパン株式会社(1982年創業)が合併し、2006年にシェフラージャパンが設立されている。現在は、国内4拠点体制で、自動車事業・産業機械事業の両事業を展開中である。