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家族のためのクルマ、「日産自動車・新型セレナ試乗記」を通して同車の体験価値を検証する


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新型セレナ、今回のリコール実施に至る流れを辿る

先の9月7日に、日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)からリコールの発表があった新型セレナ。その翌日の9月8日、日産自動車・横浜グローバル本社への訪問機会があり、短時間であるが、そのセレナの試乗を行った。

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なお今回のセレナに関わるリコール実施へ至る流れは、先の8月24日(水)。同社・横浜グローバル本社に於いてフルチェンジを果たし、報道陣へ向けた正式発表会により販売受注を開始した直近から始まった。

その3日後にあたる8月27日(土)。兵庫県内の日産ディーラーでの試乗中、試乗車のボンネットから煙が出るトラブルが発生。これを受けて日産自動車は即日、新型セレナの車両出荷を停止。以降火急に、このトラブルに関わる不具合究明を進めていた。

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そして上記トラブル発生後11日目となった昨日の9月7日(木)。同社は国土交通大臣に対して、該当車両に組み込み搭載していた発電機(サブスタータージェネレータ)の不具合をリコール(回収・無償修理)として国土交通省に提出した。

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その不具合内容は、アイドリングストップ付き車で、スターター機能を備えた発電機が電気回路の耐性不足があり、アイドリングストップから再始動する際、高電流が発生時に内部部品が損傷すると云うもの。

この回路ショートでアイドリングストップから再始動できなくなる。また最悪の場合、回路のショートで発熱し、発電機が焼損するおそれがあった。

正式発表後、わずか3日目の段階で計9.481台の車両出荷の準備が完了

これを受けて、新型セレナの生産を受け持つ福岡県苅田町の日産自動車九州工場では、当初の計画通りの生産を続けながらも、完成車を一旦、工場内に留め置き、対策済みの改良部品を確実に組み込む工程を対策消化していくことを決め、安定した出荷体制を整えつつある。

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ちなみにセレナのアイドリングストップ・始動メカニズムとしては、これが同シリーズ車にとっての最新鋭の装備という訳では無く、実は既に先代車から受け次いだ安定の言わば「枯れたシステム」を踏襲している。

このため、筆者は当初、永年使い慣れたスターター用モーター自体のトラブルはあり得ず、電子系プログラムのバグまたは不具合を想定していた。

しかし実際には、該当部品調達のサプライヤー(供給元企業)先を一部変更したことによる初期トラブルであったようだ。

ただ、この新型セレナ。ここのところ売るべき車両の玉不足に大いに悩んできた日産販社にとっては、待望の大型商材であり、また日産自動車自身にとっても、一部のグレードとは云え初の運転補助機能を搭載したいわば目玉製品である。

それゆえ満を期したリリースであったと思われるだけに、部品の調達先変更による不具合と言うのは、率直には意外なところではある。

またこのリコールにより、新車発表日の24日からトラブル発生までの27日までに計9.481台の車両が出荷直前または、ディーラーの流通上にあったことが判明した。

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さらに試乗した今日に於いても、発表後の受注数値は好調さを維持しており、そもそも予てより日産ディーラー網を通じて、発売前の先行セールス活動が行われていたとは言え、発表1ヶ月後の受注見込みで、どの程度の受注台数値を積み上げられるかに、この時期、期待が集まっている。

※追加情報(日産によると9月27日付けの段階で、発売後約1カ月を経過した9月26日時点、月間販売目標の2.5倍となる20,784台に達した)受注の内訳は、以下の通り。

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盆暮れの高速道路に貢献する「プロパイロット」という運転補助機能

今回はそんなセレナを、台風13号の深刻な影響を幸じて避けられた横浜グローバル本社で試乗。今回の対象車両は、系列のオーテックジャパンがカスタマイズ版としてリリースしている仕様「ライダー」をチョイスした。

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いわゆる標準のセレナとの違いは、エクステリア・インテリア等のパッケージングにある。

エクステリアでは、フロントグリルやバンパーグリルにメタル調の塗装を施しており、専用フロントバンパー下部にブルーの輝きを放つ「ブルーホールLED」がビルトイン。

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さらにサイドシルプロテクターと専用リヤバンパー並びにLEDリヤコンビネーションランプ。足まわりには光輝アルミロードホイールが組み込まれている。

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一方インテリアでは、インストルメント・パネルに専用の表皮を張り込み、各部にブルーステッチをあしらうなどの造り込みを行い、標準のセレナとは異なる世界感を付与。こうしたラグジュアリー系車両を好む層に強く訴求するスタイルを持っている。

但し、車両自体の基礎的な走行機能並び、パフォーマンスは標準車に準ずるため、走行時の印象については車種グレードを問わない。従って標準車を求めるドライバーにとっても、大きく的外れの試乗報告にはならないだろう。

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さて実際の試乗報告で、まず筆頭に挙がるのがレベル2の運転補助機能である「プロパイロット」だ。

同機能を端的に言うと、基本は高速道路等の自動車専用道路に於いて同一車線をキープしたまま、アクセルとブレーキを自動でコントロールして先行車を淡々と追随していくもの。

ただ同車の場合、レーダー+カメラを用いた複合センサーを使うテスラやボルボ等の高額車とは異なり、単一カメラのみでレベル2の運転補助機能を実現している点が大きな特徴だ。

ある意味、これは実に画期的なことで、この単一カメラのみで同システムを実現させるため、日産では世界各国から、最も優れた画像認識技術を厳選したとされる。

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現在、新型セレナの画像認識機能に搭載されているのは、独自のEyeQチップで著名なイスラエル発(本社登記:オランダ、アムステルフェーン、研究開発拠点:イスラエル・エルサレム、CEO:Ziv Aviram、ジブ・アビラム)のモービルアイ社(Mobileye)の技術であり、日産は今回、同システムを選択した。

このモービルアイ社(2014年8月1日にNYSE上場。調達額は約900億円、2016年秋時点の時価総額は1兆7千億円超)は、単眼カメラでの衝突事故防止・軽減実現に関して、エルサレムのヘブライ大学コンピューター科学教授アムノン・シャシュア氏(Amnon Shashua・共同創設者・会長)が世界で先鞭を付けた後、現在、高度運転支援システム (ADAS) の発展に大きく貢献している著名なテクノロジーカンパニーである。

現在、モービルアイ社の製品は、日本国内に於いても大型トラック等に後付けする運転支援システムとしても普及が拡大しており、(輸送分野後付け・国内取り扱い窓口:ジャパン・トゥエンティワン株式会社、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:加藤充)現段階に於いて、単眼カメラによる画像解析技術では世界でトップを走っている。

元々イスラエルという国は、国家の周辺環境や、政治情勢の影響もあって、航空機から地表の偵察を行う等の軍事利用が先行し、画像解析技術では早くも1990年代から世界をリードしてきた。

一般的にカメラによる外部環境の認識では、人間の目と同じく、本来はふたつの目(カメラ)を使って物事の対象までの距離を測る。しかし同社は「単眼のカメラ」でこれを実現させたのが大きな「売り」である。

具体的に同社のシステムは、前方車両の輪郭による形状・大きさなどの認識だけでなく、タイヤと地面の接地ポイントや、左右テールライトなどの特徴を捉えて、これらの映像のコントラストから、素早く外界の世界を演算・解析していく能力に長けている。

これにより捉えた画像のキャリブレーション(数値による演算化)が早いことから、今回、日産では同社システムの導入を決めたのであろう。

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さて、そんな「プロパイロット」の利用は、まず、高速道路等で車両を巡航状態に維持。この時点で、ステアリング右にブルー文字で書かれた「プロパイロットスイッチ」を入れる。これで準備態勢が整えられる。

次にその直近にある「SETスイッチ」を押すことで、先行車追随とレーンキープ機能が組み合わさった「プロパイロット」が始動する。

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稼働中は、インストルメント・パネル中央のセンターディスプレイに「プロパイロット」表示が灯ることで稼働状態が確認できる。

なおこの高速走行状態で、ステアリングから手を離してしまうと10秒でインストルメント・パネル上に警告が出現。さらに15秒経つと「プロパイロット」機能が強制的にキャンセルされる。

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従って、この走行中の「レーンキープ機能+先行車追従機能」を、常時作動させておくためには常にステアリングに触れた状態にしておくことが必須条件となる。

「家族の時代」に於いて、誰もが幸せになれるクルマとして及第点は高い

この新型セレナの「プロパイロット」機能が持つ大きな欠点は、カメラで捕捉できない前方以外の位置から侵入する他車に対しては、文字通りの「死角状態」となってしまうことにある。

一方、常に前方を見つめ続けるカメラ自体の画像解析精度は高いから、他車の割り込みを物理的に捉えた時点で、制御機能が素早く働き、減速等の対処を行う。

ちなみに、この際の運転補助機能が動作している中でのステアリング操舵補助動作のセッティングについては、既に他メーカーも似た機能が付き始めていること。

加えて、そうは言っても、まだ同機能の搭載は特定の車両に限られているだけに、各社または個々車両毎の個性や、特徴がよく表れている。

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例えば、この運転補助機能で先鞭を付けたテスラ・モデルSの場合は、車両走行レーンを示すライン間の中央を積極的に維持する積極性がある。

これに対してセレナの場合は、レーン内を安全を確保した範囲で絶対に逸脱しないように振る舞いながらも、実に自然なステアリング操舵を行う。

このセレナゆえの穏やかさは、「車両自体の性格」「利用される環境」「目まぐるしく変わる日本国内の道路環境」を見据えてのセッティングであり、最も適したセッティングを日産の技術者が選んだゆえの性格付けである。

従って、これで慣れてしまば、後はラクチンな訳なのだが、中には運転を積極的に愉しみたいタイプのドライバーも居るだろう。

仮にそうしたドライバーが運転席に座ってしまった場合は、セレナ自身が制御するステアリング操舵がどうにも緩慢に思えてしまい、ドライバー自身が、積極的にステアリングの微操舵をしてしまいがちになる。

もしそうしたドライバーが、セレナの運転補助機能を心から愉しみたい場合は、セレナの操舵補助にある程度は任せ、家族とのドライブのひとときを愉しめる余裕が必要だろう。

また登場して間もないレベル2の自動操舵ゆえに、メーカー等に違いによる性格付けはある事は、実に興味深い。

今後は、こうした操舵フィーリングについても、新たに登場してくると見られる運転補助機能搭載車では、相次いで人工知能が搭載されることを通して、より個別のドライバーにマッチした操舵補助フィーリングが選択・愉しめるようになるだろう。

ちなみに、この運転補助機能以外の部分に於けるセレナの出来であるが、純粋な5ナンバーサイズのミニバンとして機能性は高い。

例えば、低床構造も手伝ってドライバーズシート上の居住スペースは頭上空間が充分に高く、横方向にも余裕があり、座面も長距離移動に応えられる充分な堅さを備えている。

また通常、このタイプの車両はAピーラーによって前方斜め側の視界が遮られてしまうものだが、こうした死角対策に於いても、内装材の肉厚を削り込んで、ピラーそのもののスリム化処理を行っているため、視界が望外に大きく開けている。

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さらに室内空間はドライバーズシートから後部シートに移行していくに伴って、座面のアップライト化が施されているようで、特に3列目シート座面は全乗員中最も高い位置にある。

それゆえ、この種の車両にありがちな3列目シートの没入感が薄い。

つまりフル乗員体制での長距離移動に於いて、1列目と2列目間の会話に際し、3列目の乗員だけが蚊帳の外になることが無くなる。

併せて昨今は、必須となったUSBポートも全席搭載が望めるため、全ての乗員に対するホスピタリティ性も大きく向上した。

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車体骨格についても、後方に行くに従い開放型のボックス形状になってしまうこの手の車両ならではの車体構造ゆえに、その強度的弱点を補うべく、リアゲート開口部の補強が大きく強化された。

これにより、3列目シート座面のたわみが大きく削減された。実はこの効果は殊の外大きく、このおかげで、この最後列独特の複合的な揺れ要因が大きく減っている。

有り体に言えば、お菓子の箱の様な、後端が開放構造となっているボックス形状のボディの場合、開口部に近い部分のシートに座ると、路面の凸凹から来る上下の揺れだけなく、ボディ骨格が左右にもたわむため、乗員の着座点の揺れが横方向や斜め方向からも発生して、これが車酔いの原因になっているのだ。

このタイプのクルマで、最後部の座席の乗員が車酔いするという事実は、こうした要素があってのことなのである。

今回の新型セレナの場合は、この現象が軽減されることから、車酔いと言う嫌な事象や要素は大きく低減されるだろう。

併せて副産物というか、相乗効果と言って良い部分だが、車体剛性が向上したことと、リアホイールハウス部に吸音ライナーを装着したことで、通常、この手のクルマに有りがちな「後方シートに移る程、前席との会話が難しくなる」という欠点は、大きく改善された。

さて、同車の評価を運転時のドライブフィールに移すと、まず一般道を走っている際のステアリング操舵は、「手応えがあって運転を愉しめる」と言ういわゆるファン トゥ ドライブ的な味付けとは全く異なる。

具体的には、腕力の無い女性ドライバーを含めて、誰もが操作できる扱い易さや、長時間の運転疲れを軽減するために、パワーアシストが強く効いた軽めのフィーリングを持つ。

軽さと取り回し易さに腐心しているため、操舵に伴う手応え自体は、車両の姿勢変化を通してドライバーに伝わってくるタイプだ。

ステアリング形状が下部がフラットなD型になっているのも、スポーツ性を重視した訳ではなく、運転席から後席の移動、後席から運転席への移動時に足が通り易いように考えた配慮からそうなっている。

同じく走りという面で気になってしまうパワーユニットだが、これも実は先代のユニットをそのまま踏襲しており、目新しさは全くない。

但しエンジン出力自体は圧縮比を11.2から12.5に高めるなどのリファインを積極的に行っており、結果的に3馬力程、出力自体は向上した。

しかしこれは体感できる訳ではないし、そもそも出力を上げる目的のリファインではなく、エンジン回転領域の効率化を高めて、燃料消費率や環境性能の向上に、それが使われた結果となっている。実際、実用燃費は数値データに於いて向上した。

総じて言えることは、セレナというクルマが「家族」という単位が幸せになれ、その目的に最適化したパッケージであることだ。

このためステアリングは、先の通りでドライビングの手応えを感じさせるよりも、長時間のドライブに於いても軽く疲れない事を優先させている。

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そのためのマイルドハイブリッドシステムであり、ウインドウシェードに対する仕立てや、シートアレンジの豊富さに対する拘りもそこにある。それらが家族で所有するクルマとしての満足度を押し上げるという訳だ。

唯一気になるのは、革張り風のインストルメント・パネルにビルトインされたディーラーオプションとなる大型ナビゲーションシステム。今回の試乗に於いては走行環境によるためか、表示輝度が不足している感覚を持ち、特にドライバーズシートからの使い勝手が低く感じた。

但し助手席からの操作性では大きな問題がなかったことから、このタイプのナビの使用は助手席のパッセンジャーに任せたい。

最後に積載物がある際の使い易さだが、リアゲートの2段階式のディアルバックドアは便利だ。ある意味セレナと同じ考えから、例えば、比較競合車となるステップワゴンの場合などは、片側横開きのWドアタイプとなっている訳だが、この辺りの使い易さについては、ガレージの形状や利用場面によって異なるから、自身の環境に最も適した使い勝手を考えて車両を選択して欲しい。

またバックドアを開口し、3列目を格納した際の積載スペースは、こうしたワゴンスタイル車の面目躍如なところではある。

新型セレナは、これも競合車となるトヨタ・ボクシーや、ホンダ・ステップワゴンに次ぐ最後発の車両ゆえに、他車をよく研究しており、3列目シートは最後列のウインドウを大きく塞がない範囲の高さで格納される構造だ。但しその分、折り畳んで格納されたシートの厚み分、積載幅は狭くなる。

ちなみにトヨタ・ボクシーの場合は、丁度、最後列ウインドウのくぼみ部分に3列目シートが格納されるため、積載幅自体は広い。但し、後端部の窓ガラスを大きく塞ぐように畳まれることになるため、斜め後方視界は犠牲になる。

この部分の格納構造で最も良く出来ているのは、ホンダ・ステップワゴンの3列目シートの分割格納スタイルだろう。このクルマの場合は、一部が床下に格納されることで、床面のフラットさをある程度維持したまま、積載幅も確保している。

但し格納性の高さと、シート座面の座り心地の両立は難しいため、利便性確保と乗員の快適性確保については、秤(はかり)を掛けて選択されたい。

さらに中央2列目のシートスライドに関してセレナは、先代モデルに比べ大きく改善され、最大460mmのニー・スペースが確保できる。しかしスライド量そのものに関しては、トヨタのボクシーの方が大きく660mmのニー・スペースを確保できる。但しその分、3列目の空間は狭まるから、これも個々ドライバーの使い勝手次第である。

いずれにしても今回の新型セレナは、2列目・3列目に実際に乗る家族の誰もが幸せになれるクルマとしての及第点が高い。

永い人生のなかに於いて、誰もが小さな子供を伴う時代は存在するし、その場面や環境で求められるのは、ドライビングブレジャーよりも、家族に重きを置いた自動車選択になる筈だ。

先代のパワーユニットを引継ぎ、骨格構造面に於いても大きな冒険をするよりも、既存シャシーを煮詰めることで全く新しいクルマを造り上げた日産。

あくまでも大切な家族との時間の共有・環境下での使い勝手を最優先に考えたセレナは、そうした人達のライフステージに於いて、比較的欠点の少ないクルマとして活躍することだろう。(坂上 賢治)

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