ダイムラー・トラック・アジア、「IAA 2016」で三菱FUSOの「eCanter」を世界初公開


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ダイムラーの最先端技術を駆使した電気トラックは、2017年後半から米国、日本、欧州で導入開始予定

三菱ふそうトラック・バス株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長・CEO:マーク・リストセーヤ、以下 MFTBC)と、ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ社(以下 DICV)が協業を行うダイムラー・トラック・アジア(以下 DTA)。

この両社は、9月22日~29日までドイツ・ハノーバーで開催された世界最大の商用車ショー「2016年度IAA国際モーターショー」で、三菱FUSOブランドの電気小型トラック「eCanter」を世界初公開した。

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両社は第1世代の電気トラックを「2010年度IAA国際モーターショー」に出展してから6年、以来このプロジェクトは、さらに技術を積み上げた第3世代モデルに到達した。

そんなeCanterは、2013年の日本、2014年のポルトガル、そして現在ドイツ・シュトゥットガルトで実施している第2世代の「キャンター E-CELL」の実用供試を通じてもたらされたもの。

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その成果としてeCanterは、航続距離で100キロメートル以上を実現している。この数値は今日、日本国内環境では市街地を走る小型配送トラックの80%が50km程度である中、短距離輸送を担う小型トラックの1日の平均走行距離を上回る。

DTAは、この目標をクリアするため、搭載バッテリーをモジュラー化。具体的には13.8kWh容量のリチウムイオンバッテリーを3~5個にパッケージ化した上で、個別ニーズに応じ複数のオプション形式とし提供できるようにしている。

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例えば、これを5個連装した場合、車両総重量(GVW)7.5トンクラスで、1日100キロメートルの走行が可能となる。

なお充電に掛かる時間は、200Vの充電器で約7時間、急速充電の場合は1時間弱程度となる(73kW、80%充電)。また発生出力は185kW、最大トルク380Nmである。

DTAはダイムラーの最先端技術を駆使し、成熟市場と成長市場の両方で電気駆動トラックメーカーとしての存在感を高めていく

積載能力で見ても、最も効率的な輸送積載量で2~3トンとし、通常のディーゼル車比のランニングコスト換算で、走行1万キロメートルあたり1,000ユーロ。つまり総ランニングコスト値で最大で64%の削減に成功、これに伴い維持費も30%削減できるため、車両導入の初期費用は2年で回収できる試算だと云う。

またeCanterは、デジタルキーや測定コンソール、センターコンソールに配置したデジタルコントロールパネル、またLED照明、空調、音楽プレイヤーやナビゲーション機能などをすべてデジタル化。

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コネクティビティには「車両状態」「走行距離」「タスク・アロケーション」の3つのコンセプトを設定した。

「車両状態」の確認では、車両のあらゆる部分の異常を検知。「走行履歴」は、1日の走行距離や走行期間内の充電状態、また配送状況や燃費データなどをリアルタイムに表示していく。

併せて「タスク・アロケーション」では、デジタルコントロールパネルと配車担当者のコンピューターをつなぎ、配送担当者は作業内容をドライバーに送信、ドライバーは集荷・配達時間を配車担当者に返信できる機能を搭載している。

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eCanter発表にあたって、ダイムラー・トラック・アジア総責任者兼MFTBC代表取締役社長・CEO:マーク・リストセーヤ氏は、「私たちは、お客様と社会、さらには地球のために、持続可能かつ信頼性の高い輸送ソリューションの未来を考え、開発に取り組んでいます。

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電気トラックの『eCanter』に、私たちのこうした考えを体現しました。

DTAはハイブリッドと電気トラック技術の分野で、ダイムラー・トラックの中核を担っています。実用供試の成功で、私たちは世界に向けて最新の技術革新を披露することができます」と語った。

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なおDTAは、このeCanterの開発にあたって、研究開発費を含めて4000万ユーロを投資。気になる車両製造は、ポルトガル・トラマガル工場及び川崎工場で行われ、来る2017年後半から米国、日本、欧州の世界複数拠点で、市街地輸送を担う輸送企業に納入開始となる予定と云う。