NVIDIAとBaidu、AIの加速に向けた提携を発表


クラウド データ センター、自動運転車、スマート ホームにおけるAI の能力を高めるコラボレーション

NVIDIA Corporation(エヌビディアコーポレーション・本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼 CEO : ジェンスン・フアン、以下NVIDIA)と、Baidu(本社:北京市海澱区、CEO:李彦宏)は7月5日、クラウドコンピューティング・自動運転車・AI ・ホームアシスタントに跨がる提携を発表した。

これは、北京で開催されたBaiduのAI開発者会議で、基調講演を行ったBaiduのプレジデント兼COOである陸奇 (Qi Lu) 氏が、両社の協業計画について発表したもの。その概要は以下通りとなる。

(1)次世代の NVIDIA® Volta™ GPU を Baidu Cloud に採用し、クラウドを介して世界有数のディープラーニング プラットフォームを提供する。
(2)NVIDIA の DRIVE™ PX プラットフォームを Baidu の自動運転車の取り組みに採用し、中国の大手自動車メーカーと共に自動運転車を開発する。
(3)オープン ソースによる Baidu の PaddlePaddle ディープラーニング・フレームワークをNVIDIA Volta GPU 向けに最適化し、研究機関や研究者に広く提供する。
(4)BaiduのDuerOS対話型AIシステムをNVIDIA SHIELD™ TV に追加し、中国の消費者にAI機能を提供する。

NVIDIA のバイス プレジデント兼アクセラレーテッド コンピューティング担当ゼネラル マネージャーであるイアン・バッ氏 (Ian Buck) は、「NVIDIAとBaiduは、ディープラーニングとAIに於ける目覚しい進歩を切り拓きました。

私たちは、AI がこの時代で最も強力なテクノロジであり、あらゆる業界を変革する可能性を持っていると確信しています。

このコラボレーションにより私たちは、両社が持つ優秀な技術リソースを、AI コンピューティング プラットフォームの構築にあてることができます。

このプラットフォームは、学術研究機関からスタートアップ企業にいたるまで、さまざまな組織で画期的な AI アプリケーションや自動運転車の構築に携わる、すべての開発者を対象とするものです」と述べた。

一方でBaiduの陸氏は、「本日、私たちは、NVIDIA との包括的かつ深い提携を発表し、たいへんうれしく思います。

BaiduとNVIDIAは、当社のApollo自動運転車プラットフォームを共同で研究し、NVIDIAの自動車テクノロジを活用します。

また私たちは、緊密に連携し、PaddlePaddle を最高のディープラーニング フレームワークに育て、当社の対話型 AI システムである DuerOS を進化させ、Institute of Deep Learning における研究を加速します」と語っている。なお個別のテーマ毎の施策については以下の通り。

クラウドおよびデータ センターにおける AI
中国有数のクラウド プロバイダーの 1 つであるBaiduは、同社の データ センターにおける AI のトレーニングと推論のため、Tesla® Volta V100 と Tesla P4 GPU アクセラレータを搭載した NVIDIA HGX™ アーキテクチャを展開する。

BaiduのPaddlePaddle ディープラーニング フレームワークと NVIDIAのTensorRT™ ディープラーニング推論ソフトウェアを組み合わせる。

研究者や企業は、最先端のテクノロジを活用し、画像や音声、テキスト、動画をリアルタイムで認識する製品やサービスを開発できるようになると云う。

AI開発を加速するため、両社は協力し、オープンソースによる Baidu の PaddlePaddle ディープラーニング フレームワークを NVIDIAのVolta GPU アーキテクチャにおいて最適化していく。

2013年にオープンソース化されたPaddlePaddle は、現在、Baidu の多くの製品開発に利用されている。

一例として、Baiduの検索ランキング、画像分類サービス、リアルタイム音声認識、視覚文字認識、その他サードパーティの開発企業による AI を活用したサービスなどが挙げられる。

Volta の 120テラフロップスに及ぶディープラーニング性能と PaddlePaddleに対するサポートにより、研究者や企業は、次世代の AI アプリケーション開発に最適なプラットフォームを利用できるようになる。

自動運転車における AI
Baidu は同日、同社の自動運転車プラットフォーム向けに NVIDIA の DRIVE PX 2 AI スーパーコンピューターを採用したことを発表した。

両社は、Apolloとして知られるBaiduの自動運転車の取り組みを協力して進めてきた。

自動運転車のオープン プラットフォームであるApolloは、Tesla GPUやNVIDIA DRIVE PX 2 など、サーバーから自動車まで、NVIDIAのテクノロジをCUDAやTensorRTなどのNVIDIAのソフトウェアと組み合わせて活用していく。

最近、Apollo の進歩を強調するために Baidu がCES Asiaで紹介した自動運転車は、DRIVE PX 2 を活用していると云う。

中国の大手自動車メーカー数社は同日、Apollo のアライアンスに参加すると発表。参加するのは、Changan、Chery Automobile、FAW、Greatwall Motor などとなっている。

家庭における AI
Baidu の対話型 AI システムである Baidu DuerOS は、中国市場において、音声コマンド機能を NVIDIA の SHIELD TV に提供する。

SHIELD により、ストリーミング、ゲーミング、スマート ホーム アシスタントにおける最も優れた製品が実現。

このストリーマーの、中国向けに作成されたカスタム ソフトウェア付きバージョンは、今年中に提供される。