日産自動車、QX50で採用した超ハイテン材の採用車種拡大へ


高成形性980MPa級超ハイテン材の採用拡大は世界初の施策

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川 廣人)は6月18日、新日鐵住金株式会社と共同開発した高成形性980MPa級超ハイテン材(冷間プレス用超高張力鋼板)の採用拡大を図っていくと発表した。

この高成形性980MPa超ハイテン材は、第2世代ハイテン材であり、自動車用鋼板として多く使用されている従来の590MPaハイテン材に近いプレス成形性や衝突時のエネルギー吸収性能を持ちながら、引張強度980MPa以上の高強度を両立したもの。

そのため同素材の車両への採用は、従来プレス成形が困難であった複雑形状部品や、衝突時に乗員を保護するためにエネルギー吸収の役割を担う部品への適用ができるようになる。また超ハイテン材の採用部品を拡大することにより、結果、車体の軽量化をさらに推し進めることが可能にもなる。

予てより同社は、車体の軽量化のために、車体部品における超ハイテン材を25%(重量ベース)以上に採用する目標を掲げ、2013年から高成形性1.2GPa級超ハイテン材の採用をはじめ、超ハイテン材適用技術の開発に向けて積極的な取り組みをしてきた。

そもそも同素材は、2018年3月に米国で発売したインフィニティQX50のフロントサイトメンバーやリアサイドメンバーなどの車体骨格部材として世界で初めて適用したもので、今後は新たに発売を計画している新型車両へと採用枠を拡大していく構え。ちなみにインフィニティQX50では、超ハイテン材適用率27%を達成している。

上記の通りで、超ハイテン材は通常のハイテン材と同等の車体性能を保ちながら鋼板を薄くできるため、車両の軽量化が可能となり、燃費や走行性能を向上させることができる。

また1台あたりの鋼板の使用重量が少なくなることに加え、この超ハイテン材は冷間プレスが可能なため量産に適しており、生産コストを含めた車両トータルでコストの上昇を抑えることも可能だと云う。

日産は、今後も積極的な超ハイテン材の採用を進め、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2022」で掲げるCO2の削減や新規採掘資源への依存低減を推進しいくとしている。