日本のシェアリング市場、2016年の市場規模は1兆1,800億円


潜在市場規模の推計値による市場規模は約2兆6,300億円、利用側の支出金額は年間で約1兆1,100億円

NTTグループのシンクタンクである株式会社情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大平 弘)は、情報通信技術(以下、ICT)を活用しインターネット上でモノやサービス(空き部屋、中古品、タクシー、スキル等)を提供する側と、利用する側に分けて、いわゆるシェアリングサービス市場に於ける2016年の取引金額を推計した。

同調査はシェアリングの内容を「スペースのシェア」「モノのシェア」「移動のシェア」「スキルのシェア」「お金のシェア」の5つに分類。モノやサービスを『提供する側』と『利用する側』の総取引額を市場規模として推計したと云う。

その結果、提供側の獲得収入は年間で約1兆1,800億円。一方で利用側の支出金額は年間で約4,400億円となった。

図表1:利用率と利用意向(提供側)

さらに潜在市場規模を推計した結果、提供側の獲得収入は年間で約2兆6,300億円、利用側の支出金額は年間で約1兆1,100億円としている。

なお同データでは、利用側の移動シェアが3,965億円と大きい値となっており、これは地方でシニア層の消費環境下で、移動に関わる課題があるため。従って、地方における移動のシェアは今後拡大するとしている。

図表2:利用率と利用意向(利用側)

シェアリングサービスの利用率では、提供側と同じく若い年代ほど高い結果となった。一方、50代や60代では、極少数の利用に留まっている。

なお40代や60代では、移動のシェアを利用したいとする割合が最も多くなった。これを踏まえ、今後はスキルのシェアも含め、金額面で借りやすいもののシェアが進むと考えられる。

スペースに関わるシェアサービスの収入金額は、2016年時点で約6,800億円と最も大きくなった。また利用意向から潜在市場規模を推計すると、現在の倍近い1兆3,100億円規模に拡大するとしている。

図表3:現在と潜在的な取引金額(提供側)

モノやスキルのシェアについても、現状の2倍以上に拡大する潜在性があり、スペース、モノ、移動、スキル、お金を合わせた合計潜在市場規模は2兆6,300億円となる。

移動に関わるシェアサービスの支出金額は、現時点(2016年時点)でおよそ1,500億円と最も大きい。利用意向から今後の潜在市場規模推計は4,000億円規模になる。

スペースやモノ、スキルについては、2,000億円規模にまで拡大する潜在性があり、スペース、モノ、移動、スキル、お金を合わせた合計潜在市場規模は1兆1,100億円となる。

図表4:現在と潜在的な取引金額(利用側)

アンケート調査の概要は以下の通り
同調査では、シェアリングサービスの利用状況や将来的な利用意向、モノやサービスのシェアによって得ている金額、支払っている金額等について尋ねた。

調査名称:ICTサービスの利用に関するアンケート
調査期間:2016年12月1日〜2016年12月3日
調査対象:20代〜60代の男女
調査手法:Webアンケート調査
回収数:合計2,663サンプル(性・年代別の回収数は図表5)

図表5:性・年代別の回収数

対象となったシェアリングサービス
スペースのシェア :
ホームシェア、農地、駐車場、会議室のシェア (Airbnb、STAY JAPAN、スペースマーケットなど)
モノのシェア :フリマ、レンタルサービス (airCloset、ラクサス、ジモティーなど)
移動のシェア :カーシェア、ライドシェア (Uber、notteco、Anycaなど)
スキルのシェア :クラウドソーシング、家事代行、介護、育児のシェア (クラウドワークス、アズママ、タスカジなど)
お金のシェア :クラウドファンディング (Makuake、READYFOR、Crowd Realtyなど)