AUDI AG、再生燃料車g-tron購入者にe-gas提供へ。CO2排出量80%削減を狙う


Audi g-tronモデルにAudi e-gasを3年間利用できる特別パッケージを標準設定。パッケージの提供は2018年5月31日まで有効

アウディ AG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)は、気候に悪影響を与えない「Audi e-gas」を「Audi A3 Sportback g-tron」を購入した全ユーザー提供する。

この「Audi e-gas」とは、次世代自動車に対する同社の提案のひとつ。具体的には、再生可能エネルギーを使用し、水とCO2から作られるか、藁や刈り取った草といった有機残留材から生成される気候変動負荷が極めて低い独自燃料である。

詳細・関連概要は、本記事末尾に記載した当媒体の過去記事を閲覧されたいが、いずれにしてもAudi e-gasは、その生産過程でエンジン燃焼時に発生するのと同じ量のCO2を燃料内に取り込むもの。サステナブルという意味では、極めて先進的な同社の提案のひとつと云えるだろう。

なお今回の実施措置は、この燃料提供に関する新たな提案であり、車両を走らせるエネルギーコスト自体が、車両価格に標準で含まれる。

このため「Audi A3 Sportback g-tron」の購入ユーザーは、通常の天然ガス価格以外の支払いをする必要がなくなる。またこれにより、Audi g-tronモデルが天然ガスを燃料として走る場合、CO2排出量が80%削減されることになる。

ヨーロッパでは初夏から「Audi A4 Avant g-tron」と、「Audi A5 Sportback g-tron」の注文を受付

アウディは、このg-tronモデルの販売拡張計画について、今年の初夏を目処に「Audi A4 Avant g-tron」と、「Audi A5 Sportback g-tron」の2モデルを発売し、g-tron製品ラインナップを拡充する予定で、そのいずれのモデルにも標準で、e-gasを提供するプログラムが適用される。

これにより、同じ性能クラスのガソリンエンジン搭載車と比較すると、グリーン燃料のAudi e-gasにより、アウディのg-tronモデルはCO2排出量を80%も減らすことができる。

なお対象車両の購入に関しては、2018年の5月31日までにAudi A3 Sportback g-tronを注文したユーザーは、クルマに標準装備されるパッケージの一部として、この燃料の供給を3年間無償で受けることができるようになる。

この取り組みについてAUDI AGセールス&マーケティング担当取締役のディエトマー フォッゲンライター氏は、「この提案は気候に悪影響を与えない長期的なモビリティの実現に向けた、アウディの次なるステップです。

我々がお客様に対して行う約束に、一切の妥協はありません。

g-tronモデルは、他のアウディモデルと同様、スポーティで洗練されている先進的なクルマです。

同時に、Audi e-gasを利用することで、環境に非常に優しいクルマにもなります」と車両並びにAUDIの環境負荷低減に関してのコメントを述べていた。

サステナブルなAudi e-gasは、燃焼時に排出されるのと同じ量のCO2を精製時に取り込む

ちなみにアウディは、幾つかのパートナー企業と共に、ドイツ及び他のヨーロッパ諸国にある複数の施設で、先のプロセスを介してAudi e-gasの生産を行っている。

そうした生産施設のひとつは、ドイツのニーダーザクセン州ヴェルルテにアウディが所有している電気をガスに変換する工場である。

ここでは、主として余剰なグリーン電力を使用して3つの電解槽を稼働させ、水を酸素と水素に分解している。その後のメタン化の工程で水素がCO2に反応することで、人工メタンガスであるAudi e-gasが生成される。

この燃料はヨーロッパの天然ガス網に供給され、新欧州ドライビングサイクル(NEDC)の値をもとに、アウディのg-tronモデルが消費した分の天然ガスを置換する役割を果たす。

このため、ユーザーがどのCNG給油ステーションで自身のg-tronモデル2対して燃料を補給しても、通常の燃料代以外のコストは要求されない。

またアウディは、計算した消費分のAudi e-gasを、天然ガス網に供給することで、相当分のCO2排出量を削減するという環境面におけるプログラムを確実に実行する。

なお購入量を確認するためのツールとして、燃料カードなどが使われることもない。代わりにアウディが、クルマから得られる車両データやサービスデータをもとに、ガスの消費量を算出するからだ。

ちなみにドイツの車両試験及び認証機関であるTUV SUD(テュフ スッド)により、このプロセスはモニタリングされ承認を受けており、Audi g-tronユーザーは、自身のクルマがAudi e-gasを提供されることを証明する書類が渡される。

左記の通り今後、Audi g-tronモデルラインナップは、今年大きく拡大される。

Audi A3 Sportback g-tronに加えて、初夏には、「Audi A4 Avant g-tron」と、「Audi A5 Sportback g-tron」が登場する。

いずれのモデルも、125kW(170hp)のパワーを発生する2.0 TFSIエンジンが搭載され、4つのガスタンクの容量を合わせて19kgのタンクモジュールと25ℓのガソリンタンクにより、純粋なCNGモードだけで走った場合でも約500km、合計では950kmもの航続性能を実現する。※

※この数値は、純粋なe-gasモード(CNG)での走行をウェルトゥホイール(原料採掘から使用まで)基準で、従来型ガソリンエンジンを搭載した同じ性能クラスのクルマと比較分析(燃料生産と自動車の通常運転を含むライフサイクルアセスメント)した推定値である。

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