サイバネットシステム、自動車用照明設計ソフトウェアを刷新


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ヘッドランプ、テールランプ、デイタイム・ランニング・ランプなどの解析評価用ソフトウェアで自動車用照明設計・開発をサポート

科学技術分野で解析設計を行うサイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役:田中 邦明、以下、サイバネット)は、ソフトウエア開発会社のSynopsys, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、以下、シノプシス社)が開発し、サイバネットが販売・サポートする自動車用照明設計ソフトウェア(※1)の販売を開始した。

対象製品は、同関連ソフトウエアの最新バージョンにあたる「ルーシドシェイプ(LucidShape)2.1」並びに、「ルーシドドライブ(LucidDrive)2.1」のふたつ。

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上記のうち「LucidShape」は、ヘッドランプ、テールランプ、デイタイム・ランニング・ランプをはじめとする自動車用の各種照明器具の設計、解析、見栄え等の評価を行うソフトウェア。

通常、自動車用照明器具の設計・解析では、先に照明器具の形状をデザイン。造り上げた形状から、光の挙動をシミュレーションして照明性能を確認し、その結果から改めてデザインを作り込む手順が一般的だ。

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一方、LucidShapeは「期待する光の拡がり(照明の性能)から逆に形状を導く」逆解析が可能なアルゴリズム(FunGeo)を搭載しており、初期段階のデザイン時に、照明の性能を満たすように設計を最適化することが可能となるため、設計工程の複雑さや手間を大きく削減することができる。

また、製品の見た目を評価するため、レンダリング画像を作成する機能もあらかじめ搭載されていることから、試作品を作ることなく見栄えの評価も行えることから、短時間で多様な自動車用照明機器を設計できる点に優位性を持っている。

 

一方「LucidDrive」の方は、夜間運転時の照明環境をシミュレーションするソフトウェアであり、設計したヘッドランプの配光分布を事前に取り込むことで、実際に夜間を走行している状況を事前に於いて再現することができるもの。

夜間走行で重要なヘッドランプの視認性確認などの評価が行え、かつ最新の安全機能であるADB(※1)であるマトリックスビーム(※2)を再現することも可能としている。

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※1:ADB(Adaptive Driving Beam):画像認識カメラシステムで対向車・先行車の存在・位置を検知し、対向車や先行車のドライバーがまぶしさを感じないようヘッドランプの光を制御する仕組み。

※2:マトリックスビーム:前方照射領域をマトリックス(配列状)に分割し、分割された領域の照射を個別にON/OFFすることができる技術。これにより、全体の中の一部分だけを照射しないことが可能となり、対向車や先行車にまぶしさを与えることなく遠方が照射できる。

主な機能強化
先進安全機能を再現するサンプルスクリプトを搭載
対向車・先行車ドライバーに幻惑を与えず、かつ遠方照射が可能な「マトリックスビーム」などの高速評価を実現。

対向車に当る光を遮光している制御を再現
昨今、対向車を自動的に検知してハイビームからロービームに切り替える機能や、対向車や先行車に照射される光だけを遮光する技術が注目されている。

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これらの技術は、ヘッドランプの配光とそれを制御するロジックの確立が欠かせない。

そこで、LED光源を複数搭載したヘッドランプを評価するためのサンプルスクリプトや、MATLABを利用してヘッドランプをスイブル(※3)する動きを再現するサンプルスクリプトを用意した。

これにより、制御サンプルが入手できない場合も先進安全機能を評価することができ、また、このサンプルを基にカスタマイズも行えるようになった。

※3:スイブル:旋回、回転などの意味であり、ここでは、自動車が交差点を曲がるときやカーブを曲がるときにハンドルなどに連動して車両進行方向にヘッドランプの光軸を回転させる技術をいう。

年齢なども考慮して、人の眼にどう見えるかを再現
さらにデイタイム・ランニング・ランプなどの評価に最適なグレア評価モデルを追加している。

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グレアモデル(VosやHolladay)なし
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グレアモデル(VosやHolladay)あり

具体的にLucidShapeは、自動車用照明機器の点灯状態を高速にフォトリアルな画像として描画できる機能を持たせている。

この機能に、対向車ドライバーや歩行者の年齢別の視野変化も考慮して眩しさ感を数値化するグレア評価機能を追加した。

LucidShape2.1 の新機能
– VisualizeモジュールのHuman Eye Vision Image(HEVI)インターフェースに、観測者の年齢や視野を考慮するグレアモデルなどを搭載
– 同Human Eye Vision Image 機能のプリセット機能や設定値調整機能を改良
– 大規模モデルでも高速な動作を得られるようにデータの取扱いを改良

※LucidShape2.1詳細
http://www.cybernet.co.jp/lucidshape/products/lucidshape/release/
※LucidDrive2.1 詳細
http://www.cybernet.co.jp/lucidshape/products/luciddrive/release/

シノプシス社
Synopsys, Inc.は、エレクトロニクス機器やソフトウェア製品のソフトウェア開発サポート。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして永年の実績を持つ世界第16位のソフトウェア・カンパニー。< http://www.synopsys.com/japan >

サイバネットについて
サイバネットシステムは、 科学技術計算分野、 特にCAE(※)関連のソフトウェアソリューションサービス事業を展開している。そのカバーエリアは、電気機器、 輸送用機器、 機械、 精密機器、 医療、 教育・研究機関など多様。

具体的には 構造解析、 射出成形解析、 音響解析、 機構解析、 制御系解析、 通信システム解析、 信号処理、 光学設計、 照明解析、 電子回路設計、 汎用可視化処理、 医用画像処理などの領域に於いて顧客ニーズに対応している。< http://www.cybernet.co.jp/ >

※CAE(Computer Aided Engineering)とは、 「ものづくり」における研究・開発時に、 従来行われていた試作品によるテストや実験をコンピュータ上の試作品でシミュレーションし分析する技術。 その効果は、試作や実験の回数を減らし、試作実験による廃材を激減させる環境分野にも及ぶ。