独コンチネンタルとオスラム、自動車向けインテリジェントライトの合弁会社を設立へ


50パーセントずつの出資で売上高目標を5億ユーロに照準。契約承認作業を経て2018年第3四半期以降に1500人で事業開始。

独・自動車部品サプライヤー大手のコンチネンタルAG(本社:ドイツ・ハノーバー市、CEO:エルマー・デゲンハート)とシーメンス傘下のランプメーカーであるオスラムGmbH(本社:ドイツ・ミュンヘン、CEO:オーラフ・ベルリーン)は4月6日、自動車向けインテリジェントライトの合弁会社設立契約書に調印したことを発表した。

ルティライティング事業部のCEO、ハンス=ヨアヒム・シュヴァーベ(写真左)とコンチネンタルのボディ & セキュリティ事業部を統括するアンドレアス・ヴォルフ(写真右)。
写真は、オスラムのスペシャルティライティング事業部のCEO、ハンス=ヨアヒム・シュヴァーベ(写真左)とコンチネンタルのボディ & セキュリティ事業部を統括するアンドレアス・ヴォルフ(写真右)。

両社はかねてよりの新会社設立に向けた交渉に成功し、 それぞれ50%の出資比率により新会社となる「合弁会社オスラム・コンチネンタル(Osram Continental GmbH)」の設立を目指す。

この合弁会社設立にあたって、両社は以降、必要な承認手続きを経た後、ライト、ライティングコントロール、エレクトロニクス分野に於ける両社のノウハウを統合することを介して、来る2018年第3四半期以降に、本格的な事業を始動させる予定だとしている。

このような計画に至った背景は、自動車産業の照明市場が著しい技術変化に見舞われていることにある。今後、この分野の装備は、半導体ベース照明ソリューションだけが求められ、既存の照明ソリューションだけしか生み出せない企業は絶滅する。

つまり半導体ベースの技術革新等の影響下で、ソフトウエアとエレクトロニクスの融合が重要性を増していること。それを介した「車両搭載のインテリジェント照明の性能の向上」、「新技術をベースとした革新的なデザインとアプリケーションとの組み合わせ」が求められるようになる。

この技術で同市場を牽引できる企業群は、今後毎年、半導体ベースのフロント照明ソリューションを生みだしていくことで2桁ペースで事業規模が伸び続けるだろうと見られている。

実際、近い将来、同市場調査は早ければ2025年にも、世界の新車の半数以上が、半導体ベース照明ソリューションを搭載するようになるだろう。

そこでオスラム社は自社内の「ソリッドステート照明(SSL)モジュール事業」を新たな合弁企業に移譲し、対してコンチネンタルは「車体&セキュリティー・ユニットの照明制御事業」を抽出・移管して合体させる。

これによって生まれた「オスラム・コンチネンタル」は、半導体ベースの照明モジュール、先進的なエレクトロニクス・光学・ソフトウエア専門技術をセンサー技術アクセス、革新的照明ソースの合わせが可能になる。

結果、オスラム・コンチネンタルは、ヘッドライトとテールライト・アプリケーション用に特別設計された幅広いエンドツーエンドの革新的な照明ソリューションを相次いで提供できるようになり、この新会社は出資元の両社とは独立した新たな技術企業として、該当市場で広域で活動できるようになると踏んでいるようだ。

革新的な照明製品を、エレクトロニクス、ソフトウエア技術と結びつけることで、自動車産業向けのインテリジェント照明ソリューションを開発、製造、販売。これにより未来をリードしていこうとする構想である。

先の通りこの合弁事業は「オスラム・コンチネンタル(Osram Continental GmbH)」の社名で展開され、登記上のオフィスをミュンヘン地区に置く。

オスラム、コンチネンタルの両社は、この合弁事業に50%ずつ出資。目標は世界17地点に従業員約1500人を擁し、年間数百万ユーロ規模を売り上げることである。

その目標達成のため、オスラム最高経営責任者(CEO)のディルク・リンツマイヤー、コンチネンタル最高財務責任者(CFO)のハラルト・レンナーの両氏がマネジングディレクターに指名された。合弁事業は拘束力ある契約の最終合意と、独占禁止承認を経て2018年に誕生する予定だ。

なお新たに生まれる新会社のCEOには、オスラム社のダーク・リンツメアー氏(Dirk Linzmeier)、CFOにコンチネンタルのハラルド・レナー氏(Harald Renner)を選出するプランで合意に達している。

この両社の協業にあたって、コンチネンタルのボディ & セキュリティ事業部を統括するアンドレアス・ヴォルフ氏(Andreas Wolf)は、「当社は、この新会社設立にあたって自動車ライティング市場に於ける技術革新を積極的に推進し、革新的でインテリジェントなライティングソリューションを開発したいと考えています。

コンチネンタル社のソフトウェアとエレクトロニクスに関わるノウハウと、オスラム社の自動車ライティング技術のノウハウを組み合わせることで、私たちは未来の顧客に向けて自動車ライティング市場で唯一無比のソリューションを提供できるようになります」と語っている。

一方、オスラム社のスペシャルティライティング事業部で、新会社のCEOに就任予定のハンス=ヨアヒム・シュヴァーベ氏(Hans-Joachim Schwabe)は、「デジタル化の動きは、自動車用ライティングに新たな可能性を創出しており、私たちがコンチネンタルとともに取り組む機会も増えています。

自動車業界との緊密な連携のもと、照明、センサー技術、エレクトロニクスを単一のアプリケーションにシームレスに統合し、両社が力を合わせると、よりイノベーションを推進しやすくなります。

これにより、照明とセンサー技術の単一モジュールへの統合や、ドライバーや他の道路利用者と車両位置周辺の間での照明ベースの通信など、新しくインテリジェントなライティング機能を進化させることができます」と両社の協業の成果について説明した。

ちなみにこのオスラム(OSRAM)という社名は、照明器具のフィラメントの製造に必要だった物質であるオスミウム(Osmium)のOSと、タングステンにあたるWolframのRAMを合わせたものとして1906年にドイツで登録された商標である。

そんな名前を冠した新会社が送り出す製品ポートフォリオには、フロント及びリア・ヘッドライト用のLEDなどの光半導体(オプトセミコンダクター)モジュール、レーザーモジュール、ライト・コントロール・ユニットなどの半導体ベースのライティングモジュールが含まれるとしている。

▽オスラムについて
ミュンヘンに本社を置くオスラム(OSRAM)は、110年以上の歴史がある世界の大手ハイテク企業である。

主として半導体ベースの技術に集中し、その製品はバーチャルリアリティーから自動運転、スマートフォンからビルや都市のスマート・コネクテッド照明ソリューションまで、多様性に富むアプリケーションに使用されている。

オスラムは照明の無限の可能性を利用して、個人と社会の生活の質を向上させている。オスラムのイノベーションによって、世界の人々はよく見えるだけでなく、通信、旅行、労働、生活も向上させている。

オスラムは2017会計年度末(9月30日)現在、世界に約2万6400人を擁し、同年度に41億ユーロ以上の収益を上げた。同社はフランクフルトおよびミュンヘンの証券取引所に上場している(ISIN:DE000LED4000、WKN:LED400、銘柄コード:OSR)。詳しい情報はウェブサイト:http://www.osram.com/ を参照されたい。

▽コンチネンタルについて
コンチネンタル(Continental)は人々と商品の持続可能かつコネクテッドなモビリティーのために、先駆的な技術とサービスを開発している。

1871年創業の技術企業は車両、機械、交通、輸送向けに安全で効率的、インテリジェントで手頃なソリューションを提供。コンチネンタルは2016年に405億ユーロを売り上げ、現在56カ国で23万人以上の従業員を雇用している。