ジェイテクト、低トルク・高耐摩耗性ボールハブユニットを開発


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株式会社ジェイテクト(本社:大阪市中央区南船場3丁目5番8号、代表取締役社長:新美篤志、以下ジェイテクト)は、軸受事業のブランド「Koyo」に新たにタグライン「Key of your operation」を設定しているが、今回、同ラインナップでホイール用ボールハブユニットを新発表した。

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新製品は、軽自動車からSUVまでの幅広い車種向けに、従来よりも大幅な低トルク化を実現し燃費向上に貢献するとともに、寒冷地での車両輸送時の耐摩耗性能を大幅に向上したホイール用ボールハブユニット(以下、HUB)である。

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1.特長
(1)ダントツの低トルク化を実現
[開発のポイント]
グリースに独自開発の低粘度グリースを採用。 構成成分を最適化し、低トルク化を実現。
シール形状は、ダブルアキシャルシールを採用し、シール性と低トルク性を両立。

[効果]
従来品比でトルク50%減を実現。
車両の4輪すべてに用いることで、自動車の燃費0.5%向上に貢献。

(2)寒冷地での車両輸送時の耐摩耗性能向上
[開発のポイント]
軸受部グリースに低温環境に適した添加剤を使用。
[効果]
完成車を列車輸送する際の振動によるHUBの軌道面摩耗を従来品比で70%低減。(特に、ロシア・北欧等の極寒冷地域)

2.詳細説明
HUBは、自動車のホイールを支える軸受として使用されている。
自動車業界を取り巻く環境として、グローバルな燃費・CO2規制が継続して強化されており、ジェイテクトは、HUBのトルク低減による、燃費向上への貢献を目指した。

(低トルク化)
HUBは、「円滑にタイヤを回転させる機能を持つ軸受」と「タイヤに掻き上げられた泥水を軸受内部に浸入させないシール」とで構成されており、トルク損失として「軸受転がり抵抗」と「シール摺動抵抗」とがある。

今回の開発品に於いては、これらの抵抗を低減するために、特にグリースとシール形状に着目した。

グリースに関して、軸受部については、これまで基油に鉱油を使用していたところを、低粘度合成油へ変更するなど、グリース組成の全要素をHUB使用環境に最適化し、軸受寿命と低トルク化の二律背反をブレークスルーし、両立させた。

また、シール部のグリースについても、超低粘度基油グリースを採用し、シールリップに必要な油膜特性維持と低トルク化を両立した。

シール形状については、シール性を落とすことなく低トルクを実現できるダブルアキシャルシールを採用している。この結果、従来HUB比でトルクを50%低減するハブユニットの開発に成功した。

(耐摩耗性)
ロシア・北欧など極寒環境では、列車で完成車を輸送する際、レールの継ぎ目からの振動によってHUBの軌道面が摩耗する現象がある。

今回の開発品では、軸受部グリースに低温環境に適した添加剤を使用することで、HUBの耐摩耗性能を向上させ、従来比で摩耗量70%低減を実現している。

詳細説明

3.販売計画
【量産開始】2017年1月
【売上目標】120億円/年(2020年)
【販売先】自動車メーカー

4.製造工場
国内外のハブユニット生産工場