J.D. パワー、自動車リコール意識調査を実施。対応期間は2週間以内がひとつの壁


j-d-power-asia-pacific-japan-automotive-sales-satisfaction-年-2015-ssi-survey20150820-2

リコール経験者では、メーカー/ディーラー対応の迅速さが次回の購入メーカー選定に影響大

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー アジア・パシフィック(本社:東京都港区、代表取締役社長:鈴木郁、略称:J.D. パワー)は、自動車リコールのメーカー対応について「自動車リコール意識調査」と銘打った意識調査を行った。

それによると、世帯で保有する乗用車についてリコールを経験し、「メーカー/ディーラーの対応が迅速ではなかった」と感じた対象者のうち、3人に1人(34%)は「次回は違うメーカーの車を買う/検討する」と考えていることが、この「自動車リコール意識調査」で明らかとなった。

2015年度、日本国内における自動車リコール台数は1,899万台となり、過去最多を記録した。

これを受けてJ.D.パワーでは、過去3年以内に新車自家用車を購入した世帯のドライバー2,000人を対象に緊急意識調査を行った。この調査における3年以内に購入した新車のリコール経験率は、20%であった。

ただしこの割合は、メーカーによりばらつきがあり、2015年度に起きた大型リコール案件の影響もみてとれる。

また、同一車両のリコール回数についても、メーカーにより差がみられる。具体的には、リコール回数が多い程、「次回は違うメーカーの車を買う/検討する」と回答する割合が増える傾向にあり、品質の問題が顧客基盤の構築、維持に強くかかわっていることを示している。

j-d-power-a-car-recall-awareness-survey-corresponding-period-within-two-weeks-one-of-the-walls20160419-1

リコール未経験者は、経験者に比べてリコールに対する不安意識が強い

なおリコール経験者のうち、24%の回答者が「(リコールに対する)メーカー/ディーラーの対応は迅速でなかった」と感じている。

この層のうち34%は「次回は違うメーカーの車を買う/検討する」と回答しており、「迅速だった」と感じた者の同回答率15%に比べ大幅に多い。

つまりリコール修理対応の迅速さが、次回の購入メーカー選定に大きな影響を及ぼすことが明らかとなっている。

さらに掘り進んで、リコールの案内から修理までの所要期間別にみると、2週間以内に修理が完了している場合は86%の対象者が「メーカー/ディーラーの対応は迅速だった」と回答している。

しかしそれ以上要する場合、「迅速だった」の回答は減少し、「対応は迅速でなかった」との回答が増加する。

修理まで1ヶ月超要した場合は、「対応は迅速でなかった」との回答割合は46%まで増加する。「リコール案内から2週間以内での修理対応」はひとつの目安となろう。

j-d-power-a-car-recall-awareness-survey-corresponding-period-within-two-weeks-one-of-the-walls20160419-2

一方で、リコールの未経験者は、経験者よりもリコールに対する不安意識が強い事も明らかになった。

「リコールが発生した車は、修理・整備をしたとしても乗り続けるのが不安だ」という項目について、「そう思う/ややそう思う」と回答する割合はリコール経験者で24%なのに対し、未経験者では41%となった。

「購入を検討していた車にリコールが発生した場合、購入検討を取りやめる」についても、経験者で38%、未経験者で57%となる。

つまりリコールは、該当車両保有者に対する直接的な影響だけでなく、潜在的な購買者層に対しても、心理的にマイナスの影響を与えるといえる。

一方、同調査において、リコール未経験者を含む回答者全体の93%が「リコールは必要な制度だと思う」と回答した。

また「リコールの発生よりも、発生後のメーカーの対応が重要だ」についても、90%が「そう思う」と回答しており、リコールの必要性や意義について、消費者は正しく理解している。

リコール発生は望ましい事ではないが、リコールに対するメーカーの姿勢や対応の迅速性が、顧客からの信頼を強固にするか、あるいは毀損するかを決定する分水嶺といえそうである。

自動車リコール意識調査SMは、2016年4月にインターネットで行い、過去3年以内に新車自家用車を購入した世帯の運転者2,000名を対象として実施した。

<株式会社J.D. パワー アジア・パシフィックについて>
同社は米国J.D. パワーの日本を含むアジア地域でのビジネスの拠点として1990 年に設立された。

自動車業界を始め通信、IT、金融、保険、トラベルなど様々な業界において顧客満足に関する調査やコンサルティングを実施している。

なおJ.D. パワーではシンガポール、北京、上海、バンコクに拠点をもち、日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムで調査を実施している。

<J.D. パワーについて>
マグロウヒル・フィナンシャルの一部門であるJ.D. パワー(本社:米国カリフォルニア州ウェストレイク・ビレッジ)は、パフォーマンス改善、ソーシャル・メディア、顧客満足に関するインサイトとソリューションを提供している国際的なマーケティング情報サービス企業である。

数百万人の消費者からの回答をもとに品質や顧客満足度に関する調査を毎年行なっている。

日本サービスに於ける会社概要等の詳細は以下URLの通り。http://japan.jdpower.com