F1中国GP決勝、ロズベルグ優勝。ホンダ陣営は12・13位完走


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FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第3戦中国GP(開催地:中国・上海インターナショナル・サーキット<コース全長:5.451km・決勝56周>、開催期間:4月15~17日)の決勝レースが4月17日(日曜日)に開催された。

前日の予選セッションで決したグリッド位置は、予選上位者で唯一ソフトタイヤを履くニコ・ロズベルグ(メルセデス)がポールポジション。

セカンドポジションが、ダニエル・リカルド(レッドブル)、その後方にフェラーリ陣営のキミ・ライコネンとセバスチャン・ベッテルが並ぶ。

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ロズベルグの僚友で、本来はトップポジションの常連であるルイス・ハミルトン(メルセデス)は、エンジントラブルによって予選タイムを記録出来ず、最後列の22番グリッドにつけている。

開催直前のコースコンディションはドライ。気温は21度、路面温度43度、湿度36%で心配だった雨は免れている。

スタートでは、セカンドポジションのリカルド(レッドブル)がロズベルグ(メルセデス)を出し抜き、ホールショットを奪ってターン1に侵入する。

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その後方のフェラーリ陣営の2台は、スタートに失敗して、互いにマシンを損傷させてしまう。

これによりオープニングラップを終えた時点で、車体のフロントウイング部を脱落させたライコネン(フェラーリ)と、ハミルトン(メルセデス)の2台は早々にピットストップに向かった。

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この時点の序列は、リカルド(レッドブル)、ロズベルグ(メルセデス)、ダニール・クビアト(レッドブル)、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、カルロス・サインツ(トロ・ロッソ)、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)、ベッテル(フェラーリ)、ジェンソン・バトン(マクラーレン)と続く。

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その後の3周目に早くも、1周目に苦杯を舐めたロズベルグ(メルセデス)がリカルド(レッドブル)をパス。

抜かれたリカルドは、果敢にロズベルグを追ったのだが、不運にも左リアタイヤがパンクしてピットストップを余儀なくされる。さらにこのタイヤトラブルが要因となって、コース清掃のため、翌周にはフルコースコーションとなってしまう。

なおこの時点のオーダーは、ロズベルグ(メルセデス)、マッサ(ウイリアムズ)、アロンソ(マクラーレン)、ウェーレイン(マノー)、エステバン・グティエレス(ハース)、クビアト(レッドブル)、ジョリオン・パーマー(ルノー)、リオ・ハリアント(マノー)、ペレス(フォース・インディア)、ボッタス(ウイリアムズ)の順。

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フルコースコーションが解かれ、レースが再開されたのは8周目。暫く先のオーダー通りで、周回が消化されたが、13周目にマッサ(ウイリアムズ)がクビアト(レッドブル)にパスされ、トップ集団はロズベルグ(メルセデス)、クビアト(レッドブル)、マッサ(ウィリアムズ)の順に入れ替わる。

この時点まで、ピットインを我慢して4位を走っていたアロンソ(マクラーレン)は17周目、スーパーソフトタイヤを履くベッテル(フェラーリ)に抜かれた後に、タイヤ交換のためにピットインする。

レースは中盤に入り、ロズベルグ(メルセデス)、クビアト(レッドブル)に続き、マッサ(ウイリアムズ)を抜いたベッテル(フェラーリ)が3番手。

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これを追うバトン(マクラーレン)は、ミディアムタイヤを履いたまま、懸命な防戦を見せるものの次第に後退する。

一方、ハミルトン(メルセデス)と、ライコネン(フェラーリ)の2台はそれぞれ中団グループからの追い上げを続け、31周目にハミルトンは8番手まで浮上する。

終盤、トップ集団はロズベルグ(メルセデス)、ベッテル(フェラーリ)、クビアト(レッドブル)、マッサ(ウイリアムズ)、ボッタス(ウイリアムズ)、ハミルトン(メルセデス)、リカルド(レッドブル)、ペレス(フォース・インディア)、ライコネン(フェラーリ)、バトン(マクラーレン)と続く。

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この後、最終盤でハミルトン(メルセデス)がブレーキング区間で激しい突っ込みを見せてボッタス(ウイリアムズ)の前に出た。これに乗じてリカルド(レッドブル)もハミルトンに続き、順位が変動する。その後方では、ボッタス(ウイリアムズ)をパスしたライコネン(フェラーリ)が追い上げてきた。

結果、56周目にロズベルグがチェッカーフラッグを潜った後方の2位にベッテル(フェラーリ)、その直後に3位クビアト(レッドブル)が続いた。

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4位はリカルド(レッドブル)、5位は果敢な追い上げ劇を演じたライコネン(フェラーリ)、6位マッサ(ウイリアムズ)、7位ハミルトン(メルセデス)、8位フェルスタッペン(トロロッソ)、9位サインツ(トロロッソ)、10位にボッタス(ウイリアムズ)が入った。

マクラーレン・ホンダ陣営は、ペレス(フォース・インディア)に次ぐ12位がアロンソ、13位バトンとなり、前回の10位を上回る結果を残せずに終わった。マクラーレン・ホンダでは、「今回のMP4-31 は、レースが進むにつれ、トップ10圏内の他チームのマシンほどのペースを発揮できなくなった。MP4-31の強みと弱みをさらに学ぶことができた」と語っている。

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因みに今回、アロンソとバトンの各ドライバーは、それぞれ別の戦略を採用したにもかかわらず(アロンソは2ストップ、バトンは3ストップを実施)、両ドライバーは数秒差でフィニッシュした。なおアロンソは、今シーズン初めてレースディスタンスを走り切っている。

ニコ・ロズベルグ
「中国は僕にとって素晴らしい数日間だった。マシンのバランスもレース内容も、ほぼパーフェクトで改善すべき点はスタートのみだった。

それもストレートでダニエル(リカルド)をパスできて、そこからはレースをリードすることができた。これらを達成してくれたチームに感謝したい。

3戦を終えて、ここまでのシーズンの流れには満足している。ただ1年は長いし、ポイントを重ねていくため集中力を高めていきたい。次のロシアも楽しみだ。昨シーズン、予選の好調が始まったのはそこからだから。またそんな流れが得られることを期待している」

セバスチャン・ベッテル
「1周目にライコネンとクビアトに挟まれてしまって、僕の側には行き場所がどこにもなかった。起きてしまったことについては申し訳ないと思っている。同じ色のクルマ同士がぶつかるなんてあってはいけないことだ。

キミと接触してしまったのは残念だし、クルマもダメージを負ってしまった。でも、チームのリカバリーは素晴らしかったよ。落ち着いて対処し、セーフティカーが出た時にノーズを交換してくれた。

セーフティカーに助けられた面もあるし、結果的にレースを続けられた僕らはラッキーだったんだろう。全体として僕らにはいいペース、いい戦略、素晴らしいピットストップがあった。1周目のアクシデントを思えば、これ以上は望めないだろう。ただロシアではもう少しスムーズなレースになってほしいと思っている」

ダニール・クビアト
「今日は心からレースを楽しめた。これほどの強さを発揮できると思っていなかったこのサーキットでこ結果を出せたのは素晴らしいと思う。

マシンのパフォーマンスがすごく良くて、シャシーはドライブしやすかった。この先に控えているパワーユニットのアップグレードでさらに強い位置にいけるはずだ。

厳しい2レースを過ごしただけに、僕らにとってはいいブーストになった。チームにとっても今年は安定して表彰台争いに絡んでいるのはいいことだ。今日の僕はとてもハッピーなヤツだったし、この感覚を胸にホームグランプリのロシアに向かえるのはいい気分だ」

 

【以下はマクラーレン・ホンダ陣営のコメント】

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フェルナンド・アロンソ
MP4-31-02
スタート 11番手
レース結果 12位
ファステストラップ 1分42.226秒 36周目(トップとの差 +2.402秒、19番手)
ピットストップ 2回: 16周目(ピットストップ時間 2.76秒)および32周目(ピットストップ時間 3.05秒)[プライム→バックアップ→バックアップ]

「今日は難しい一日となりました。いい結果を出し、ポイント圏内で完走するほどの十分な速さはありませんでした。

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我々は2ストップ戦略を選択し、その恩恵を得ようとしました。ただ、レース序盤でセーフティカーが導入されたことで我々にとっては不利な状況になり、それ以降は計画通りのレース運びをすることができませんでした。仕方ないことですが、残念です。

我々が改善すべきエリアについては、より詳しく見てみる必要があります。

午後の決勝ではたくさんの異なるマシンの中でレースをしていたので、我々のマシンの強みと弱みを測るための有効な指標が見つかるはずです。

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一方、ポジティブな点は、今日のレースが私にとっては今年のマシンで走る初のロングランとなったことです。

開幕前テストでも50周ものスティントを走行したことはなかったですし、(開幕戦の)メルボルンではアクシデントにより早々にリタイアしました。

まだ道のりは長いですが、我々は改善し続けます。すでに次のレースを楽しみにしています」

 

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ジェンソン・バトン
MP4-31-03
スタート 11番手
レース結果 13位
ファステストラップ 1分40.298秒 46周目(トップとの差 +0.474秒、3番手)
ピットストップ 3回: 4周目(ピットストップ時間 2.58秒)、27周目(ピットストップ時間 2.86秒)および44周目(ピットストップ時間 2.49秒)[オプション→バックアップ→バックアップ→オプション]

「スタートはよかったです。私はポジションを一気に上げ、他チームのマシンとバトルを繰り広げることができました。

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最初のスティントでオプションタイヤを装着したときのペースも、かなりよかったです。ライバルチームの速いマシンと競い合うことができて楽しかったです。

セーフティカーが導入された際には、ピットレーンで混乱がありました。ニコ・ヒュルケンベルグ選手(Force India)がチームメートを手助けするために、他のみんなが減速せざるを得ない状況を作り出していたからです。

そのピットストップ後は、いい位置につけていたものの、我々はミディアムコンパウンドのタイヤを履いて走行しており、他のマシンに比べて、同じポジションにただとどまっているような状況でした。

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2ストップ戦略を試すつもりでしたが、それはうまくいきませんでした。そこで、最終スティントはオプションタイヤを装着することにしました。

ポイント圏内をわずかに外れる位置で走行していたので、それをやってみようと思ったわけです。最後にオプションタイヤを装着したことは、間違った選択だったのかもしれません。

レース終了までミディアムコンパウンドのタイヤで走行を続けることもできましたが、スピードの出るソフトタイヤを履いて楽しむことにしました。ただ、そのパフォーマンスを最後まで継続することができなかったのです。それでも、やってみる価値はあったと思います」

 

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エリック・ブーリエ
McLaren-Honda Racing Director
「結局、今日はポイントを獲得できるほどの十分なレースペースが我々にはありませんでした。

我々より前のポジションにいた他チームのマシンが高い信頼性を備えている状態では、それはなおさらのことです。それでも、今日はフェルナンドもジェンソンも、それぞれのレース戦略を最大限に活かすことができました。

両ドライバーが56周を懸命に走行し、テール・トゥ・ノーズというわずかな差で完走したことは、フェルナンドが2ストップ戦略を効率的かつ最大限に活かしたのに対し、ジェンソンはさらに攻めに出る内容となった3ストップ戦略を最大限に利用したことを裏付けるものです。

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ストレートでのスピードは、まだ改善する必要があるものの、両マシンのパワーユニットは、この3日間、今日の決勝、昨日の予選、およびその前に実施されたすべてのフリー走行において、高い信頼性を示しました。

ですから、Hondaにいる我々の仲間がそれを成し遂げたことは称賛に値します。また、我々はHondaが現在進めているパワーユニットの開発には勇気付けられる思いであり、その結果として、我々の全体的なパフォーマンスが早急な改善を続けることに自信を持っています。

オペレーション面では、今週末に我々がミスをすることはありませんでしたし、ピットクルーはいつも通り冷静に対処してくれました。みんな、よくやった!

最後になりますが、4つ目かつ最後のスティントでジェンソンのマシンにオプションタイヤを装着すると、彼はすぐに飛ぶようなスピードで走り始め、46周目にはその時点での最速ラップタイムをたたき出しました。

これは励みになる結果でしたし、それ以降に、上海インターナショナル・サーキットを元気に走り抜けるジェンソンがオーバーテイクされたのは、他チームのドライバー2人だけでした」

 

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長谷川 祐介
本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者

「週末を通して、天候の変化や赤旗による予選の中断など不測の事態があったにもかかわらず、チームの堅実なオペレーションとバトン選手、アロンソ選手のベテランらしいドライビングで2台とも完走し、実力を発揮できました。

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レース結果は悔しいながら、現状のポジションを表したもので、ポイント獲得に繋がらなかったのは残念ですが、皆が素晴らしい仕事を行い、次につながるレースだったと思います」

中国GP 2016 決勝リザルト
順位/ドライバー_/チーム_/ポイント
1/N.ロズベルグ_/メルセデス_/25
2/S.ベッテル__/フェラーリ_/18
3/D.クビアト__/レッドブル_/15
4/D.リカルド__/レッドブル_/12
5/K.ライコネン_/フェラーリ_/10
6/F.マッサ___/ウィリアムズ_/8
7/L.ハミルトン_/メルセデス_/6
8/M.フェルスタッペン/トロロッソ/4
9/C.サインツ__/トロロッソ_/2
10/V.ボッタス__/ウィリアムズ_/1
11/S.ペレス_/フォースインディア_/-
12/F.アロンソ__/マクラーレン_/-
13/J.バトン___/マクラーレン_/-
14/E.グティエレス_/ハース_/-
15/N.ヒュルケンベルグ/フォースインディア/-
16/M.エリクソン_/ザウバー_/-
17/K.マグヌッセン_/ルノー_/-
18/P.ウェーレイン_/マノー_/-
19/R.グロージャン_/ハース_/-
20/F.ナッサー__/ザウバー_/-
21/R.ハリアント_/マノー_/-
22/J.パーマー__/ルノー_/-