GM、業界に先駆け埋立地不要の廃棄物処理プログラムを製造拠点で拡大


カナダ、メキシコ、南米のグローバル全製造拠点で廃棄物ゼロを実現

米国のゼネラルモーターズ・カンパニー(本社:デトロイト、CEO:メアリー・バーラ、以下、GM)は2月29日、国内外の自動車業界に先駆けて、埋立地不要の廃棄物処理プログラムを拡大すると発表した。

これは、カナダ、メキシコ、南米にある全ての製造拠点に上記プログラムの拡大を宣言したもの。

これらの傘下工場では既に、日常的な生産活動に伴うすべての廃棄物をリサイクル、再利用するだけでなく、エネルギーへと変換することも実現しており、今回新たに27の施設が認定する。

これで同社の埋立廃棄物ゼロの製造施設、及び非製造施設は、全世界で142カ所になる。ちなみにこれは他の自動車メーカーを圧倒する規模であると同社では述べている。

こうした取り組みについてサステナブル・ワークプレイス担当のGMバイス・プレジデント デーン・パーカー氏は、「私たちが目指すのは、すべての製造工場で廃棄物処理の埋立地を持たない、廃棄物ゼロ企業です。

この廃棄物ゼロを推進しているのは、弊社のローカルチームであり、実際の生活や労働の場であるコミュニティーを改善するための、革新的かつ持続可能なソリューションを見つけ出そうする彼らの努力により実現しています」と述べた。

例えばカナダの製造拠点では、埋立処分となる廃棄物をすべて生産活動に流用することで資源を維持し、温室効果ガスの排出削減を実現した。

それは小規模でシンプルなソリューションでも効果を発揮しつつあると云う。その一例としてオシャワの組立工場とカナダのテクニカルセンター(オシャワ・キャンパス)では、簡易キッチンや人通りの多い場所にゴミ、堆肥、リサイクル用の新しいコンテナシステムを設けたことでリサイクル効率が上がっている。

これら拠点の現場では、現地の指導者や従業員の参加により、回収ボックスを利用したリサイクル率は、2016年以降、45%から80%へ向上した。

これについてGMのグローバル・ウエイスト・リダクション担当マネジャー ジョン・ブラッドバーン氏は、「私たちは、物事をただ見るのではなく、その可能性に目を向けます。私たちにとって廃棄物は、有効な資源と捉えることもできます」と話す。

南米のチームは、古いコンクリートを敷地内の新しい歩道に再利用する試みから、塗装工程で使った油が染み込んだクロスを廃棄せずクリーニングして活用。

廃棄物削減のための創造性に富んだ、かつシンプルなソリューションを模索している。このような例では、ブラジルにあるサン・カエタノ・ド・スル工場で施設全体から出た空き缶を、サプライヤーが部品の出荷に使用していたビニール袋に入れて廃棄している。結果、同プロジェクトにより、毎年約8,000枚のビニール袋の埋立処分を回避することができた。

ちなみにこうした世界規模での廃棄物管理への取り組みは、効率性の向上、利益の創出、コスト削減につながることから、会社の売上と利益にとっても重要であるとも云う。

79カ所の埋立廃棄物ゼロの製造拠点では、日常的な生産活動に伴う廃棄物のうち平均で約96%が再利用やリサイクル、または堆肥用に回され、残りの4%はエネルギーに変換されている。またグローバルな事業展開と社外との協力関係、ベストプラクティスの共有も重要な要素だとする。

GMは米国「Materials Marketplace」を支援しており、これは、従来の産業廃棄物フローと異なるフローをマッチングさせて新しい製品や収益機会につなげるための、企業向けオンライン・データベースだ。

GMでは、埋立廃棄物ゼロの青写真を共有するだけでなく、毎年約25社を対象に、複雑化する廃棄物処理の最適な管理手法について指導・育成してきたとしている。