ダカール2016、13日はペテランセルが最大の難所フィアンバラを制す


ダカール2016は、1月13日を迎えた。この日のコースは、アルゼンチンのベレン~ラ・リオハ間。ベレンを離れて、ラ・リオハへ南下するマラソン・ステージの後半となる。今大会最大の難所とされるフィアンバラ砂漠が競技の舞台だ。

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フィアンバラは、アンデス山麓の盆地で高い気温と白く柔らかい砂丘やフェシュフェシュが特徴。2009年にダカールラリーが南米に舞台を移して以来、難易度の高いステージとして幾度も使われてきた。全域で大半が道なき道、砂漠の中の荒れ野が広がるエリアである。

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当初、予定していたスタート地のキャンセルに伴って、前半戦を中心に大幅なルート変更を行った。今大会、唯一の本格的な砂漠ステージとなることから注目を集めていた。このステージを通過し、ロザリオの最終ゴールに無事到達するには、車両だけでなく、ドライバーの体力温存が鍵となる。

走行距離は、4輪がリエゾン(移動区間)485km+SS(競技区間)278kmの合計763km。

トラックは、リエゾン(移動区間) 237km+SS(競技区間)431kmの合計668km。2輪&バギーは、リエゾン(移動区間) 283km+SS(競技区間)278kmの合計561kmを走る予定だったのだが、スタート時期に朝方、強い雷雨に見舞われ、SSの皮切りとなる枯れ河に水に浸かったことで、予定より1時間遅れの8時の開始となった。

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これに伴い、予定されていた各部門上位車のみの一斉スタートをキャンセルするとともに、SS距離も当初の278㎞からCP(チェックポイント)5までの244.7kmに短縮された。

今日一日4輪部門でトップを走ったのは、プジョーのステファン・ペテランセル選手。ライバルたちが幾つものトラブルに見舞われる中で快走。もはや最終ゴールまで3日に迫り、本人は総合優勝がようやく見えてきたかのような勢いがある。

これを追うのは、同じプジョーのデプレ選手。MINIに乗るナセル・アルアティヤ選手と、ミッコ・ヒルボネン選手。プジョーに乗るカルロス・サインツ選手と、セバスチャン・ローブ選手は砂丘に捕らわれて、メカニカルトラブルやスタックに苦しんだ。

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特にディ9で、総合8位だったエリック・ファンローン選手は、SSのスタート間もない5km地点で横転。なんとナセル・アルアティヤ選手も5.85km地点で転覆してしまう。

ファンローン選手は、その後、程なく再スタートできたのだが、アルアティヤ選手は、車を引き起こしてくれるチームメイト待ちとなってタイム・ロスをした。

この間、ステファン・ペテランセル選手はカルロス・サインツ選手とランデブー走行をするのだが、CP2の先、213km地点でサインツ選手が岩石に衝突。

エンジンユニットとギア・ボックスの連結部を破損。結果、アシスタンス・カミヨンを牽引されてのゴールで首位から6時間遅れの61位でゴールした。

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一方、今日のペテランセル選手は、ライバルに脅かされることなくゴールに突入し、通算12回目のステージ優勝を果たした。2位は5分40秒差でチームメイトのシリル・デプレ選手。

SS3番手となったのは、首位とトップとの差12分56秒差のウラジミール・ワシリエフ選手(トヨタ)、4番手はトップと14分33秒差のナニ・ローマ選手、その後に17分40秒差でセバスチャン・ロエブ選手(プジョー)が入った。

今年のダカール初戦で活躍したプジョーのローブ選手は、このステージでパンク2回、横転1回、スタック1回、さらにコースを彷徨ったのにも関わらずトップ10に割って入った。

総合順位では、ペテランセル選手が首位。続くセル・アルアティヤ選手と、ジニエリ・ド・ヴィリエ選手(トヨタ)は首位から1時間以上の差がついた。

4位はMINIのミッコ・ヒルボネン選手(首位から1時間23分差)、5位は、プジョーのシリル・デプレ選手(1時間50分差)となった。

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日本のチームランドクルーザー・トヨタオートボデーのニコラ・ジボン/ジャン・ピエール・ギャルサン組は、高い集中力を保ってアタック。

2本のパンクを喫したものの、多くの車両が砂丘でスタックする中、一度も埋まらず総合31位/市販車部門1位でゴールした。

一方、累計順位で市販車部門首位のP・シリヨル組(トヨタ・ランドクルーザー200)は1時間19分17秒遅れて総合35位/部門3位でSSを終了した。

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これでニコラ・ジボン/ジャン・ピエール・ギャルサン組は、5日ぶりに累計順位市販車部門1位の座を奪還した。

一方、342号車三浦 昂/ローラン・リシトロイシター組はパンクとスタックを繰り返しながらも総合55位/市販車部門3位でSSを無事ゴール。累計順位は総合49位/市販車部門5位となった。

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トラック部門は、ジェラルド・デ・ローイ選手が再びステージ優勝を果たして総合順位でも首位。

2位は、Kamazに乗るロシアのエドワルド・ニコラエフ選手(27分12秒差)、3位は、IVECOに乗るアルゼンチン人フェデリコ・ヴィジャグラ選手(41分24秒差)。

日野チームスガワラの日野レンジャーに乗る菅原照仁/杉浦博之組は前日に引き続き快走。9番手でスタートすると、CP2から中間のニュートラルゾーンまでに6位、さらにCP4では4位に躍進した。

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しかし終盤の砂丘で不運なスタックを喫し、約1時間をロス。総合14位/排気量10リットル未満クラス1位でゴールした。

また、31位スタートの1号車菅原義正/高橋貢組は周囲の車両がスタックする中ベテランらしい確かな走りを見せ、じわじわと順位を上げていき総合25位/クラス2位で到着。同クラスのワン・ツー体制を引き続きキープした。

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2輪部門は、KTMのステファン・ソヴィツコ選手がダカール参戦7度目で、初のステージ優勝を果たす。

2番手は、ホンダのケヴィン・ベナビデス選手 (ステージ優勝者に2分54秒差)、3番手はKTMのトビー・プライス選手(ステージ優勝者に5分47秒差)となった。

総合順位では、KTMのトビー・プライス選手が首位、2位のKTMのソヴィツコ選手に23分以上の差をつけた。3位は、Husqvarnaのパブロ・キンタニーリャ選手、4位は、KTMのアントワーヌ・メオ選手、5位はホンダのヴィン・ベナビデス選手となった。なお三橋淳はSS58位、総合56位となっている。

一方、昨日のトラブルでエンジン交換したホンダのパウロ・ゴンサルヴェス選手は、慎重に走りきり総合3位キープを目指す。しかしゴール後、エンジン交換のペナルティで約40分が科せられ総合8位に後退する。

バギー部門は、南アのブライアン・バラガナット選手(ヤマハ)がステージ優勝。総合順位ではマルコス・パトロネッリ選手(ヤマハ)が1位。兄のアレヒャンドロが1分32秒差で2位。3位のゴンサレス・フェリオリ選手とは1時間半以上の差がある。

ディ10を消化して到着したラ・リオハのビバーク地は、以前にも何度か使われたことのあるサーキット場(アウトドローモ・デ・ラ・リオハ)。メカニックたちは朝方まで車両の点検整備を行った。明日14日は、ラ・リオハからさらに南下してサン・ファンへ。山間地の悪路で431㎞のSSが予定されている。