大統領就任式に臨んだ米トランプ新大統領、「TPP」からの離脱及び「NAFTA」の再交渉を示唆


昨年11月、激戦の米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏(70)が、米国東部時間の1月20日の午後(日本時間21日・午前2時)、首都ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓を行い、第45代の米国大統領に就任した。

就任演説で、紺のスーツに赤いネクタイ姿のトランプ氏は、これまでのようにその場で思いつくままに自身の言葉を発するのではなく、また政策アドバイザーのスティーブン・ミラー氏が用意した原稿を読み上げるのでもなく、自ら執筆したとする原稿を前に「米国を再び偉大にする」のスローガンを掲げ、米国第一主義(アメリカ・ファースト)を強調した。

具体的には、「外交に関して他国との友好関係を追求するとしながらも、自国の利益を第一に考えるのは全ての国の権利だ」と主張し、その上で、「米国製品を買い、米国人を雇用する政策を推進する」との方針を示した。

また反トランプ感情の修復も念頭に置き、「今回の政権交代は、ワシントンから皆さんに権力を移すものになる」と語り、全ての米国民に融和と結束を求めた。

なおトランプ氏は1期目の大統領としては歴代最高齢であり、加えて軍務や公職がない初の大統領でもあることから、今後トランプ政権下の米国は、多くの未知の領域に踏み出すとみられる。

実際、就任初日から先の大統領選の際に訴えていた公約の実現に動き、就任演説直後の日本時間21日未明、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱。及び北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を示唆した。

先の18日の指命承認公聴会に於いて、指命された閣僚たちはトランプ新大統の方針に沿って政策を遂行するとしており、環境対策よりも米国の経済成長を優先する姿勢を示していた訳だが、自動車産業を取り巻く経済環境面に於いて、少なくとも短期的には文字通り、不確実な時代に突入したと云えそうだ。