V6ターボで最大トルク600Nmの新型「Audi RS 5 Coupé」を6月より欧州リリース


アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)は、2017年ジュネーブ国際モーターショーで、同社が参加するモータースポーツシーンを髣髴(ほうふつ)とさせる新型Audi RS 5 Coupéの6月リリース(欧州地域が皮切り)を発表した。

このAudi RS 5 Coupéは、RSの新しいデザイン言語によって開発された最初のAudi Sportモデルとなる。

新開発された2.9 TFSI バイターボエンジンは、331kW(450hp)の最高出力と600Nmの最大トルクを発生。そのパワーはquattroフルタイム4WDシステムにより4輪すべてに伝えられる。

Audi Sport GmbH代表 ステファン ヴィンケルマン氏は、「新しいAudi RS 5 Coupéは、Audi SportのRSモデルのなかで、グランツーリスモとしての役割を担っています。

このクルマは、エレガントな美しさと優れた日常性を融合した高性能クーペであり、新開発のV6バイターボエンジンを搭載して、パワーだけでなく、燃費効率も大幅に向上させています。

このクルマを担当したデザイナーは、かつてのレーシングカー、Audi 90 quattro IMSA GTOからインスピレーションを得ました。

新型Audi RS 5のフロントエンドを見ると、RSモデルの特徴でもあるハニカム構造を備えた大胆なエアインレットが強烈な存在感を放っています。

シングルフレームグリルはベースとなったAudi A5 Coupéと比較して、よりフラットで幅広くなっています。ヘッドライト横には、追加のラテラルエアインテークとアウトレットを設置。

オプションのマトリクスLED装着モデルでは、ヘッドライトにカラーベゼルが採用され、他のモデルと見分けることができます。

ボディサイドでは、いわゆる“quattroブリスター”により、ホイールアーチの上の膨らみを強調。実際、その部分はボディ幅が15mm拡大されています」と近々リリースを果たすAudi RS 5 Coupéについて語った。

なお同車は、スポーティさを強調するアクセントとして、RS専用ディフューザーインサート、楕円形テールパイプを備えたRSエグゾーストシステム、ボディ面にマウントされたスポイラーリップなどが装着される。

ホイールは19インチが標準で、オプションで20インチが用意されている。全長は4,723mmで、先代のAudi RS 5 Coupéよりも74mm大きくなった。

先に記載した2.9 TFSI V6バイターボエンジンパワーユニットだが、同ユニットは、今回アウディがゼロから開発を行ったものだ。

最高出力は331kW(450PS)。また従来型のAudi RS 5よりも170Nm増強された600Nmの最大トルクは、1,900~5,000rpmという広域回転に於いてで発生する。

この強みを活かし、新型Audi RS 5 Coupéは0-100km/hを 3.9秒で加速し、オプションのダイナミックパッケージを選択した場合、最高速度は280km/hに達する。

2.9 TFSIエンジンに搭載された2つのターボチャージャーは、シリンダーバンクの中央に配置。

デュアルブランチシステムを通して、取り込んだ空気をそれぞれのターボチャージャー及び燃焼室へ送ることで、きわめてシャープなレスポンスを得るという趣向だ。

Bサイクル燃焼方式に加えて、直噴システムのインジェクターを中央に設置することで、RSモデルとしてはかつてない高効率を達成した。

結果、圧縮工程が短縮されたことで、数値上の圧縮比をかなり高く設定することが可能になり、圧縮工程と比較してより長い膨張行程との組み合わせにより、燃焼効率を引き上げると同時に、燃焼消費量の削減につなげている。

実際このV6バイターボエンジンを搭載した新型Audi RS 5 Coupéは、NEDC(新欧州ドライビングサイクル)で100km走行あたり8.7ℓを記録。

これをCO2排出量に換算すると197g/kmに相当し、従来モデルと比較して燃費効率が17パーセントも改善した。

この燃費改善の背景は、そうした出力特性だけでなく、従来型に比べてかなり軽量に仕上がっている部分も大きい。その重量は1,655kgで先代Audi RS 5 Coupéより60kg軽量化された。

バイターボエンジンのパワーは、シフトタイムを最適化した8速ティプトロニックを介して、quattroフルタイム4WDシステムに伝えられる。

駆動力を前後のアクスルに非対称(40:60)に配分することによって、トラクションと走行安定性を最適化しつつ、ダイナミックなハンドリング性能を目指した。

足まわりではフロントアクスルに、改良された5リンク式サスペンションを採用。リヤにも従来のトラペゾイタルリンク式のシステムに代えて、今回から5リンク式サスペンションを採用した。

このシステムの利点は、スポーティな走行特性と俊敏なハンドリングが得られることで、同時に快適性も向上するところにある。

なおRSスポーツサスペンションを標準装備した新型Audi RS 5 Coupéは、通常のA5 Coupéと比べて車高がより低くなっており、アウディ ドライブセレクトシステムも標準装備され、ドライバーはよりダイナミックな走りや快適性重視など、自分の好みに応じた設定に調整することができる。

インテリア面では、全体をブラックでまとめられており、シート、ステアリングホイール、ドアシルトリム、セレクターレバーなどにはRSのロゴが刻まれている。

RS専用に設定されたアウディバーチャルコクピットの画面には、タイヤ空気圧、エンジントルク、Gフォースといった情報も表示される。そしてエンジン回転数が限界に達したときには、シフトライトが点灯してドライバーにシフトアップを促す。

インフォテイメント関連の選択肢も拡張し豊富になった。例えば、オプションのMMIタッチ付きMMIナビゲーションプラスを選択すると、Audi connectのハードウェアモジュールが付属して、LTE経由でインターネットに接続できるようになる。

クルマに常時インストールされているAudi connect SIMにより、ヨーロッパ全域をカバーするローミングサービスを含めた固定料金の接続サービスパッケージを3年間無料で利用することもできる。

またオプションのWi-Fiホットスポットを利用して、手持ちのモバイル機器を使い、オンラインで外部と情報のやり取りをできるようにもなっている。

他にも自然言語に対応したボイスコントロールシステム、フリーテキストサーチ、マルチファンクションステアリングホイールといった機能により、あらゆる操作を簡単かつ直感的に行うことができる。

さらに、ヘッドアップディスプレイなどの先進テクノロジーや合計30も用意されたアシスタンスシステムによって、クルマの安全性、快適性に加え、これらのシステムがインテリジェントに連携することで、将来の自動運転に向けた歩みも進められている。

最後に初代Audi RS 5 Coupéは、2010年に発売されて以来、これまでに13,000台以上がユーザーに向けて納車されたが、新型モデルの販売は、2017年6月からドイツ及びほかのヨーロッパ諸国で開始される予定だ。その価格は80,900ユーロになると云われている。