2016年全日本ラリー選手権第1戦・唐津。スバルの勝田が11年連続の勝利を達成


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国内初デビュー戦となったプジョー208 R2も、全日本ラリー選手権・開幕戦で2位を表彰台

2016年シーズンの全日本ラリー選手権開幕戦「ツール・ド・九州2016 in 唐津 Supported by Sammy」が、4月9~10日に開催された。

レースは、SUBARU WRX STIの(勝田範彦選手/石田裕一選手)が勝利を収め、11年連続でこのラリーを制する偉業を達成した。2位には鎌田卓麻選手/市野諮選手(SUBARU WRX STI)が入り、SUBARUは開幕から1-2フィニッシュを達成する強さを見せた。

またJN5クラスでは、プジョー208をベースに国内選手権として初めてフランスのプジョー・スポールが開発したFIA R2規定のラリー専用車208 R2を投入。デビュー戦で2位表彰台を獲得した。併せて208GTiもクラス3位という成績を残している。

SUBARU WRX STIの勝田範彦が初日をリード
全日本ラリー選手権の2016年開幕戦『ツール・ド・九州2016 in 唐津』の4月9日(土)のデイ1は、前日の暴風雨でステージ上には大量の落ち葉や、折れた木の枝が散乱するというラフなコンディション。このため想定以上の難コンディション下での幕開けとなった。

ラリーはこの日の朝、毎年恒例となった唐津神社での交通安全祈願とセレモニアルスタートから、この日SS1〜8まで、総SS距離41.99kmの戦いのスタートが切られた。

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このSS1から速さを発揮したのは、同ラリーで11年連続の勝利が掛かる勝田選手。4連続ベストタイムをたたき出して2番手のライバルに25秒以上の差をつけ、勝利に向けて幸先のいいスタートを切ることに成功した。

勝田選手は、SS5〜7とライバルの後塵を拝したものの、この日最後のステージとなるSS8でも一番時計をマークし、総合順位で一度も首位を譲ることなく初日をまとめた。

勝田選手は、2番手のライバルに17秒というアドバンテージをもって競技2日目最終日に臨む。その後方総合3番手につけたのは鎌田選手。

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前半のステージで出遅れた鎌田選手は、SS3後のサービスで行ったマシンセッティングの変更が功を奏し、SS4、6、7の3SSで2番手タイムを獲得。初日を終えて勝田選手の27.9秒後方から順位アップを狙う。

また、SS1で6番手スタートとなった新井選手は、タイヤがコンディションに合わず、その後も5〜6番手タイムという苦しい戦いを強いられた。

なおJN5クラスでは、参戦2年目となるTOYOTA GAZOO Racing Vitz GRMN Turbo(大倉聡選手/豊田耕司選手組)は、開幕戦に向けてトヨタの凄腕技能養成部の社員メカニックが組み上げたニューマシンを駆って、ラリー初日5位につけている。一方、208 R2 は初日から安定したタイムを記録し、JN5 クラスの 2 番手を走行した。

2日目、11年連続での勝利に視界良好の勝田

首位で競技2日目に臨む勝田選手は、「マシンは好調です。今年はタイヤの規定が変わり、タイヤマネージメントが難しくなりました。初日をトップで終えることができましたが、2日目も気を緩めずにしっかりと走ります」と、11年連続勝利という記録に挑む。

3番手でその勝田を追う鎌田選手も、最終日の2番手浮上を期して「最初のサービスでセッティングを変えたことが良い方向となりました。

2日目もこのペースでトップに追いつくように頑張ります」とコメント。新井選手は「タイヤがまったく路面に合わず、これ以上ペースを上げるのは難しい状況ですが、2日目も精一杯走り、少しでも上位を狙います」と、最終日への意気込みを語っている。

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また、SUBARU BRZが参戦するJN2クラスでは、小濱勇希選手/馬場雄選手一がトップ。クラス2番手を1分以上引き離しており、開幕戦制覇を目指す。

競技最終日の4月10日(日)は、SS9〜SS14の計6SS。SS走行距離は27.24kmと、初日よりも10km以上短い設定となっているためミスは許されない。

競技2日目の舞台はSS9〜14の計6SS。SS走行距離は27.48kmと競技初日よりも10kmほど短い設定。2日目も好天に恵まれ、気温が23度近くまで上がるという良好なコンディションとなった。

この日に設定されたギャラリーステージの「SSS野崎さとる2000GT」には多くの観客が集まり、目の前を駆け抜けるラリーカーに歓声が上がっていた。

総合首位の勝田選手は、この日のオープニングステージとなるSS9でベストタイムを獲得。ここで後続との差をさらに広げると、リスクを避けた確実なドライビングにシフト。

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ライバルの出方をうかがいながらラリーをコントロールし、最終的に2位に31秒という大差をつけて、11年連続の勝利を飾った。

3番手から追い上げる展開となった鎌田選手は、2番手のライバルとの差をじわじわと詰めていき、SS13で遂に逆転。最終ステージのSS14ではベストタイムを獲得して2位表彰台を射止めた。

また、前日5番手と苦しい出だしとなった新井敏弘選手/田中直哉選手は、SS11、SS12で意地のベストタイムを獲得したものの、順位を上げることは叶わず5位でラリーを終えた。

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勝田選手は、「マシンコンディションやタイヤも良く、初戦に勝つことができてホッとしています。これで開幕11連勝ですが、記録を気にせず自分の走りに徹したことが勝因だと思います。コ・ドライバーの石田(裕一)さんとは2年目になりますが、精度も高まりコンビネーションも良かったです」とコメント。タイトル奪還に向け、好スタートを切ることに成功した。

また、SUBARU BRZでJN2クラスのトップを走行していた小濱勇希選手/馬場雄一選手組は、最終的に後続を1分以上引き離し、開幕戦でクラス優勝を飾った。

JN5クラスでは、TOYOTA GAZOO Racing Vitz GRMN Turbo(大倉聡選手/豊田耕司選手組)は、セッティングを変更して2日目に挑み、最終のSS14で2度目のベストタイムを刻み、4位でラリーを終えた。

大倉選手は、「ボディ剛性が高くなって、マシンがしっかりした感じがこれまでとまったく違います。僕自身がドライブに慣れていないところがあるのですが、『ここを換えたいな』というリクエストにも、メカニックの皆さんがしっかりと応えてくれました。すごく頼もしいチームです」と、チームの技術力・対応力を評価していた。

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一方208 R2は、首位走るアバルト500ラリーR3T(眞貝知志選手/安藤裕一選手)を追い上げるものの 8.7秒届かず、クラス 2位で初戦を終えた。

また、同クラスに出場した208 GTi は 4位でフィニッシュ。その後、ライバルの失格によってJN5 クラス3位に繰り上がった。

次戦は4月29日(金)〜5月1日(日)に開催される第2戦「久万高原ラリー」(愛媛県上浮穴郡久万高原町)となる。ラリーの拠点となる美川スポーツランド(美川スキー場跡地)は、標高約1000m付近に位置しており、ステージの大半も高地に設けられている。空気が薄くなるため、エンジンパワーへの影響が課題だ。

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