三菱電機、世界最小のSiCインバーターを開発。HEVの車内空間の拡大と燃費向上に大きく貢献へ


三菱電機株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柵山 正樹、以下、三菱電機)は、フルSiCパワー半導体モジュールと、高放熱構造の採用により世界最小の体積5L(リットル)を実現した「HEV用超小型SiCインバーター」を開発した。

ちなみにこのフルSiCパワー半導体のSiCは「Silicon Carbide」こと炭化ケイ素の意味する。なお体積5Lと云う世界最小のサイズは、2モーター方式HEVに対応した2つのインバーターユニットと1つのコンバーターユニット構成のインバーターに於いてダントツの小ささを誇る。関連特許では国内51件、海外17件を既に取得している。

開発の背景は、近年、自動車市場で燃費規制強化が進み、EV・HEVの需要が拡大していること。

また一方で、EV・HEVでは電動化のための機器設置空間が必要となり、車内空間を確保するためにインバーターの小型化が求められている。

こうした背景を受けて同社はHEV向けに世界最小の体積5Lを実現した超小型SiCインバーターの開発に至った。なお、今回のSiCインバーター開発の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究として実施したものであると云う。

同社によると、このユニットの開発により、HEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)の車内空間の拡大やインバーター配置の自由度向上に加え、燃費向上にも貢献すると云う。もちろん同技術はEVなどの電動車両等にも広く適用可能である。

世界最小体積のHEV用インバーター開発の成果とその効果は、
– フルSiCパワー半導体モジュールの採用により電力損失を低減し、インバーターの小型化の実現とHEVの燃費向上に寄与。
– パワー半導体モジュールと冷却器をはんだで接続する高放熱構造によりインバーターを小型化しつつ、長期信頼性を確保。
– 世界最小の体積5Lと世界最高レベルの電力密度86kVA/Lを達成。
– ストロングハイブリッド車で用いられる2モーター方式HEVに対応など、多様なもの。

今後の展開については、今後、量産化に向けた開発を行っていき、2021年度以降の事業化を目指すとしている。加えて今回の開発成果については、平成29年電気学会全国大会(3月15日~17日、於:富山大学 五福キャンパス)にて発表予定される予定となっている。