NEDO、バイオジェット燃料の製造開発に着手。2030年頃の商用化を目指す


NEDOこと国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(所在地:神奈川県川崎市幸区大宮町1310番、理事長:古川一夫)は、微細藻類や木くず由来のバイオジェット燃料を一貫製造するプロセスの技術開発に着手する。

同技術開発では、10,000m2規模の微細藻類の培養設備を構築するなどパイロット規模で検証試験を行い、安定的な長期連続運転や製造コストの低減などの実現可能性を検証していく。

そうした技術開発を通じて、航空分野におけるジェット燃料に起因するCO2排出量削減に向け、2030年頃のバイオジェット燃料製造の商用化を目指す構えだ。※バイオジェット燃料生産技術開発事業の期間は2017年度~2020年度の4年間で、2017年度予算は6.6億円。

1.概要
バイオジェット燃料は、2030年以降の航空分野におけるCO2排出量の削減の切り札として世界的に導入の機運が高まっている。

これまでは要素技術の開発を行ってきたが、既存の微細藻類を用いた大量培養技術では藻を安価に回収することや、木くず等のガス化ではガスの性状を安定化する技術の開発など、ジェット燃料を安価かつ安定的に一貫製造するための技術課題が明らかになっている。

そこで今般、これらの課題克服に向け、NEDOは「バイオジェット燃料生産技術開発事業※」に於いて、微細藻類や木くずなどのバイオマス原料からバイオジェット燃料を一貫製造するプロセスの技術開発に着手する。

具体的には今回、2テーマの一貫製造プロセスの技術開発を採択し、10,000m2規模の微細藻類の培養設備を構築するなどパイロット規模の検証試験を行う。

また、より高効率な工業化(設備の規模拡大等)のための課題の抽出とその対策を盛り込み、安定的な長期連続運転や製造コスト低減などの検証も行っていく。

そして以上の技術開発を通じて、来る2030年頃のバイオジェット燃料製造の商用化を目指す。また、バイオジェット燃料利用促進・普及を通じて、2030年以降のさらなる航空分野におけるCO2等温室効果ガス排出量の削減を目指す。

実施するプロセスの概要図

2.採択テーマと委託予定先
<高速増殖型ボツリオコッカスを使ったバイオジェット燃料生産一貫プロセスの開発>
【委託予定先】株式会社IHI、国立大学法人神戸大学。

<高性能噴流床ガス化とFT合成によるバイオジェット燃料製造パイロットプラントの研究開発>
【委託予定先】三菱日立パワーシステムズ株式会社、中部電力株式会社、東洋エンジニアリング株式会社、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構。