ホンダ、タイに完成車テストコースを開設。アジア大洋州地域の研究開発を強化


本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)の研究開発子会社である株式会社本田技術研究所のタイ現地法人、Honda R&D Asia Pacific Co., Ltd.(以下、HRAP)は、タイ国内に完成車用のプルービンググラウンドを設置した。

これは、タイ・プラチンブリ県ロジャーナ工業団地に建設した新たなテストコースで7月20日に、この「プラチンブリ プルービンググラウンド(以下、プラチンブリPG)」の完成式典を実施した。

HRAPプラチンブリ プルービンググラウンド

その式典には、タイ王国科学技術大臣のアチャカー・シーブンルアング氏、在タイ日本大使館大使の佐渡島志郎氏を招いた他、ホンダからはアジア大洋州地域本部長でアジアホンダモーターカンパニー・リミテッド社長の青山真二氏。

株式会社本田技術研究所常務執行役員の板井義春氏、HRAP社長の幸村秀生氏、およびHRAPの従業員らが参加した。

 

 

 

新しく建設されたプラチンブリPGは、アジア大洋州市場向けに設計された特長ある総合テストコースで、同社は、この80万平方メートルの敷地を有するプルービングラウンドの建設に17億バーツ(約52億円)を投資した。

これによりタイは、ホンダ資本で日本、米国に次いで世界で3番目にプルービンググラウンドをもつ国となった。

ちなみに新設したプラチンブリPGは、アジア大洋州地域で開発された四輪車および二輪車のハンドリング性能・走行安定性能、および総合的な性能試験を行うための機能を有している。

このテストコースは、アジア大洋州地域及びタイにおけるホンダ製品の商品力向上に向けて活用されると共に、将来的には、ホンダが世界に有するプルービンググラウンドの1つとして、他の地域向けの商品検証にも使用される予定となっている。

同テストコースの完成式典の壇上に於いて、タイ王国科学技術大臣 アチャカー・シーブンルアング氏は、「自動車産業は、タイ政府が経済発展にむけて促進している重点産業分野の1つです。

HRAPプラチンブリPGは、この政策のビジョンや方向性と一致し、タイにおける自動車産業の競争力強化に貢献するものです」と述べた。

またアジアホンダモーターカンパニー・リミテッド社長 青山真二氏は、「タイは、以前よりアジア大洋州地域における製造および輸出の中心拠点であると共に、研究開発においても重要な役割を担っています。

このプルービンググラウンドで、タイやアジア大洋州地域のお客様の期待を超える魅力的で競争力ある商品を提供し、商品ラインアップを更に強化していきます」とコメントした。

さらに株式会社本田技術研究所常務執行役員の板井義春氏は、「本プルービンググラウンドは、様々な路面状況を再現できるよう設計されています。

このテストコースで得られた知見を反映したHondaの商品で、お客様に「喜び」と「操る楽しみ」を提供していきます」と語った。

プラチンブリPGのコースレイアウトは、様々な路面状況や地形のシミュレーションが行える以下の8つのセクションを備えており、その総全長は約8キロメートルに及ぶ。個々のセクションについては以下の通り。

1)周回コース
全長2.18キロメートルの周回コース。高速運転時の車両性能検証に加え、キャビン内の風切音のレベルや、操舵性能の検証に使用。

2)ワインディングコース
全長1.38キロメートルのワインディングコース。ブレーキや車両の安定性を含む一般性能の検証に使用。多様な傾斜角を再現し、17のコーナーを有する。

3)ヴィークルダイナミクスエリア(VDA)
高速周回路に付設されたエリア。高速運転時の安定性能や、鋭角コーナーでのブレーキ性能検証に使用。

4)ウェットコース
濡路面や冠水走行時の車両性能への影響を検証するコース。ウェットコースは、プール路・スプラッシュ路・ウェットブレーキ路の3種類の路面で構成。アジアで頻繁に見られる0〜1000ミリメートルの間で濡路の水位を調整でき、水による抵抗やエンジンへの影響も検証可能。

5)乗り心地コース
アジア大洋州地域の各国にある様々な路面を再現したコース。コンクリートハイウェイ・ノイズ路・テーブルトップ路を含む8種類の路面で構成。

6)特殊コース
3D技術を用い悪路を模してデザインされたコース。車両アンダーフロアへの接地ダメージなどの検証に使用。コンクリートハイウェイ・ノイズ路・キャンパー路を含む8種類の路面で構成。

7)登坂コース
登坂や下り坂におけるエンジン強度やブレーキ性能を検証するコース。

8)直線コース
燃費や加速性能を検証する全長1.2キロメートルのコース。
また、プラチンブリPGは、将来のパワープロダクツの性能試験を視野に入れた芝地も備えている。

なおホンダは、1988年にタイ初となる研究開発機能を二輪車の開発強化に向けて開設。

その後1994年に、四輪車部品の開発と供給を行うために、研究開発部門をHonda Automobile (Thailand) Co., Ltd.内に設置し、その後、商品開発や品質管理の機能を強化。

HRAPは2005年に法人化され、以来、アジア大洋州地域の四輪車の研究開発を担っている。

Honda R&D Asia Pacific Co., Ltd.(HRAP)会社概要
社名:ホンダアールアンドディアジアパシフィックカンパニー・リミテッド
設立:2005年12月
代表者:幸村 秀生(社長)
所在地:タイ王国バンコク バンケン区
資本金:2億バーツ
出資比率:株式会社本田技術研究所 100%
事業内容:アジア大洋州地域向けの四輪車の研究開発活動
現地調達部品開発、商品企画、スタイリング研究、完成車テスト