「オピニオン」カテゴリーアーカイブ

伊ブレンボ、AIブレーキシステムの記者試乗会を実施

1975年以降、競技スポーツの世界最高峰ブランドに登り詰める

伊・ブレンボ( Brembo S.p.a./所在地:ロンバルディア州ベルガモ県クルノ )は7月31日から8月1日の2日間、栃木県栃木市のGKNプルービンググラウンドに於いて報道陣を募り、インテリジェントブレーキシステム「SENSIFY™(センシファイ)」の記者向け試乗会を実施した。( 坂上 賢治 )

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トヨタ、2027年に全固体電池の実用化へ

トヨタ自動車は定期株主総会目前の6月13日、「クルマの未来を変えていこう」をテーマにした技術説明会&体験会「Toyota Technical Workshop2023(東富士研究所・6月8日)」で説明したモビリティカンパニーへの変革を支える複数の新技術を公表した。( 坂上 賢治 )

副社長の中嶋裕樹CTO

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ランチア、新生ブランドの概念を「プーラHPE」に込める

ランチア(Lancia)は4月15日、本国に於いて記者会見を開き、その壇上で新生ブランド「Lancia」の旗揚げとなるコンセプトモデル「Pu+Ra(プーラ)HPE」を発表した。( 坂上 賢治 ) 続きを読む ランチア、新生ブランドの概念を「プーラHPE」に込める

欧州連合、合成燃料エンジン車の販売でドイツと合意

欧州連合(EU)は3月25日、予てよりドイツ政府が提案していた合成燃料( eFuel、詳細は後述 )を使うエンジン車の販売継続( 2035年以降 )を認める事を表明した。( 坂上 賢治 ) 続きを読む 欧州連合、合成燃料エンジン車の販売でドイツと合意

独VW、新型BEV「ID.2all」をワールドプレミア

独・フォルクスワーゲンブランドは3月16日の未明( 日本時間 )、手頃な価格と車体サイズを持つ新型BEVコンセプトのワールドプレミアの様子をオンライン配信した。( 坂上 賢治 )

新型車両は、フォルクスワーゲンブランドに於いてピュア電動車のDNAを受け継ぐ〝ID.2allコンセプト〟で、コンセプトという名を冠しているものの、その量産バージョンが早くも2025年中に発表される予定だ。

なお同車は、フォルクスワーゲンブランドが2026年までに発売する10台の新電気モデルの1つとなっている。

そのスタイリングは、先行して市場投入されたID.4よりもふくよかなカーブを持つ5ドアハッチバックボディを備えており、ボディを支えるプラットフォームはMEBエントリープラットフォームとなっている。

車格は、前後方向では標準仕様のゴルフよりも234mm短い全長4,050mm × 全幅1,812mm × 全高1,530mm × ホイールベース2,600mm。

搭載されるバッテリー容量についてはコンセプトモデルらしく明らかにされていないものの、航続距離の目標値はWLTPテストサイクルで最大450キロメートル。

DC急速充電ステーションでは、搭載バッテリーを20分で10~80パーセント充電出来るとしている。なお自宅または公共のAC充電ポイントで最大11kWで充電するオプションも提供される見込みだ。

気になる動力性能は、166kW / 226psを発生する電動モーターがフロントに搭載される。これによりゼロから時速100キロメートルまでの加速が7秒未満となっている。

想定車両価格は、フォルクスワーゲンブランドのBEVとしては初の25,000ユーロ未満のプライスタグが付くとされる。

この新型車両の発表についてフォルクスワーゲンの乗用車部門を担うトーマス・シェーファーCEO( 最高経営責任者 )は、「我々は、フォルクスワーゲンが世界のオーナードライバーに愛されるブランドにするという目標を掲げて事業構築を改めて組み立てている最中です。

そうした目的を踏まえて今日、ご披露した〝ID.2allコンセプト〟は、フォルクスワーゲンブランドを未来に向けて推し進めていくためのひとつの指針を示しています。

お客様にとってより手頃で、最高の技術と卓越したデザインを持つ電動モビリティ。 我々はこのコンセプトを大衆に受け入れて貰うためのBEV開発に邁進しています」と語った。

続いて登壇したのは、セールス・マーケティング、アフターセールスを担うブランド管理委員会メンバーのイメルダ・ラベ氏で、「私達はフォルクスワーゲンの典型的な美徳を、新たな価値の構築を目指す新型モビリティへと移し換えています。

それは最高のクラフトマンシップに支えられたハードウエア品質。これに優れたソフトウェアを組み合わせた新たなデジタル価値の提案です。その一端は、MEBエントリープラットフォームの新たな進化段階にも現れています」と説明。

これを受けたブランド管理委員会のメンバーのカイ・グルニッツ氏は、「ID.2allコンセプトは、電動モーターで前輪を駆動する初のMEB車になります。

同車はMEBエントリープラットフォームが実現した柔軟性の高さを活用しており、技術に裏打ちされた日常の使いやすさという面で新しい基準を打ち立てています。

強化されたMEBエントリープラットフォームでは、効率的な駆動効率を支えるバッテリー配置とリファインされた充電技術を搭載しています。併せてID.2allコンセプトではデザインにも力を注力しています」と述べた。

車両デザインについて乗用車部門のデザイントップを務めるアンドレアス・ミント氏は、「同車は、安定性、好感度、興奮の3つの柱に基づく新しいデザイン言語で組み立てられています。

特に強調したいのはかつて初代ゴルフのために開発されたCピラー デザインの踏襲です。ID.2allコンセプトは、このシグネチャーを新たに解釈したIDシリーズ最初のフォルクスワーゲンです。

更にその他のデザイン上の特徴では、4輪が踏ん張ったような力強いスタンスを持つボディフォルム、親しみやすい顔、時代を超越したエレガントな印象にあります。

インテリアでは、フォルクスワーゲンのブランドイメージを踏襲したボリュームコントロールを備えたインフォテインメントシステム。すっきりさと高品質さを保つ印象。また独立したエアコンブロックなどが目を惹く事と思います。

機能面でも妥協は無く、収納容量は490~1,330リットル( 後席は40対60の分割式、助手席のバックレストも倒すと2.20メートルの長尺が確保される )で、トランクの床下は長方形の収納ボックスがあり、後部座席の下にも容量50リットル の別の収納エリアがあるなど、上位クラスの車両を凌駕する余裕のある空間が確保されています」と説明した。

なおロングホイールベースのIDバズ、ID.7サルーンなどに続いて2026年には新たなコンパクトな電動SUVが登場する予定としており、更に20,000ユーロ未満の電動車の開発にも精力に取り組んでいるとした。

これにより同社は、競合他社に対して最も幅広いラインナップの電動車を揃えるメーカーとなり、これらによって欧州圏の電動車のシェアの8割を手中にする計画を推し進めると結んだ。

ソフトバンク、無人AI運転車を視野に実証実験へ

自動運転レベル4の解禁に向け、AIで完全無人化を目指す実証実験を開始

ソフトバンクは3月10日、高い持続性を備えた自動運転サービスの早期社会実装を目指して、東京都港区の竹芝エリアで、自動運転車による走行経路の実用設計に取り組む。また併せて遠隔監視の運行業務をAIで完全無人化させるべく、既に今年1月から実証実験の体制構築を行っている事を一般に向けて公表した。( 坂上 賢治 )

ちなみに我が国では、自動運転に係る諸定義の策定を経た2023年4月、新たな改正道路交通法の施行に伴い、いよいよレベル4( 高度運転自動化/上記レベル分け図を参照 )が解禁される。

ただ現実の自動運転車並びにサービスシステムの実用化では、ドライバー不足の解消や、交通事故の削減に繫がるなど、各方面からの期待を一身に集めている一方で、未だ多くの先端機能の高性能化やシステム刷新が必要であるとされており、それらの導入コストが今日に於いても課題として浮き彫りになっている。

つまり公道上に於ける自動運転の実現は、課題解決に至る道筋の険しさが、今も取り沙汰されている最中にある。

走行経路イメージ

そうしたなかソフトバンクは、政府による自動運転のレベル4( 特定条件下で自動運転システムが全ての運転のタスクを実施する状態 )解禁を前提に、様々な諸課題の解決を真正面から捉え、自動運転サービスの早期の社会実装を視野に本格的な実証実験を行うという。

なお実証実験の概要については、〝自動運転システムの検証〟〝AIによる遠隔監視の自動化〟〝車内の運行支援システムの開発〟〝デジタルツインを使った運行の最適化〟〝シミュレーションを介した経路設計の自動化〟〝走行情報の運行システムへのフィードバック〟など克服すべき複数のテーマが横たわる。それら個々の課題検証に係るソフトバンクの技術的説明は以下の通りだ。

自動運転システムそのものに関する検証
まず改正道路交通法の施行に伴い、特定の事業者が自動運行のモビリティサービスを行う際には、万が一の事故時対応に備えるべく〝特定自動運行主任者〟の配置がサービス事業者に義務付けられる。この特定自動運行主任者は、車内管理者として設ける一方で、遠隔からの機能で対応する事も可能だ。

そこでソフトバンクでは、将来的な運行業務の完全無人化( 遠隔管理者による運行システムの実用化 )を見据えつつ、現段階では、安全管理の冗長化を取りつつ、将来的な運行システムの効率化研究を進めていくとしている。

車外の遠隔監視AIによる自動化
一般的に自動運転車の運行で、大きな工数を占めるもののひとつが、遠隔地からの自動運転車両の監視だ。

自動運行サービスにあたっては、複数車両の周辺環境を監視者が同時に把握し、刻々と変化する環境変化にリアルタイムに応えなければならない。しかし現実には、これらの対応では、時に複数トラブルの同時発生など困難を極める場面に遭遇する事も考えられる。

そこで監視者による運行管理では、車両の運行情報を自動で取得・編集して遠隔監視者を適切にサポートしていくAI( 人工知能 )を開発する必要がある。それゆえ今回ソフトバンクはAIを活用した監視者サポートの検証も行っていく。

自動運転車内の運行支援システムの開発
またドライバーがいない自動運転を開発する場合、安全運行を担保するハードウエアやソフトウエアが、かつて生身の運転者が担っていた雑多な業務に、きめ細かく対応しなければならない。

例えば、それがバス車両であれば、最先端のセンシング装置が車内を歩行する人の有無を確認する。時には転倒者を咄嗟に検知する事も求められる。またそうした場面に至らないよう、事前に車内で音声案内を行ったり、場合によっては遠隔監視者との連携を行う必要もある。

そこで同社では今実証にあたり、車外の遠隔監視AIなどと状況監視を共有させつつ、タクシーや小型マイクロバスなどの輸送車両に於ける様々なユースケースを事前に想定。いわゆるMaaS( Mobility as a Service )環境下で、省人化された状況でも適切な対応出来るよう開発を進めていくという。

デジタルツインによる運行の最適化に関する検証
自動運転は、走行コースを自動運転システム( ADS:Autonomous Driving System / 自動運転ソフトウエアを組み込んだコンピューターの他、LiDARなどの各種センサーで構成されている自動運転システムの総称するシステムを指す )で学習して運転していく。

従って運行設計領域( ODD:Operational Design Domain / 自動運転のシステム設計にあたり、安全作動を裏打ちするため環境条件を整えるべき走行範囲 )の策定がとても必要だ。それにはデジタルツインの活用が役立つ。

また運行システムの品質を向上させるためにもデジタルツインを使い、個々の運行設計領域への都度毎の的確なフィードバックも行っていく。

シミュレーションによる経路設計の自動化
そんなODDの策定には、走行経路の交通環境や危険な場所など特定の環境や条件を把握する事も不可欠だ。

デジタルツインによるリアルな仮想空間に、過去の事故データや交通データ、人流データなどを組み合わせて活用。精緻なシミュレーションを介した走行経路の事前分析を行い、最適な走行経路を自動的に算出する関連技術の検証も行う。

自動運転の運行システムへのフィードバック
最後に自動運転サービスの提供にあたっては、道路上の交通環境の特性を正確に捉え、発生した事象を正しく把握する事も欠かせない。

ゆえに今回も実際に自動運転車の走行時に発生する事象をプラットフォームに集約して前以てシナリオ化。これを様々な自動運転の運行システムを磨いていく事に活用する。

写真はMay Mobilityが米ミシガン州で展開するADK搭載の自動運転サービス車両

なお今回の同社による実証実験では、自動運転の運行システムにMay Mobility Inc.( メイモビリティ )のADS( Autonomous Driving System )などが使用される予定だ。

今回はADSから得られるデータを基にメイモビリティと連携。自動運転の運行管理業務とその自動化に必要な機能を開発して検証すめ。またMONET Technologiesと共に、より安全な自動運転車の運行に務めていくとしている。

加えて今検証の概要を含め、ソフトバンクのR&D部門である「先端技術研究所」がこの実証時期とを組み合わせて、同社グループの技術系取り組みを紹介するイベント「ギジュツノチカラADVANCED TECH SHOW 2023」を来たる3月22~23日に開催する。併せて同社傘下の先端技術研究所も自らが取り組んでいる技術成果を公式ウェブサイト上に掲載している。

東京R&D、チューリングと自動運転EVで戦略的提携

東京アールアンドデー( TOKYO R&D / 本社:東京都千代田区、代表取締役:岡村 了太 )は東京都港区で報道陣を募り記者会見を実施。完全自動運転車両の開発・販売に取り組むチューリング( TURING / 千葉県柏市、代表取締役:山本 一成 )と自動運転EVの開発・生産に係る戦略的パートナーシップの締結を発表した。( 坂上 賢治 ) 続きを読む 東京R&D、チューリングと自動運転EVで戦略的提携

ソニー・ホンダモビリティ設立発表のライブ中継が決まる

先の6月、〝高付加価値を持つEV販売〟と〝モビリティ向けサービスの提供〟を担う新会社の設立に係る合弁契約書を締結した「ソニー・ホンダモビリティ株式会社( Sony Honda Mobility Inc. )」は来たる10月13日、新会社設立発表会を介して経営の方向性について説明するべくYouTube上でライブ中継を行う。( 坂上 賢治 ) 続きを読む ソニー・ホンダモビリティ設立発表のライブ中継が決まる

ポルシェ、レッドブルF1チームとの提携協議を解消

パートナーシップはエンジンだけでなくチームも含まれる前提が瓦解したと主張

ポルシェAGは9月9日(欧州中央時)、フォーミュラ1レース参戦の可能性について、レッドブルF1チーム(レッドブル・レーシング)と数か月に亘って話し合いを続けて来た事実を明らかにした一方で、今後は、両社共に同協議を継続しない事をボルシェ側の公式プレスリリースを通じて明らかにした。( 坂上 賢治 )

ポルシェAGでは公式リリースで、 続きを読む ポルシェ、レッドブルF1チームとの提携協議を解消

ホンダ、米国でLGとEV蓄電池を合弁生産へ

記事トップの写真は、左からLGエナジーソリューション CEOのクウォン・ヨンス(Kwon Youngsoo)氏と、ホンダ 代表執行役社長の三部敏宏氏

LGエナジーソリューションとEV用バッテリー生産合弁会社設立で合意

LGエナジーソリューション(LGES)と本田技研工業(ホンダ)は8月29日、北米に於いて現地生産・現地販売されるホンダ・アキュラ両ブランド車のEV用リチウムイオンバッテリーを米国内で生産するべく、双方による合弁会社設立で合意した。(坂上 賢治)

この新たな合弁会社は、関連当局の承認を経て2022年中に設立される予定。更に同合意に基づき、LGESとホンダは、総額約44億米ドルを投資し、米国に生産工場を建設する流れだ。

より具体的には、建設地の確定を経て2023年初頭に拠点工場の建設に着工。2025年中の量産開始を視野に据えている。

なお同バッテリー工場で生産されるリチウムイオンバッテリーは、全量が北米のホンダ工場へ供給され、その生産能力は最大約40GWh(ギガワット時)となる見込み。

拠点は主力の四輪工場のあるオハイオ州へのアクセスを考慮しながら選定を進める

両社は今日、急速に成長している北米内の電動化市場を鑑み、バッテリーをタイムリーかつ安定的に現地調達する事自体が最重要との共通認識に基づき、今合意に至った。

工場建設地の選定は、まだ確定していないとしているものの、ホンダの現行・主力四輪工場であるオハイオ州へのアクセスを考慮しながら進めるものとみられる。

本田技研工業の三部敏宏取締役・代表執行役社長は、「ホンダは、2050年迄に当社が関わる全ての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルを実現するとした目標に向けて取り組んでいます。

〝需要のあるところで製品を生産する〟という当社伝統のポリシーは、EVの重要なコンポーネントの調達に於いても共通しており、これを踏まえてホンダは、世界の各地域でバッテリーの現地調達や生産を進めています。

世界有数のバッテリーサプライヤーであるLGESとの米国に於ける合弁事業に係る合意は、こうしたホンダの取り組みを示すものです」とコメントした。

写真は、LGエナジーソリューションとホンダの調印式に出席したメンバーの集合写真

ホンダは2027年以降、コストを抑えた量販価格帯の新EVを展開する予定

対して合弁先のLGエナジーソリューションのクウォン・ヨンス(Kwon Youngsoo)CEOは、「LGESでは、大切なお客様の信頼と尊敬を獲得するという最終的な目標に向けて、主導的なバッテリーイノベーターとしての地位を確立する事を目指しています。

新たな合弁会社は、高いブランド評価を持つホンダの電動化推進に協力し、お客様に持続可能なエネルギーソリューションを提供する事で、我々の中長期戦略の新たなマイルストーンとして、急速に成長する北米の電動化市場に寄与していく事になります」と述べた。

ちなみにホンダは北米のEV生産に関して、まずはGMが開発したリチウムイオン電池「アルティウムバッテリー」と同社のプラットフォームを採用したモデルを2024年に2車種発売する。

更に2027年以降は、コストを抑えた量販価格帯の新EVを展開する予定。そのためにはグローバル環境下で設備の共通化を含めたコスト低減策を推し進める必要がある。

従ってホンダとしては、北米に於いてはGMからのみバッテリー供給を受けるだけでなく、GM以外の企業との合弁会社設立が必要であると判断し、予てより同方策の検討も重ねていた。

2025年以降は、米国防省が指定した原材料の使用が禁止される

ホンダは、2035年迄に日・米・中の3市場で、四輪車販売に占めるゼロエミッション車の比率を80%へ引き上げる計画であり、これに向けて米国当地でバッテリーを含む車両生産の内製化率を高める必要に迫られている。

加えてホンダが2030年迄に年間200万台以上のEVを生産するのであれば、国際環境下で160GWhもの膨大なバッテリーを用意しなければならない。

そうしたなかでホンダが今回、米国内でのバッテリー製造拠点増強させる理由は、目下、米国でBEVとPHEV対象に、バッテリー容量に応じた税額控除が実施されている点にある。

この同税額控除の対象バッテリーは、北米あるいは米国と自由貿易協定を結んでいる国で調達された重要鉱物(リチウム等)が40%(2023年のコストベース)以上含まれている事が求められるだけでなく、同重要鉱物の内包比率は毎年10ポイントずつ増加し、来たる2027年には80%になる見込み。

この結果、同税額控除の対象となるのは段階的に北米で組み立てられた車両のみとなっていく流れだ。

併せて今後、米国務省が〝懸念国〟として指定した特定国からの重要鉱物は、2025年以降、次第に使用自体が禁止されていく流れにある。

つまり今後は、米国製のバッテリーを積んだ米国製EVだけに税額控除が適用されるようになっていく可能性が高い。これが今回のホンダによる投資行動に繫がっている。

アキュラ、プレシジョンEVコンセプトを米モントレーで披露

本田技研工業傘下の米国現地法人アメリカン・ホンダモーター(本社:カリフォルニア州トーランス、社長:貝原 典也、アキュラ<Acura>ブランド)は、米国カリフォルニア州ぺブルビーチ開かれるペブルビーチ・コンクール・デレガンス(開催8月21日)の会場で、プレミアム電動車のショーカー「プレシジョンEVコンセプト(Acura Precision EV Concept)」を公に世界初披露すると日本時間の8月19日に発表した。(坂上 賢治)

このモントレーカーウィーク(Monterey Car Week)は、毎年8月にカリフォルニア州モントレー郡のモントレー半島で行われる全米注目の自動車イベントのひとつ。全米からの来訪のみならず、世界から自動車愛好家とモータースポーツファンが集結する。

2022年の開催スケジュール進行では、キックオフが8月12日の金曜日。以降、プレレユニオンを経て、8月21日・日曜日のペブルビーチコンクールデレガンス、同レトロオート迄10日間に亘るカーウィークイベントが続く。

同イベントに於いてアキュラは、イタリア製のラグジュアリーパワーボートからインスピレーションを得て、電動車としてのパフォーマンス能力に重点を置いた車両を提案するのだと言う。

アキュラでエグゼクティブ・デザイン・ディレクターを務めるデイブ・マレック氏は同車について「アキュラプレシジョンEVコンセプトは、これまでのデザイン言語を更に進化させた造形であり、電動化時代の未来を指し示す不動の北極星のようなものです。

その表現方法は例えば、イタリア製パワーボートの造形にインスパイアされた〝流麗で特徴的なフォルム〟、EVらしく開口部がないノーズ部に〝LEDで光る新しいダイヤモンド・ペンタゴン・グリル〟、鋭角でシャープな形状のデイタイムランニングライトや〝パーティクル・グリッチ〟独特の抽象的なパターンを前後の造形やホイールにも配しています。

またカリフォルニアの強い日差しに合わせて最適化されたマット塗装の〝ダブル・エイペックス・ブルー〟という名称の鮮やかな特別塗装を纏っています」と語った。

ちなみにインテリアでは、フォーミュラ1レースカーのコックピットに着想を得た低めのドライビング ポジションと2グリップヨークスタイルのステアリングホイール、赤いアンビエント ライトとパイプライトなど、ドライバーの感覚を刺激する没入型体験コンセプトが盛り込まれた。

一方、スピリチュアルラウンジモードに切り替えると、ステアリングホイールが格納されて心地良い香りと安らかな「水中アニメーションプロジェクション」で温かく落ち着いたイメージに変わりドライバーはリラックスした室内空間が愉しめると言う。

なおプレシジョンEVコンセプトを初披露した日、2024年中に北米で発売を予定しているブランド初のEV量販モデルの名称が「Acura ZDX(ズィーディーエックス)」となる事も発表された。

このAcura ZDXは、今回披露したプレシジョンEVコンセプトのデザインを具現化する最初のモデルとなるだけでなく、GM(ゼネラルモーターズ)のアルティウムバッテリーを搭載したGMとの共同開発モデルとなり、TypeS(タイプエス)も設定されると言う。

東海クラリオン、安価な後付け自動運転システムの提供へ

既存のマイクロEVなどを自動運転化させ、地方創生や観光活性化に貢献したい意向

先の大戦前にあたる1948年(昭和23年)にユニオン電気商会として創業。現在カーナビゲーションシステムなどを販売している専門商社の東海クラリオン株式会社(愛知県名古屋市中区正木、代表取締役:安部 源太郎)は7月7日、国内外の地域事情に沿って様々な車両を選べる〝後のせ自動運転システム〝YADOCAR-iドライブ(ヤドカリ・ドライブ)〟(限定地域で自動運転レベル4を実現する)〟の開発と、同システム提供の意向を明らかにした。(坂上 賢治)

そもそも同社は、通信機能を備えたドライブレコーダーなどを組み合わせたADAS(運転支援)システムを構築して名古屋市交通局を始めとする運輸事業者に納入するなど、自動運転レベル3(システム側からの要請があった場合、即時、手動運転に応えなければならない)までの後付けシステムを開発・販売して来た実績を持っている。

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自工会、モビリティの世界から新たな地平へ踏み出す

日本自動車工業会は5月19日、副会長人事、雇用安定に基づく成長と分配、税制、カーボンニュートラルやCASEへの取り組み、生まれ変わる東京モーターショーなど、盛り沢山のテーマを掲げたオンライン記者会見を実施した。(坂上 賢治)

当日の出席者は、トヨタ自動車社長の豊田章男会長を筆頭に、本田技研工業社長の三部敏宏副会長、ヤマハ発動機社長の日髙祥博副会長、いすゞ自動車社長の片山正則副会長。

自工会常勤専務理事の永塚誠一副会長に加えて、この日より正式に新副会長に就任した日産自動車社長の内田誠氏、スズキ社長の鈴木俊宏氏を含む7名がオンライン上に並んだ。

まず冒頭で豊田会長は、この日より新たな自工会の役員体制が正式スタートした事を宣言。これに続き、更なるスピード感と現場感を以て自工会を革新させていく動きを推し進めるため、正副会長各社を支える若手のサポートチームを始動させた。

より具体的に豊田会長は、現地・現物・現実をキーワードに個社の枠を超えた自工会としての取り組みを加速化させると語った。

この新体制に関して、乗用分野を新たに担う事になる内田副会長から、個社の対応では克服が難しい課題が増えている中、自工会としての取り組みは重要だと考えている。

また軽自動車分野を新たに担う鈴木副会長は、日本国内に於いて軽自動車に求められている事、果たして行くべき役割に真摯に貢献していきたいと語った。

各推進テーマは先の冒頭の通りで、第一の雇用と安定では〝前期での取り組みを発展させるべく、雇用安定に基づく成長と分配の浸透〟を目指す。

それには、労組組織を持つ大手企業中心の活動では不足であるため、成長と分配の流れを中小事業に於いても推進できる流れを作る事。第二に、抜本的な税制改正が実現されていない中、今年もより一層、精力的に取り組むとした。

第三に、当初は豊田会長自身に取っても〝暗中模索〟だったカーボンニュートラルの取り組みについては、耐久レース活動などを昨年来の挑戦から明確になってきた二酸化炭素を照準に据えた削減活動を今年も続けて行く事を説明した。

これに補足して乗用車分野を担う三部副会長はG7開催を目前に、二酸化炭素そのものを正しく計測する見える化や削減の方策など、日本の自工会として世界をリード出来る国際的なガイドラインづくりや技術の幅広い選択肢の提案などに取り組む最中にあるとの状況を報告した。

同じく同テーマで大型商用車分野を担う片山副会長からは、この1年間の取り組みを介して山岳部の資源の切り出しから街中に至るまで、様々な環境で使われる商用車は、やはり技術の選択肢を狭めない事がいかに重要であるかを再認識した。今は様々な技術の可能性を模索している最中だと話す。

また二輪車分野を担う立場から日髙副会長が、中・小型車を対象に着脱式バッテリーの国際規格を世界へ働き掛けている事や、大型車を視野に水素・バイオ燃料エンジンの研究開発に取り組んでいる事などを語った。

続く第四の自動車産業に於ける自動運転やデジタル化等で豊田会長は、同取り組みを推進させるべくCASEへ向かう手綱を緩めない事。第五に、次世代の自動車社会に寄り添ったファンづくりを掲げた。

なかでも特に炭素中立の実現に関しては、エネルギーをつくる・運ぶ・使うに至る全ての工程を徹底に洗い出す事で初めて達成できるものである事が判った。

しかしその山を乗り越えるルートは決して1本ではなく、国内に多様な技術的背景を持つ数多くの自動車メーカーが存在する日本に於いては規制によって、その自由な翼を縛るなど選択肢の幅を決して狭めるべきではないと説明した。

更に自工会が新たなファン獲得を目指す中で、来年2023年開催予定としている〝東京モーターショー〟について、前回の同ショーで他業界からの参画を呼び掛けた事により述べ数で130万人を超える集客が実現できた。

これを踏まえて来年の東京モーターショーでは、前回の取り組みから更に歩みを推し進めて、モビリティーの枠を超えた全く新しいイベントタイトルとして「JAPAN オールインダストリー ショー」へと変化させていく事を発表した。

この呼称を刷新したイベントには、国内の基幹産業として過去より引き継いできた自動車ショーの枠を超える全く新しいイベントの姿を目指す。そのためにも未来を目指すスタートアップ企業なども積極的に巻き込んでいきたいと述べた。

ちなみに昨今は世界各国に於いて、例えば欧州・独国ではモビリティへのステレオタイプなイメージを、より広域な見方で捉えた新IAAが開催されたり、欧州から大西洋を隔てた米国では近年、春開催の各地の自動車ショーを押しのけ、ラスベガスで行われる家電見本市からスタートしたCESが注目を集めている。

そうした意味では、潔く〝モビリティ〟の表現自体をも捨て去った「JAPAN オールインダストリー ショー」の新タイトルは、自工会が決断した不退転の意志が示されているとも言うそうだ。

F1GP、フェルスタッペンが運を引き寄せ2021年の王座獲得

2021年のFIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第22戦アプダビGP(開催地:アラブ首長国連邦・ヤス島、開催期間:12月10~12日)の決勝レースが12月12日(日曜日)に1周5.281kmのヤス・マリーナ・サーキットを58周する形で行われた。(坂上 賢治)

決勝スタートでは、メルセデスのルイス・ハミルトンが先頭に躍り出て以降、終始優位なレース運びを繰り広げた。しかし最終周の58周目にレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがトップを奪い、ホンダエンジン車に1991年のアイルトン・セナ以来30年振りのワールドチャンピオン(ドライバーズチャンピオン)をもたらした。

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自工会の豊田会長、東京モーターショー2021の開催中止を発表

自工会(日本自動車工業会)は4月22日の11時15分より、オンライン記者会見を開催。登壇した豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、来たる2021年の東京モーターショーの開催中止を宣言した。(坂上 賢治) 続きを読む 自工会の豊田会長、東京モーターショー2021の開催中止を発表

マセラティ、史上初の女性F1ドライバー〝マリア〟を讃える

「私は勇敢というか無謀というか、無鉄砲だったのかもしれない。なんと言われたっていいの、私はただ全速力で走るのが好きだっただけ(マリア・テレーザ・デ・フィリッピス/1926-2016)」

マリア・テレーザ・デ・フィリッピスは、史上初の女性F1ドライバーとして、マセラティ250Fのステアリングを握ってグランプリに出場を果たした女性だ。

彼女の人生は、情熱と大胆さそのものであり、マセラティは3月8日の国際女性デーを祝して彼女を讃えている。

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日産、e-POWERの発電専用エンジン開発で熱効率50%が視野に

日産自動車は2月26日、オンラインで報道陣を募り、次世代の「e-POWER」向け発電専用エンジンで、世界最高レベルの熱効率50%を実現するための技術的背景を説明した。現在、国内外の自動車メーカーを問わずガソリンエンジンの平均的な最高熱効率は30%台であり、いずれ開発が進んだとしても40%台前半が限界とされていた。そうしたなか同社が示した熱効率50%は、世界のエンジン開発の歴史上に於いても極めて革新的な値である。(坂上 賢治)

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プジョー、新ブランド・アイデンティティで攻めの姿勢を表明

プジョー は2021年2月25日、オンラインでブランド・アイデンティティの発表 に係るワールドプレミアと、国内外の記者を対象に質疑応答会見を開いた。その核となる新たなブランドモチーフは、楯を背景にしたライオンの頭部へ〝フラットデザイン〟的要素が加味されたものだ。(坂上 賢治)

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ヴァレオとダイナミックマップ基盤、ADAS技術で連携合意

仏ヴァレオの日本法人とダイナミックマップ基盤(以下、DMP)は2月25日、 互いの自動運転システム開発を促進していくため、ADAS技術のパートナーシップで合意したと発表した。(坂上 賢治)

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トヨタ、未来の実証都市「Woven City」地鎮祭を実施

MaaS実証都市「ウーブン・シティ(Woven City)」、東富士で着工

トヨタ自動車と、トヨタグループ傘下でモビリティ事業の開発を担うウーブン・プラネット(ウーブン・プラネット・ホールディングス)は2月23日の11時から、「ウーブン・シティ」の建設を進めるべくTMEJ(トヨタ自動車東日本)東富士工場跡地(旧車両ヤード)で地鎮祭を実施した。

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