旭硝子とトヨタ自動車、建屋の大型ガラス面に独自の省エネ技術を開発・導入


AGC旭硝子(旭硝子株式会社、本社:東京、社長:島村琢哉)と、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男、以下トヨタ)は、大型ガラス面構造の建物で気象条件に合わせてフレキシブルに窓開閉による換気ができ、省エネ効果を高められるガラス構造「上吊型ダブルスキンシステム」の共同開発に取り組む。

上吊型ダブルスキンシステムのイメージ図

今後、両社は製品仕様の決定、性能及び安全性の確認を行い、自動車販売会社のショールームやオフィスビルなどを対象に、2018年春からの発売を目指す。

街角で見られる自動車販売会社のショールームや、近年のオフィスビルでは、大型サイズのガラスを壁面に大きく活用しており、これが夏季の冷房負荷となるため、この削減対策が重要課題となっていた。

これまでは、夏季の暑さ対策としてロールスクリーンや、遮熱フィルムを導入しいたのだが、ロールスクリーンは、日射しの遮蔽が充分ではなく、また閉めた時の視認性が低下するなどの問題があった。

ダブルスキンシステムの構成例

そこでトヨタは、人とクルマと自然が共生する社会を目指して2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を策定するなどで、自動車はもとより、生産工場や関連施設でのCO2排出量削減に向けた様々な取り組みを行ってきた。

そうした中で、“自動車ショールーム用の開閉型簡易ダブルスキン”や“中小規模オフィス用局所分散型ダブルスキン”を開発・商品化してきた。

そして今回、トヨタは省エネ用リフォームガラス製品で実績を持つAGC旭硝子に、より環境負荷を低減する新しいダブルスキンの商品化構想を提案したことで今回の共同開発に至った。

この「上吊型ダブルスキンシステム」の特長は、下記の通りとなる。

高い空調負荷削減効果
– AGC旭硝子が自動車用ガラスとして開発した遮熱性能の高い「クールベールR」(IR&UVカットガラス)を採用。
– 冷房時は、外壁のガラスと当製品の間の熱気をファンで排気することで冷房効率を向上。
– 一方、暖房時はダブルスキンの効果で流出する熱が減少。

クールベールの構造画像イメージ

二段構成
– 上部には、より高い遮光・遮熱のためのシートなどを採用。
– 下部には、視認性・遮熱性を考慮した「クールベールR」を採用。
– この組み合わせにより、高い天井への対応が可能。

大幅な軽量化・設置費用削減
– 下部パネルに薄板ガラスを使用し軽量化を実現。
– 軽量化の目標は、従来のダブルスキンシステムに比べ約1/5。
– 設置工事費用を大幅に削減可能。

フレキシブルに開閉可能
– 必要のない場合には、カーテンのように収納が可能。

■ダブルスキンシステムについて
– 室内の遮熱性能を高めるため、建物外壁をガラスで覆う建築手法。
– 2層のガラススキンと中間層(キャビティ)から構成され、キャビティ内に多くの熱を吸収させて、外気導入により溜まった熱を排気。

■クールベール®について
自動車のフロントガラス(合わせガラス)用で、中間膜に中赤外線※1(IR)カット剤を練り込み、太陽光線において人体に最もジリジリ感※2を感じさせる赤外線波長領域を約90%以上カット。

さらに、日焼け・シミを引き起こすと言われている紫外線(UV)を約99%カットするガラス。

※1 中赤外線とは「波長が1500-2200mmの光」とAGC旭硝子にて定義したもの。
※2 ジリジリ感の評価はAGC旭硝子の研究・評価結果によるもの。

■薄板ガラスについて
板ガラスなど広く一般的に使われているソーダ石灰ガラスよりも高い強度があり、薄くしても割れにくいのが特長。
一般建築用途の他、太陽電池や照明機器などの軽量化に貢献する化学強化ガラスとしている。