国際海事機関、海のカーナビ,安全航行に役立つ画面表示の統一化に向けて動き出す


国際海事機関第3回航行安全・無線通信・捜索救助小委員会開催

国際海事機関(IMO)は,第3回航行安全・無線通信・捜索救助小委員会(NCSR 3)を平成28年2月29日から3月4日まで、英国ロンドンで開催し、航海に必要な情報の統合表示に関する国際的なガイドラインの検討を開始した。

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具体的には、船舶はブリッジで自船と他船の位置・船速・針路,気象、航行水域の警報等の様々な航海情報をレーダーなどに表示して運航している。これらの情報を一つの画面上に理解しやすく調和的に表示するための国際ガイドラインを作成する検討が始まった。

これにより,船員の負担を軽減しさらには、迅速な意思決定及び安全航行に役立つことが期待されている。なお、このガイドラインは平成29年に最終化される予定だ。

今日、船舶にはレーダー・GPS・船舶自動識別装置等の様々な通信機器があり、船員はこれらの機器から自船と他船の位置・船速・針路、気象、航行水域の警報等の航海情報を受け取って情報を管理する必要がある。

また多くの情報から必要な情報を取捨選択しなければならず船員の負担となっていた。

このような観点から統合的かつ理解しやすい情報管理のため、航海情報を一つの画面に表示する統合航海システムと呼ばれる装置が普及しつつあるところなのだが、通信機器との情報の互換性が充分でなく航海情報の統合的表示を課題となっていた。

この課題を解決するためIMOは、国際ガイドラインを作成する検討を開始。

これに沿って製造された機器が普及することにより、船員の負担を軽減。さらには迅速な意思決定及び安全航行に役立つことが期待されている。

※統合航海システム:画面上に電子海図,船舶自動識別置(AIS:Automatic Identification system)、レーダー等の情報はじめ、船位・方位・船速などの航海情報を統合的に表示できるシステムのこと。

第3回航行安全・無線通信・捜索救助小委員会(NCSR 3)概要
日時:平成28年2月29日~3月4日
場所:英国ロンドンIMO本部
主な審議内容:
e-navigation戦略実施計画に沿った作業
1. 通信設備から得られる航海情報の表示に関するガイドライン策定(本文参照)
2. 統合航海システムの基準の改正
3. 船舶通報制度のガイドライン及び基準の改正

今次会合の主な合意事項
対象船舶は、現行通り(国際航海に従事する旅客船及び300トン以上の貨物船)

1.SOLAS条約附属書及び関連規則の改正時期の発効目標は2024年
2.A3海域及びA4海域の変更
3.新技術の導入等

• 新しいGMDSS衛星サービスプロバイダ及びNAVDAT注1)の導入
• NBDP(狭帯域直接印刷電信)についてA3海域及びA4海域の搭載要件から削除すること
• 衛星通信のバックアップとして,引き続きMF注2)/HF通信設備の搭載要件とすること

注1) NAVDAT: テキスト配信のみのNAVTEXに代わり,デジタル方式でのデータ配信の受信も可能な機器。
注2) MF(Medium Frequency:中波):300kHzから3MHzまでの周波数の電波であり,中距離通信に向いている。

A3及びA4海域の変更
新たなGMDSS衛星サービスプロバイダーの参入を考慮したA3及びA4海域について以下の定義が合意された。

【A3海域・現在の定義】
-インマルサット静止衛星との通信が可能な海域(北極・南極周辺の極地域を除く範囲)
【A3海域・新たに合意された定義】
– 船舶が利用する衛星システム(IMOが承認したものに限る。)が利用できる通信海域

【A4海域・現在の定義】
– A1からA3までの海域以外の海域
【A4海域・新たに合意された定義】
– A1海域,A2海域及び上記のA3海域を除いた海域