独・ポルシェAG、車両の品質管理に拡張現実(AR)を導入


独・ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:オリバー・ブルーメ)は、過去70年にわたって厳格な品質基準を貫き、精度の高いスポーツカー造りを行うメーカーとして独自の立ち位置を維持し続けてきた。

それは、これまで永年の間、生産・出荷されたポルシェ車の約3分の2が、現在も世界の一般公道を走り続けていることが、その証明になると同社は胸を張る。

そんなポルシェだが、このほどライプツィヒ工場にオープンしたばかりの「Inno-Spaceイノベーションエリア」で、さらに未来に向けた新しい生産車両の品質管理に取り組むと云う。

具体的には、この2月に同拠点内で初のイノベーション領域である拡張現実(AR)を使用したルック&フィールテストが実施されたのだが、この結果が良好なため、早々の年内にこの要素が生産工程のなかに統合される予定なのだと話す。

このInno-Spaceは、品質管理に関して現在と未来の間をつなぐ橋渡しとなる技術だそうで、これにより工場の生産工程がより先鋭的に、人にとっては極めて生産的になものになっていくようだ。

このエリアでは現段階で暫定的に専用工場のIT環境が、コンピュータシミュレーション化されており、管理された方法で工場内で生産行程のなかで最も効率の高い行程で車両を組み立てていく事ができるのだと云う。

この生産工程の先鋭化について、ポルシェAGの生産およびロジスティック担当取締役のアルブレヒト・ライモルド氏は「当社は、Inno-Spaceによって、工場の通常工程を中断することなく今後、未来に行うであろう先駆的な車両コンセプトや、全く革新的な設計手段を取った場合の成果を、あらかじめてテストすることができまるようになりました。

しかも品質管理作業のイノベーションのテストに対して、安全な環境が使用されており、チームはさまざまな大学や新興企業と協力できるようになります。

現にポルシェは、ドレスデンを拠点とする新興企業のGTVとの提携によって、拡張現実(AR)を品質管理のテクニカルプラットフォームとして使用しています。

この拡張現実(AR)のルック&フィールテストは、Inno-Spaceに由来する新しいイノベーションがどのように開発され、実施に至るかを示す代表例となります」と語る。

一方、ポルシェ ライプツィヒ工場の品質部門責任者で、研究機関との連携による拡張現実プロジェクトの実行責任者であるアンドレアス・シュミット氏は、「GTVは、生産工程の各段階においてルック&フィールテストで見つかった不具合を取り込み、車両の画像にそれを重ね合わせるためのタブレットアプリを開発する目的でフラウンホーファー研究機構と連携しています。

この場合、最初に車両の各CAD データがアプリに読み込まれ、タブレットのカメラはコンポーネント上に固定されます。そしてCAD の画像がライブ映像上に重ね合わされて、不具合や偏差が可視化されます。

データベースには、接合部など、その他のパラメーターの詳細も含まれています。接合部の場合も、ライブ映像とCADの画像を比較して、必要な基準を満たさない接合箇所がハイライトされます。

しかもこうしたテスト工程が、パートナーや拠点にリアルタイムでストリーミング配信されるというメリットもあります。同時に、検出された不具合は、工場の集中データベースに保存され、全世界で利用することができます。

この機能は、単なるテスト工程を遥かに凌ぐ多数のメリットが得られます。タブレットがネットワークで結ばれることによって、ビデオ会議でサプライヤーの品質監査を迅速に行うことも可能になるのですから」と、その先進性を説明した。

なおポルシェによると、このようなイノベーションを重ねていくことによって品質管理へのアプローチを継続的に発展させており、多くの場合、この取り組みが他社に対するベンチマークで差を付ける要素になっているのだと云う。

製品の品質管理についてポルシェの企業品質責任者であるフランク・モーサー氏は「最高の品質は、お客様が期待されるポルシェ ブランドのアイデンティティにおいて不可欠な要素です。

ポルシェが提供する品質は、あらゆるプロジェクトの段階と全てのエリアにおいて、完璧なスポーツカーの製造に対する情熱と精密性に基づく大きな努力の結果です。

当社は、品質に対し、あらゆる細部の核心まで踏み込みます。これがポルシェ ブランドを特徴づけるアプローチです」と結んでいる。

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