出光興産の公募増資。創業家側の差し止め請求が却下されるも、即時抗告で膠着状態へ


先よりの出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:月岡 隆)の公募増資計画(新株式発行)の実施に対して、同社・創業家が同計画の差し止めを求めた仮処分申し立てに際し、7月18日付で東京地方裁判所(大竹昭彦裁判長)は、創業家らの差し止め請求を却下する決定を下した。

ちなみにこの騒動は、出光興産側が7月3日付けで「公募による新株式発行に関するお知らせ」を発表。同日開催の取締役会で公募による普通株式4,800万株の発行を行うことを決議したことに端を発するもの。

その後の出光興産側の予定では、7月12日付け発表した「発行価格等の決定に関するお知らせ」に添って、7月20日を払込期日として、新株式発行を行うことを決定・計画していた。

これに対して、同社の株主であり創業家側にあたる日章興産株式会社、出光昭介氏、出光正和氏、出光正道氏、公益財団法人出光文化福祉財団及び公益財団法人出光美術館らが、新株式発行の差止め仮処分を申し立て、これに対して7月18日、同差し止め申し立てを却下する決定がなされた。

結果、7月18日当初の段階で、東京地方裁判所は、新株発行の主要目的が不当とは認められないとし、出光興産側の主張を認めたことになった。

仮に、この公募増資が実際に実行された場合は、創業家側の持ち株比率が、現33.92%から約26%まで下がる見通しであった。

しかしこの東京地方裁判所から申立ての却下決定に対して、創業家側が、同日のうちに即時抗告を行うに至り、現段階では膠着状態が続いている。

即時抗告をした株主の概要は以下の通り

(1)氏名 :日章興産株式会社
(2)住所 :東京都港区北青山一丁目 3 番 6 号
(3)代表者の役職・氏名 :代表取締役 出光 昭介
代表取締役 :出光 正和
代表取締役 :鶴間 洋平
(4)所有株式数 :27,120,000 株(所有比率:16.950%)

(1)氏名 :出光 昭介氏
(2)住所 :東京都港区
(3)所有株式数 :1,928,000 株(所有比率:1.205%)

(1)氏名 :出光 正和氏
(2)住所 :東京都港区
(3)所有株式数 :2,416,000 株(所有比率:1.510%)

(1)氏名 :出光 正道氏
(2)住所 :東京都港区
(3)所有株式数 :2,416,000 株(所有比率:1.510%)

(1)氏名 :公益財団法人出光文化福祉財団
(2)住所 :東京都目黒区青葉台三丁目 4 番 15 号
(3)代表者の役職・氏名 :代表理事 出光 昭介
(4)所有株式数 :12,392,400 株(所有比率:7.745%)

(1)氏名 :公益財団法人出光美術館
(2)住所 :東京都千代田区丸の内三丁目 1 番 1 号
(3)代表者の役職・氏名 :代表理事 出光 昭介
(4)所有株式数 :8,000,000 株(所有比率:5.000%)

即時抗告がなされた日
平成29年7月18日

出光興産側発表による今後の方針及び見通し
出光興産側では、先の7月5日付けの「株主による新株式発行の差止め仮処分の申立て」が、認められる理由はないと考えており、引き続き、新株式発行の適法性を主張・立証・対処していくと云う。

また、新株式発行の払込期日までに東京高等裁判所により、新株式発行に対する差止め仮処分の決定がなされない限り、新株式発行を予定どおり実施していく構えだ。