出光興産、スイス連邦で有機EL材料の開発会社を設立


出光興産株式会社社(本社:東京都千代田区、社長:月岡 隆)は、今後の有機ELディスプレイ普及による有機 EL 材料のさらなる需要拡大に備えて、開発体制を強化するため、2017年1月にスイス連邦に有機 EL 材料開発会社を設立する。

設立の理由は、近年スマートフォンや大型TV等、多くの製品に有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を使うディスプレイの採用が進んでいることで、ディスプレイ高度化に対応した高性能な有機 EL 材料が不可欠となってきていることにある。

発光の仕組み

このため同社は新たな発想と高度な材料合成技術を活用した革新的な有機 EL 材料を開発するため、開発会社を設立することにしたと云う。

同社は、従前よりBASFスイス社と有機 EL材料開発に関し技術交流を重ねてきており、これを踏まえ同社研究員を雇用し、新たに自社研究拠点を設立する。

元来、スイス連邦はファインケミカル分野に於いて世界的な先進地域であることから、新設会社では、有機 EL 材料の開発に関する知見や経験、多様な技術背景を有する人材により研究開発を進めていく。

なお、同社は日本国内に於いて、千葉県袖ケ浦市に電子材料開発センターを有しており、新拠点は同社第二の開発拠点となる。

ちなみに有機EL自体には、発光層をなす発光材料の開発の他、発光層に電子(-)や正孔(+)を送り出す輸送層材料などの材料生成に関わる「川上分野」。

有機EL材料を、ガラス基板などに定着させて発光パネルをつくる「川中分野」。

照明やディスプレーとするために制御機器などを組み合わせて最終製品をつくる「川下分野」がある。

このなかで出光興産は、有機ELの材料生成で強みを持っており、石油化学で培った高度な合成化学の技術を活かし、世界の有機EL製品に関して特定のシェアを持っている。

そもそも有機ELの基本特許は、有機ELを発明した米イーストマン・コダック社と、有機ELの燐光材料を開発した米ユニバーサル・ディスプレイ・コーポレーション(UDC)社が握っており、出光興産は、このUDCと有機 EL材料に関わる共同開発を行ってきた。

会社概要
(1)名称 :
(2)所在地 : スイス連邦バーゼルシュタット州
(3)会社設立年月日(予定) : 2017 年 1 月
(4)資本金(予定額) : 2 百万スイス・フラン(CHF) ※約 2.3 億円
(5)出資比率 : 出光興産 100%