BASF、2017年の自動車のカラーマーケットを分析


BASF(本社:独ラインラント=プファルツ州ルートヴィッヒスハーフェン、取締役会会長兼CEO:クルト ボック)のコーティングス事業本部は2月8日、「BASF自動車用OEM塗料カラーレポート」を通して自動車市場下の2017年カラー分布の分析を公表した。

それによると世界のマーケットシェアの約40%を占めるホワイトは、あらゆる車種において強固なポジションを維持し、ナンバーワンカラーであり続けると云う。

より具体的には、ブラック、グレー、シルバーと共に無彩色の人気が不変だ。有彩色では、ブルーとレッドのシェアがほぼ同じであり、これにブラウンが続く。世界的に全車種を見渡すと、小さい車ほどカラーが鮮やかになる傾向がある。

売上が好調で、モデル数が豊富なスポーツユーティリティビークル(SUV)は、人気度のデータに大きな影響をもたらす。

こうしたSUVではホワイトとブラックが今だに人気があるものの、一方でレッドやブルー、特にブラウンの人気が急伸、こうした頑丈なタイプの車種についてはそのバリエーションが多様化していくことを表しているとも述べている。

欧州ではブルーとグレーの色合いが増加中
ではさらに傾向を地域別に見ていこう。まず欧州のカラーレポート2017によると、この地域で無彩色の人気が続いていることが明らかだ。

昨年は全車両の約78%をホワイト、ブラック、グレーまたはシルバーが占めていた。なかでもグレーの割合は19%に増加、今やブラックと並ぶ人気色となっている。

グレーの色合いが多様化していることからも、グレーのシェア拡大は明らかになりつつある。なお100以上のバリエーションがあるグレーは、ブルーに次いで2番目に多い色合いを持つカラーとなっている。

こうした傾向にBASFのコーティングス事業本部自動車カラーデザインEMEA(欧州・中東・アフリカ)のトップであるマーク・グートヤール氏は、「無機質なコンクリートやガラスを連想させるグレーは最も都会的なカラーであり、過去数年にわたり大きく増加しています。

明るいグレーから、中明度のグレー、そして暗いアントラシット(消炭色)までさまざまな色合いを備えており、それによって強いマーケットポジションを獲得しています」と話している。

では有彩色の中での構図はどうだろうか。欧州に於いてはブルーの人気の高さが安定している。全体的なシェアも10%と安定しており、有彩色パレット上のブルーの比率が大幅に増加した傾向だ。

実際、欧州で2017年に製造された有彩色の車のうち、ほぼ2台に1台がブルーであった。

このトレンドはBASFコーティングス事業本部のカラーデザイナーが予測していたこであるらしく、最新カラートレンドコレクションの数多くのブルーの色合いに反映されている。130ほどの異なるバリエーションを持つブルーは、色の多様性の点でもトップの地位を維持している。

北米では特別なエフェクトの無彩色が優勢
対して北米カラーレポート2017は、新たな顔料技術によるキラキラと輝く特殊効果への需要が高まっていることを示している。

それによってカラーセグメント内、特に北米で最も人気の高い自動車色であるホワイト、ブラック、シルバー/グレーに、豊富なバリエーションをもたらしているようだ。

北米に於いても成長分野である電気自動車でも無彩色が好まれる。例えば電気自動車の開発初期段階である今は、ホワイトやブラックよりもグレー/シルバーの人気が高い。

こうしたカラーの人気は、機能と組み合わせて検討される機会が増えている。併せてセンサーによる検出機能とかつてないほど関連性を持つようになっているため、今後もこの切り口に関しては動向を見守っていく必要があると云う。

こうした傾向調査について、北米BASFカラーデザインエクセレンスグループのデザイン部門トップのポール・ショルニー氏は、「私たちのトレンド調査によって、ホワイト、ブラック、およびグレーの無彩色カラースペースが引き続き重要であることがわかります。

これらの色域でイノベーションを起こすことは非常に重要です。そのため、顧客自動車メーカーのブランドの本質をとらえ、ボディーの形状を魅力的に見せるカラーを見つけ出すための独自の方法を模索しています。

ちなみにそんな北米の有彩色では、ブルーとレッドが主流です。ブルーのカラースペースも非常に汎用性があり、明度、彩度、および微妙な色相の変化に至るまで、多様な色合いを実現できます。

他にオレンジのようなカラーも分析結果に表れています。これらの色合いは消費者の特定の好みに対して、より多くの選択肢を提供しているようです」と語っている。

アジア太平洋では赤と上品さを表すカラーが拮抗
これに対してアジア太平洋市場で、マーケットが成熟しているエリアは個性を表す明るいレッド、そして上品なカラーが根強い人気を集めている。

但しアジア太平洋カラーレポート2017によると、この地域の自動車用塗料市場は、増加する車両数と地域の多様性に大きく影響されるとする。

全体の分布で49%を占めるホワイトが最も好まれる色ではある。これは、アジア太平洋の文化的背景により、ホワイトは純粋さとインテリジェントな先進技術を表す肯定的なイメージと結びついているからだ。それゆえ、白い車両がここ数年アジア太平洋地域で非常に増加しているのである。

一方ブラウンは中型SUVでの人気が高い。またホワイトのなかでも特にパールホワイトとブラウンの両方が、高級な趣のスタイリッシュなカラーとして、アジア太平洋市場で位置付けられ、受け入れられている。

有彩色では、明るいレッドが挑発的でありながらスマートな個性を持つカラーとして人気がある。一般的に自動車のレッドは人目を引くが、それがアジア太平洋地域の成熟さを表す重要な要素だとまとめられている。