国土交通省、自動運転車操舵の車線維持で手放し65秒解除の国際基準を導入へ


日本の国土交通省・自動車局では、自動車の安全基準策定について、自動運転車の技術開発で一部、世界から先行する日本国内事情を活かし、主導的な役割を果たしつつも欧州・米国の他、中国を筆頭とする東アジア各国との基準整合を図ってきた。

そうしたなか自動車の自動操舵機能のうち、ステアリングに手を添えた状態での「車線維持支援機能」、「補正操舵機能」、「自動駐車機能」に関する国際基準が、『国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)』に於いて策定されるに至った。

そこで、これを踏まえて国土交通省は、自動運転車の操舵保持に関わる規定などを筆頭に、日本でも保安基準改正を行うことで、国連基準に沿った基準導入を決めた。

より具体的には、先のWP29・第171回会合で「かじ取装置に係る協定規則(第79号)」等の改訂が、2017年3月31日付けの同文書で採択されている(以下、一部参照)。

これを踏まえ、装置型式指定規則(平成10年運輸省令第66号)、道路運送車両法関係手数料規則(平成28年国土交通省令第17号)、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号)等について所要の改正を行う。また併せて車両接近通報装置に係る国際基準も新採用する。

今回の保安基準に関わる主な改正項目は以下の通り

車線維持支援機能等に関する国際基準の導入
自動操舵機能のうち、ステアリングに手を添えた状態での車線維持支援機能、補正操舵機能、自動駐車機能を有する自動車は、かじ取り装置に係る協定規則(第79号)に規定された各機能についての要件に適合しなければならない事とする。

その内容は、ドライバーが車両の自動操舵機能を使用し車線維持支援を利用する場合、ステアリングから15秒以上手を離した際、ドライバーに対して光学的な警報を表示。

さらにそのまま手放し運転を続けると、50秒後に自動操舵機能が解除されるプログラム搭載を義務付ける。

これは2019(平成31)年10月以降の同機能搭載の新型車両が対象となる(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車並びに小型特殊自動車を除く)。現在販売されている継続生産車種は2021(平成33)年4月から適用。中古車は対象外。

その他、ステアリングに手を添えた自動操舵機能実行中でも、ドライバーが緊急操舵の必要性を感じて、ステアリングに力を入れると自動操舵が解除されるシステムの他、自動駐車時は時速10キロ以下の速度で実行される事なども規定している。

さらに今後、自動運転中の車線変更に関わる安全基準の策定も行っていくとしている。なお今回の自動操舵等の保安基準に関する交付・施行は以下の通り。

公布・施行
公布:10月10日
施行:10月10日