ディー・エヌ・エー、ZMPとの自動運転車両を目指す業務提携を解消し日産自動車と新交通環境開発へ


DeNAとZMPは、ロボットタクシーの運営方針の違で別々の取組みを行うことになり業務提携を解消

株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:守安 功、以下DeNA)は1月6日、日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、代表取締役社長:カルロス ゴーン)が製造する自動運転車両を活用した新たな交通サービスのプラットフォーム(基盤)を開発することに合意した。

写真は昨年12月5日に、日産自動車が発表した自動運転技術を活用した完成車の無人搬送システム

この取り組みの第一歩として、2017年内に日産製の自動運転車両を用いた技術的な実証実験を日本国内で開始し、今回、政府が打ち出した「ゼロベース特区 <PDF・第26回国家戦略特別区域諮問会議・議事要旨>(これまでの規制緩和スタイルではなく、法体系を自動運転車が走行する事を前提に、ゼロから適切な法規制を考え・組み立てていく特区)」に於いて2020年までに無人運転による交通サービスプラットフォームのビジネスモデルなどを検証する。

なお、サービスプラットフォーム開発の具体的な計画や実証実験の詳細は今後協議の上、実証実験開始前に公表する予定。

一方、DeNAは同日のZMPとの提携解消について、「両社は2015年5月に合弁会社ロボットタクシー株式会社(以下、ロボットタクシー)を設立し、自動運転技術を用いたモビリティーサービスの実現に向けて、これまで様々な実証実験やデモンストレーションを実施してきました。

しかしこのたび、ロボットタクシーの運営方針の違いから、両社は別々の取組みを行うことが最善であるという考えに至り、業務提携を解消する運びとなりました。

なお、法人であるロボットタクシー株式会社及びロボットタクシーという商標の取扱いについては今後両社で検討します」と語っている。

なお併せて日産自動車との無人運転による交通サービスプラットフォーム開発に関しては、「当社は、様々な領域でインターネットビジネスに挑戦してきた強みを活かし、自動運転技術や最先端のインフラなどを組み合わせ、『モビリティーサービスプロバイダー』としてエンドユーザーやパートナー企業にサービスやソリューションを届ける事業に取り組んできました。

これを踏まえ同取り組みに於いても、インターネットサービス部分の設計・運営や自治体との調整・連携を行う予定です」と述べている。

同件についてZMPは、「ロボットタクシーは、当社代表の谷口が「高齢者や子供たち、障害を持つ方など、運転ができない方々に移動手段を提供したい。

交通弱者を交通楽者にしたいとの想いから2012 年に生み出したロボットタクシー構想を実現するために設立した会社です。当社としましては、今後も『ロボットタクシー』構想を実現のため、新たな枠組みで尽力していく所存です」とのコメントを発表している。

ちなみに、先のロボットタクシー事業については2015年5月に、DeNAとZMPの両社で、人の移動に革命を起こすというコンセプトを掲げて「ロボットタクシー株式会社」設立を発表。

現在の過疎地域の交通課題に関して、同インフラ環境を改革する全く新たなビジネスモデルとして、自動車業界外も巻き込み、大きな期待と注目を集めてきた。

ただ、ハードウェアを中心に開発を行うZMPに対して、DeNAはインフラ環境をベースとしたビジネスモデル構築を目指しており、事業成就の先行き以前に、両社が共同でどのように事業に育んでいくのか、また一定の評価を得た後、対象事業のビジネスモデルをどのように成長させていくのか。

またその過程に於いて、過疎地域の環境維持の核となるべき地域の交通系事業社などを、どのような形で取り込んでいくかなど、双方にとっての目標設定に異差が生じてきたということなのだろう。

併せてDeNAは、昨夏より仏・EasyMile S.A.(本社:フランス トゥルーズ、代表者:ジルベール・ガニェール、以下EasyMile社)と業務提携し、私有地における無人運転バスを使用した交通システム「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」の試験運行を複数拠点で実施している。

DeNAは、この際の知見を得たことで、当面の実業化への到達スピードを考えた時、ここのところ交通インフラを含めたハードウエア開発を急加速させている大手自動車メーカーと、「餅は餅屋」としてのDeNAの立場から、IcT分野に造詣の深い自社ノウハウを役割分担を決めて融合させた方が、先が見通し易いと考えたのかも知れない。

いずれにしても、ここまでのDeNAとZMPが果たした取り組みは、交通事業社のビジネス環境へのインパクトを踏まえて、大きな夢と期待を内包していただけに、この後のロボットタクシーの行く末には注目していきたい。